[整備士不足]をはいつ解決できる? [日産直系]の使命が時代を動かす!! 重慶から大規模な整備士養成が始まる

[整備士不足]をはいつ解決できる? [日産直系]の使命が時代を動かす!! 重慶から大規模な整備士養成が始まる

 整備士不足は社会的に大きな問題になっている。自動車のドクターとも言える整備士は国家資格でありながら、その待遇改善は進んでいるもののなかなか人手不足は解決されない。労働人口の減少で業界の高齢化もあり、このままでは自動車の安全性が根底から覆ってしまう。そこで日産自動車大学校と、中国の東風日産が立ち上がった。

文/写真:ベストカーWeb編集部

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整備士不足がここまで深刻なわけ

整備士確保は日本の自動車業界の早急な任務である。1月に東風日産が重慶の専門学校に教材車を贈呈した。スピーチする東風日産の関口総経理
整備士確保は日本の自動車業界の早急な任務である。1月に東風日産が重慶の専門学校に教材車を贈呈した。スピーチする東風日産の関口総経理

 自動車整備士といえば言わずもがな、自動車を整備できる国家資格なのだが、最近はなかなかいい話を聞かない。いわゆる3Kと呼ばれる「きつい・きたない・きけん」なイメージがついてしまい、労働人口がグッと減っている。

 国土交通省の調査資料によれば自動車整備士の平均年齢は平成23年度に42.8歳だったものが、令和4年には46.7歳にまで上がっている。また整備士不足による拘束時間の長時間化、そして最先端技術への対応など労働の割にはその対価も低い。

 実際の年間所得の推移は2011年の386万円から2022年には469万円にまで上がっているものの、それでも他職種から見ればまだ低い水準で推移しているのが現状だ。

 とはいえ、自動車整備は交通の安全性の根底を支えるものであり、このまま整備士人口が減れば大きな痛手になることは間違いない。国土交通省、自動車整備学校、そして自動車メーカーも手をこまねいているわけではないが、もっと抜本的な労働環境の変化が求められている。

 そんななか、自動車整備士人材の確保として、国土交通省も進めているのが海外からの人材登用だ。すでに留学生の受け入れは多くの自動車整備学校で進んでおり、街中の整備工場でも多くの外国人整備士を目にするようになった。

日産が立ち上がり優秀な人材を育成する

シルフィとパスファインダーが贈呈された
シルフィとパスファインダーが贈呈された

 海外からの人材登用についても積極的に推し進めているのが、全国に5校を展開する日産自動車大学校。グローバル畑で活躍してきた日産からの出向者も複数在籍していて、各校の教員が持つ教育力との相乗効果で対外的な視点を持っているのが同校の特徴だ。

 2025年1月には中国、重慶の公立専門学校「重慶能源工業技師学院(以下、重慶学院)」との提携を発表した。重慶といえば今や自動車開発での拠点となるなど、非常に未来が明るい都市でもある。

 今回は重慶で東風日産がシルフィとパスファインダーの2台を、実習車として重慶学院に寄贈する式典を直接取材してきた。これだけでも大きなニュースなのだが、実際は教育課程が大きな目玉になっている。

 それが重慶学院の自動車整備科には「日産コース」が設けられることが決まっており、3〜4年の課程において自動車整備の基礎と並行して日本語を学ぶ。このカリキュラムについては日産京都自動車大学校が監修をして、日本の整備レベルに繋がる教育を実践する。

 さらに重慶学院を卒業後は日本へステージを移し、半年間の日本語研修、そこから日産京都自動車大学校への入学となる。3年課程を経て国家2級整備士を取得して、日本のディーラーに就職することになる。

6年間を日産整備士への道に捧げる意味

将来の日本の整備を担う存在になるかもしれない学生と日産自動車大学校などの関係者。大きな可能性を秘めているはずだ
将来の日本の整備を担う存在になるかもしれない学生と日産自動車大学校などの関係者。大きな可能性を秘めているはずだ

 単純に計算すれば重慶学院の学生は最短6年以上の月日をかけて、日本の国家2級整備士を取得することになる。日本で言えば医学部のようなもので、これであればわざわざ日本に来て整備士になるのかという疑問を持つだろう。

 しかしその不安はどうやら不要そうだ。現地で話を聞けば「日本の自動車産業への憧れがたくさんある。やはり安全でハイテクの最先端は日本だ」という声をよく聞く。

 BYDなどの台頭は「お膝元」の中国国内でも相当なもの。振り返れば電動車を意味する緑のナンバープレートの中国車が溢れている。それでも日本車への確かな憧れや信頼を持っている人は少なくない。

 また中国での給与事情を考慮する必要もある。中国での平均給与の約1.5倍となる300万円以上の給与がある日本の環境はかなり魅力的。そうなれば6年の日々は決して遠回りではないのだ。

 日産自動車大学校の教育水準は高水準のもので、多くの整備士人材を輩出してきた。それは重慶からの学生にも生かされていくだろう。日本の整備業界を救うこの取り組みに注目をしていきたいが、やはり肝心なのがすでに国内で働いている整備士の待遇改善であることも忘れてはいけない。

 メディアとしてなにができるのか自問自答しつつ、整備士の待遇改善とこのプロジェクトの発展を期待していきたい。

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