三菱 パジェロ/2019年8月生産終了
パジェロといえば「日本製クロカン四駆」の代名詞的存在。
1982年登場の初代は自らクロカンブームを作り上げて大ヒット。そして1991年1月登場の2代目はさらに人気が爆発しました。1992年の累計販売台数は8万3685台。これは、車格を考えれば「バカ売れ」と言っても過言ではない数字です。
しかし、近年パジェロの国内販売は不振にあえぎ、2018年の累計販売台数はたったの747台。2019年3月の月販台数は僅か89台で、これはほとんどフェラーリ並みの数字(編注:フェラーリの同期国内販売台数は61台)です。
■なぜ生産終了へ?
本格クロカンのパジェロがここまで売れなくなった理由は、その「本格」という部分にあります。
パジェロのような形をした車=SUVは今大人気ですが、多くの人々は泥道を本気で走りたいからSUVを買っているのではなく、「そのアウトドアっぽい雰囲気がなんとなく格好いいから」といった理由でSUVを選んでいます。
となると、本格オフローダーであるパジェロの性能やビジュアルは「過剰」、「オフロード風すぎる」ということになり、結果として売れなくなる……という流れになってしまったのです。
日産 キューブ/2019年12月生産終了
1998年登場の初代キューブは正直ちょっと微妙でしたが、2002年登場の2代目は「名車」と呼んでも大げさではないトールワゴンでした。
キュートでありながら決して媚びた感じではない絶妙なデザインと、四角い車ならでの優れたスペース効率は「実用車の鑑」。
2代目のスマッシュヒットを受けて登場した3代目(2008年11月~)も、偉大な2代目を踏襲した実用コンパクトカーで、こちらも非常にステキです。
そして素敵なだけでなく、しっかり売れた車でもありました。2009年の累計販売台数は5万9760台でランキング13位。翌2010年も5万4406台で15位と、「まずまず売れている」ぐらいの数字はしっかりマークしていたのです。
■なぜ生産終了へ?
しかし、日産はなぜか、この車をろくにマイナーチェンジもしないまま「放置」しました。
他社の同クラスはどんどん先進安全装備などを充実させていったのですが、キューブは「自動ブレーキ」すら追加されないまま。そのため販売台数は低迷し、2019年は1カ月あたりで見ると僅か400台しか売れていません。
こういった数字を背景に、日産は「2019年12月をもってキューブの生産を終了する」と発表したのです。
直近の数字だけを見れば生産終了もやむなし。しかし、その数字は「放置されたがゆえ」です。逆に「自動ブレーキも付いてないのに月400台売れるのは凄い!」とも言えます。
トールワゴンという売れ筋ジャンルの車なのに、なぜ日産は長年放置し、そしてあっさり生産終了と決めたのか? 正直、この車についてだけは「理由」がよくわかりません……。
スバル レガシィB4/2020年秋生産終了へ
レガシィB4は、一斉を風靡した「レガシィツーリングワゴン」の4ドアセダン版。1998年に3代目が登場した際に「B4」というブランド名が与えられました。
ツーリングワゴンはスポーティなものから実用的なものまで、さまざまなグレードを用意していましたが、セダンのB4は強力なエンジンを搭載するグレードだけに限定したことで「スポーツセダン」としてのブランドイメージを確立。
他社では見られない「フルタイム4WDのみ」というラインナップも差別化要因となり、「家族持ちだが、運転そのものも楽しみたい」といったユーザーのニーズに確実に応えてきました。
その結果、レガシィB4は長きにわたり「まあまあ人気のカタログモデル」としてスバルファンには愛されてきたのです。
■なぜ生産終了へ?
しかし、2019年4月、スバルは「2020年秋にレガシィB4の国内生産を打ち切る」と発表しました。米国での生産は続きますが、群馬製作所での生産が終了するのです。
この流れも、先述のマークX同様「世の中のセダン離れ」が招いたものです。一部のB4ファンは「新型も国内で売ってくれよ!」と強く願っており、実際、米国で生産されるB4が日本へ「輸入」される可能性はあります。
ただ少なくとも、日米の両拠点でレガシィB4というセダンを生産する余力がなくなるほど、「セダン離れ」が進んでいるのは事実です。
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