日本が誇るモノづくりの力。それは単なる技術力だけのことではなく、使う人の心を感動させる“モノ”をつくり上げる力でもある。
世界を見渡したときハイレベルなクルマは多数あるが、その高い壁を越えるクルマが日本車のなかにはいくつもある。今回はそんな「世界の壁を越える日本車」を紹介したい。
文:西川 淳
ベストカー2016年9月26日号
世界のキングが日本車のなかにもある!
絶対的なパフォーマンスで世界の壁を突き破り、価格帯を考えれば“実質的なキング”に君臨するモデルが国産現行車には2台も存在する。
日産GT-Rとトヨタランドクルーザーだ。いわば、オンとオフの“現実的な王者”がこの2台、というわけで、日本はもちろんのこと、いや、むしろ、海外での評価が異常に高い。
特にGT-Rは、初代スカイラインから“勝手にライバル”だと思ってきたポルシェの牙城を場面によって崩すことに成功した。
なにせ、ツルシの絶対パフォーマンスでポルシェターボを凌駕する。しかも、車両価格は半分以下。高性能車好きが手を出さないでおく理由はないと思う。今なお進化を続けている点も讃えたい。
そのオリジナリティの高さで、世界の壁というよりも、独自の世界観を作りあげたのがトヨタアルファード&ヴェルファイア、ホンダS660だ。この大小セットは、実に日本車らしい組み合わせだと思う。
日本からクルマ2台だけ持参して海外で生活しろ、と言われたら、迷わず、この2台を選ぶ。輸入車のなかに、これらに取って代われるモデルなどないからだ。
アルファード&ヴェルファイアは、現行モデルでかなり走りが改善されたとはいえ、いまだ後ろに座って移動することが最高のクルマであることに変わりはない。
そりゃ、ロールスやベントレーのようなステイタスはないかもしれない。けれども、腰を屈めずに乗り込めて、一定レベル以上の居心地のよさを実現し、乗り心地も改善された。
世界に誇れる、ニッポンのリムジンだ。きっと海外でも人気を博すと思う。高級ホテルにロールスやベントレーじゃ当たり前。そこにこつ然と、漆黒の巨大な筐体がやってくる! そして、その中身はゴージャス。面白いじゃないか!
S660については、あの大きさの本格的なミドシップカーという時点で、もうすでに誰も真似できないレベルのモデルだろう。
あのボディ骨格をそのまま大きくすれば、アウディR8だって真っ青だ。だいたい、マイクロミドシップカーを、ゼロから専用に作ってしまうなんて、欧米メーカーには理解できないはず。
最後にマツダ。SKYACTIVテクロノジーとその目指す方向は間違いなく世界の壁を越えている。
いろいろ魅力的なモデルがあるけれども、デザイン面も含めて最も“世界的”なのが、CX-3だと思う。こんなに格好いいコンパクトSUVはほかにない。
【世界の壁が100点なら何点か?】
■日産GT-R=120点
ポルシェターボの半値で同等の性能。見栄を張らずに乗ればいい。
■トヨタランドクルーザー=115点
悪路走破性能だけでいえばランドローバーと同等。
■トヨタアルファード/ヴェルファイア=110点
和製リムジンの決定版。
■ホンダS660=125点
欧米人の理解を超える。盆栽的スーパーカー。米粒アート。
■マツダCX-3=105点
このサイズでこのデザインは世界最高レベル
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