クォォォ〜ン♪ という甲高いエキゾーストノートやブゥォォ〜ン♪ という地響きのようなターボサウンド。
好みは違えどクルマ好きはその音に魅了されるものです。が、最近の、特に国産車では「いい音って聞かないよな」という声がチラホラ。なぜいい音のクルマが難しいのか、その理由を音作りの現場から探っていきましょう。
文:ベストカー編集部
ベストカー2015年6月26日号
音量規制が、いい音作りを妨げているのか?
いい音にも好みがあるけど、そうはいっても多くのクルマ好きが、スーパーカーの甲高いサウンドに「うぉぉ!! これだ!!」と、思うのもまた真なり。
同時に「国産車じゃなかなかこの音はありませんね、なんでなの?」という疑問が生まれるわけだ。
そこでまずは、日産やスバルなどにも純正オプションのマフラーを供給し、アフターマーケットで絶大な人気を誇るフジツボにその疑問をぶつけてみた。
「たしかにレーシングカーのような甲高い音は『いい音』という評価が多いかもしれません。しかし、仮に音量の部分だけを日本の規制に当てはめたとすると、大幅にNGとなります」とのこと。
やっぱりというべきか第一の問題は規制なのか?
日本国内で販売するクルマのマフラー音量は、道路運送車両法のなかで決められていて、そのうち新車登録時だけでなく、車検時にもチェックされるのが「近接排気騒音」と呼ばれるもの。
規制値も年々厳しくなっているほか、平成15年から規制値以上のクルマで走った場合、罰金刑・懲役刑を適用するなど、相当風当たりも厳しくなっている。
さらに某新車装着向けマフラーメーカー開発者A氏は「実際、メーカー内ではその規制値よりさらに安全マージンをとった厳しい社内基準値を設けています」と、内情を教えてくれた。
たしかに「大きい音=いい音」という単純な話ではない。
が、国内マフラーメーカー大手のHKSに聞くと「あくまで保安基準内の話ですが、快感には音色だけでなく、ある程度の音の大きさも必要であると考えます」というように、ある程度の音量もいい音の重要な条件である。
F1の1.6L、V6ターボのエンジン音だって、それまでの2.4L、V8に比べ猛烈に静かになり、「掃除機のよう」と大不評を買っている。
そう考えると、じゃあ日本でも売られているスーパーカーたちの音ってなんでOKなの? となる。派手な排気音のイタリア系のスーパーカーたちは、日本で売られる以上きちんと規制をパスしている。
加えて欧州にもECE規定やEU指令などがあり、それに適合しないクルマは販売できない。欧州での規制値が日本に比べて緩いのか? といえば、日本の規制値は「国際基準の調和」という方針で欧州と大差ないので、その答えはノーだ。
そこで振り返って、日本の規制値の測定方法の話。細かい部分はおいておいて要はこれ、一定の状況だけ基準値をクリアすればOKということなのだ。
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