代官山 蔦屋書店が選ぶ 視覚で感じるクルマ本 (第1回)

 クルマ好きの「知の聖地」ともいえる代官山 蔦屋書店クルマ・バイクコーナー。

 同コーナーの名物コンシェルジュ清野龍太氏が、ベストカーWEBで定期的におすすめのクルマ本を紹介してくれることになった。

 その初回となる今回は「クルマの本」のイメージを大きく変えてくれるであろう、とっておきの5冊をお届けしよう。

 文:ベストカーWEB編集部/写真:西尾タクト


本をきっかけに「世界中のクルマ」に触れることができる

 どんなクルマ好きでも、世界中のあらゆるクルマにじかに触れることはできない。

 そこで助けになってくれるのが、“本”という存在だ。代官山 蔦屋書店には、クルマ好きの感性をビンビンに刺激してくれる”選りすぐりの本”をさらりと店頭に並べてしまう、クルマ・バイクコーナー専門のコンシェルジュがいる。

 その鋭い目利きで、売り場はクルマ好きの「知の聖地」ともいえる場所になっている。本コーナーでは、そんな達人が選ぶとっておきのクルマ本を紹介し、あらたな好奇心の扉を開くきっかけを提供したい。

 今回から本コーナーを担当してくれるのが、コンシェルジュの清野龍太(せいの・りゅうた)氏。大学卒業後にマーケティング・リサーチ関係で就職するものの、いつのまにか現職にあるという、かなりユニークな人物だ。

 当然クルマの知識はベストカー編集部員と比肩、いやそれ以上だろう。F1やグループA、WRCなどモータースポーツにも精通している。

 今回は“視覚”をテーマに文字よりも“視覚”で感じ取れるクルマ本をピックアップした。和書、洋書を問わずバリエーション豊かなクルマ本たちの世界にようこそ。

蔦屋書店

世界のオークション情報をこの1   で

 まず紹介したいのが『CLASSIC CAR AUCTION YEARBOOK 2015-2016』だ。

 簡単にいうと「オークションの落札リスト」である。ヨーロッパやアメリカで落札されたクルマたちの落札価格、落札会場などが記載されている。一見すると中古車店の関係者向きにも思えるのだが、読み解くほどに味わい深い1冊。

 「簡単に言えばエンスージアストの定番シリーズですかね。こちらはすでに売却済みのものですが、たとえば1989年式日産スカイラインGT-Rが、走行距離1.4万kmで8万2500ドルとあります。約1000万円。写真も豊富だしこういうのって肩肘張らず読めて面白いですよ」

 たしかにパラパラと見ているとフェラーリ335Sが42億円! で落札されているのを発見。

 見ているだけで飽きない1冊だ。もちろん高額落札車にはそのクルマのヒストリーなど詳しい解説があるから、数字以上のことも吸収できる。

CLASSIC CAR AUCTION YEARBOOK 2015-2016

 価格は税抜き1万1500円と高価だが年に1回のお楽しみ、12分割と考えると月々1000円で楽しめるデータブックとして収集の価値は十分にあるだろう。パラパラとめくりながら楽しむのがいい。

ヨーロッパやアメリカで落札されたクルマたちの落札価格、落札会場などが記載
写真とともにさまざまなデータも得られる。クルマの勉強にも実は最適な1冊

レーシングカーのデザインだけを追求した1冊

 次はグラフィック系の1冊を紹介しよう。『WHEN SEX WAS SAFE』。書名からして興味をそそる本書、ひらくと目に飛び込んでくるのが美しいグラフィックの数々だ。

 写真なのか、絵画なのか、それともCGなのか、一見すると判別できない。とにかく美しく刺激的。

 画像にもあるが「マクラーレンM23」が走っている下のシーン、これ実は富士スピードウェイの最終コーナー付近で、1976年の日本でのグランプリという記述もある。

 当然ながらその当時ここまで高画質のカメラがあるわけもなく、おそらくこの作品はCGと考えられる。しかしこの迫力と美しさ。見ているだけで当時の情景が頭に浮かぶ。

 「これは言葉があまり必要ない1冊ですね。大人の絵本とでも言うべきでしょうか。クルマ好きが自身の世界を広める1冊になると思います。

 1940年代のレースシーンをドローンの空撮視点で描いていたり、上から見るとこうだったのかな、という空想力も鍛えられます」

WHEN SEX WAS SAFE
マクラーレンM23。後ろには富士山も見える。もちろんCGなのだがとても美しい

チューナーが主題の写真集と、あの名カメラマンの1冊

 写真集というと日本ではアイドルの写真集が人気だが、クルマの写真集にも名著が存在する。今回紹介するのは『RWB -LIFE AFTER BIRTH-』と『小川義文 自動車』の2冊。

 ■この本の存在に価値がある

 まずは『RWB -LIFE AFTER BIRTH-』の紹介から。RWB(ラフヴェルト)は日本発のポルシェチューニングメーカーだ。

 代表の中井啓氏の独創性あふれるエアロパーツ、そしてその確実な仕事が日本のみならず、アメリカや香港など海外でも大きな反響を呼んでいる。

 必ず中井氏本人がクルマを仕上げるというスタンスをとっていて、それはたとえ海外からのオーダーでも変わらない。

 この写真集はオーストラリアのオーナーが製作を依頼した際に、中井氏が組み上げる1台の930をベース車両の段階から追っている。

 マスキングテープの貼り方、フェンダーを切り抜く姿など、意外性のあるシーンすらも「絵」に仕上げている。

 「この本は“存在する”ということに価値があります。RWBやポルシェが好きとか嫌いではなくて、たった1台のクルマでよくこんなに分厚い写真集にしたなと。

 そこに感心してしまいます。世界930冊限定ですが、きっと赤字覚悟かと思います。それでも圧倒的な写真の質で、なんとなく買ってしまう。やりたいことやった、そんな1冊ですね」

RWB -LIFE AFTER BIRTH-
RWB -LIFE AFTER BIRTH-

 ■名カメラマンが独自の世界観でクルマを切り取る

 小川義文氏といえば日本を代表する自動車写真家であり、その活動は国内に留まらず海外にも及ぶ。

 ポルシェをはじめ多くの名車たちが、小川氏のファインダーを通して現実世界から切り取られる。ひと目で「あのクルマだ」とすぐわかる写真ばかりだが、その着目点は独創的だ。

 清野氏と担当が見入っている下の画像は、イギリスで撮影されたスカイラインGT-Rの1枚。当然ながらこのページに文字はない。しかしイギリスだとわかるヒントがその構図には何点もあった。その構図作りに思わず言葉を失ってしまう。

小川義文 自動車

 「小川さんの原稿も載っていますが、やはり写真の説得力が抜群です。言葉が要らないんですよね。

 見る人によって見え方も変わります。今回は本を作る人、本を売る人で見え方が異なりました。それこそが写真集の醍醐味。言葉は多くは要りません」

思わず二人して写真に見入ってしまう。クルマ好きなら必ずこうなるはず

代官山 蔦屋書店では清野さんと語らおう!!

 代官山 蔦屋書店では本のプロフェッショナル、コンシェルジュがいる。クルマ担当の清野さんが出勤している際はぜひ声をかけてみてはどうだろうか? 

 こんな本を探している、こんなクルマが好きなのだけど。そんな会話からきっとあなたが欲しい1冊を導いてくれるはずだ。

 担当が個人的におすすめのDVDを聞いてみると『GOODWOOD FESTIVAL 2016』を紹介してくれた。180分でレジェンドマシンが本気で走るという内容だ。

 「これマジメに見なくて、流しっぱなしでもいいんですよ。画面を見ていなくても仕事しながらこのサウンドを聴いていると、きっと仕事もはかどると思いますよ。だって後ろからマクラーレンのサウンドしてくるんですよ? 最高じゃないですか」

 やはりなんでも聞いてみるものだ。できれば、自分が読まなそうなジャンルの1冊をぜひ聞いてみてほしい。

 そのジャンルの入門編を教えてくれるはずだ。次回は4月下旬の更新予定。乞うご期待。

多くのDVDも販売している。ちなみにこちらのDVDは海外規格だがPCならば問題なく再生可能

■今回紹介したブックリスト

■代官山 蔦屋書店クルマ・バイクコーナー

  • TEL:03-3770-2525
  • 住所:東京都渋谷区猿楽町17-5 代官山Tサイト
  • 営業時間(年中無休):7:00-26:00(1F)/9:00-26:00(2F)

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