■利益前提だけで考えると、新しいイノベーションは生まれない
清水…ホンダが開発している全固体電池の作り方も、燃料電池のスタックの作り方に近いと聞いています。
長谷部…燃料電池の技術云々ではなくて、ホンダ全体でスペシャリストたちが担当する技術を高め合って、活かせる部分は活かしていくといったスタンスですね。
本郷…ホンダはずっと燃料電池の開発をされているのですが、今後は日本でも力を入れていく方針ですか?
生駒…モビリティだけでなく、そのほかの用途にも燃料電池の使用を拡大していく必要があると思います。
清水…ホンダは、大きなプロジェクトが始まる際に「どんな世界を実現するための仕事なのか」と徹底的に議論していますね。「A00(エーゼロゼロ)思想」と呼ばれているものです。水素の「A00思想」は、これを持続可能なエネルギーにしていくこと……、そんな感じですよね?
長谷部…はい。再生可能エネルギーの電気は、積極的に使っていくことが大切ですが、それだけではダメ。水素を筆頭に、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、手段の選択肢に磨きをかけていくことが大切です。
清水…技術はあくまで手段なので、最初からお金儲け前提で考えてしまうと、新しいイノベーションが生まれない。だから「A00思想」のような考え方は、日本人らしくて好きですね。
本郷…深いですね!!
清水…今、中国の勢いは凄いけど、大切なことは「なにを次の世代に残していくべきなのか」。その場しのぎではダメで、技術者は長い目で哲学やビジョンを持って、多少我慢することも大事かなと。5年くらいは見ないとね。
本郷…長谷部さん、「水素の軸」で見ると、5年後はどうなっていますかね?
長谷部…5年後は飛躍のチャンスだと考えています。各国から政策誘導資金も入ってきているので、多くの方に使っていただける水素を作ることが目標です。
本郷…今だとタンクの規制も影響がありますよね?
生駒…水素タンクの積み方の自由度が増す話もありますので、規制次第では新たな可能性があるはずです。
■まさかの「燃料電池N-ONE」のワンメイクレース!?
清水…常温液体の水素キャリアってどうですか?
生駒…大学時代に液体水素を扱う難しさをこの目で見ていたので、ハードルは高いと思います。
本郷…燃料電池を発展させていくことは、日本人にとってもありがたいことですが、清水さんは、どんなことを期待したいですか?
清水…燃料電池のワンメイクレースとかやってほしいですよね!!
生駒…モータースポーツ好きですし……検討します!
清水…N-ONEに搭載してやったら、盛り上がりそうですよね!
本郷…長谷部さんはいかがでしょうか?
長谷部…燃料電池は社会に貢献できる領域がありますので、社外の取り組みもやっていきたいです!
■ホンダのブース展示は?
ホンダブースには、日本カー・オブ・ザ・イヤー2024-2025の「テクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した、CR-V e:FCEVの実車2台とFCスタックを展示。燃料電池技術のパネル展示を含め、多くの人から強い関心が寄せられていた。
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コメント
コメントの使い方お金儲け前提でないA00思想で開発していく。この言質をホンダ全体で守って技術革新させていって頂きたいです。
というのも元からホンダ式燃料電池より大きく効率が上で一般と商用市販まで成し遂げているトヨタ式が、
この度さらに二割という大きな効率アップをしつつ、大幅な耐久性アップと経年劣化少なくする技術刷新したからです。
これに追い付き追い越すには二倍くらいの躍進が必須。ぜひ成し遂げてほしい