あの大統領が語る!? 日本でのアメ車の立ち位置

あの大統領が語る!? 日本でのアメ車の立ち位置

連日ニュースを賑わせているアメリカのトランプ大統領。クルマ好きにとっては大統領がアメ車が売れない日本に怒っている、なんて話題も気になるところ。左ハンドルしかない、大きすぎる、そんな日本におけるアメ車たちの現状をどう思っているのだろうか。大統領に直撃インタビュー。

文:渡辺陽一郎/写真:西尾タクト
ベストカー2017年4月10日号



なにを語る、大統領


HEY,ジャパニーズピープル! ナイストゥミーチュー! アイ アム ドナルドからの~……ダック!!! HAHAHAHA ノーノーノー ダック、ノーノー アイム・ドナルド・トラ~ンプ!!

テンション上げすぎちょとキツイね~。ここからは通訳を介して喋らせてもらうゼ。ミスター・シンゾーがUSAに来てくれたお礼に、オレもはるばる来たゼ、JAPAN。

ここに来た理由は、ニポンでマイアメリカンカーが売れていないと聞いたからだ。今日乗っているキャデラックはグレート&ワンダフル&ストロングなクルマだ。ATSはベリースモールなセダンだが、ニポンの道にちょうどイイだろう? エスカレードはUSAのグレートさを全身で表現しているSUVだ。俺の心のようにビッグ、ビッグ……

 

─お話中、失礼します。
フフン? フーアーユー?

─ベストカー編集部と申します。
ベストカー? 何の用だ?

─キャデラックいいですね。
オフコース 世界最高のクルマだゼ。

─こんなにいいクルマがなぜ日本で売れないのでしょうか?
ニポンマーケットが不公平だからネ。

─いや、不公平じゃないですよ。輸入車の関税もありませんし、年間5000台以下を対象にした特別取扱制度もあります。実際ヨーロッパ車は売れていて、日本国内の輸入車シェアはどんどん上がっています。
じゃナゼダ?

─単純に商品力の問題ではないかと。
オマエはキャデラックがダメなクルマだと言うのか!?

─いえ、改めて思いましたが、いいクルマです。でも、日本には国産、輸入車を含めてほかにもいいクルマがたくさんあって、そこから消費者に選ばれるのは大変なことです。国籍にかかわらず売れないクルマは必ずあります。
ガッデム。うるさいヤツだ。フェイクニュースばかりのフェイクマガジンのくせに!

─よく言われます。でも大統領、嬉しいです、日本に来てくれて。いかがでしたか、日本で乗るキャデラックは?
グレート!! グレート過ぎて手に余る。

─エスカレードはそうでしょうね。ATSはサイズ的にはいいんですけどね。
ドイツ車みたいだ。レクサスみたいとも言える。

─確かに。私も久しぶりに乗って、すばらしいクルマだと思いましたよ。かっこいいし足もしっかりしているし、高速安定性も最高。
イエス。そうだろう? でも、そういうのを求めるならドイツ車のほうがいいという意見もある。

─大統領、急にマトモなことをいうようになりましたね。あれ? そのメガネは?
このカツラ、ずっとかぶってると頭が痛くなっちゃってさ~。

─あ! 渡辺陽一郎さん!
なーにが「あ!」だよ。凝ったメイクしちゃって。

─お台場ですごい人気でしたね。もう一回だけ"アレ"やってくださいよ
もう、しょうがないなぁ……。メイク・アメリカ・グレート・アゲイン!!

─最高~!
はい、おしまい。帰ろ帰ろ。


クルーザーのような雰囲気のエスカレード。その巨体もさることながら豪快なエンジンフィールなどはまさにアメ車のイメージどおり。力まないクルマ作りは実にアメ車らしいが…


クルマとしての完成度には定評のあるATS。ニュルブルクリンクを走り込んだアメ車は、日本人にはどう映る!?

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渡辺トランプがマジメに語る、ニッポンのアメ車評


エスカレードのV型8気筒エンジンは、2.7トンのボディを悠々と加速させる。全幅が2mを超える巨体は扱いにくいが、これも持ち味だ。ただしサイズのわりに車内は狭い。身長170cmの大人6名が乗車して、2列目に座る乗員の膝先空間は握りコブシ2つぶん。3列目は膝を抱える補助席だから、北米でローグとして売られるエクストレイルのほうが快適だ。

その点でATSは常識的だが、車内の雰囲気や少し機敏な運転感覚がレクサスに似ている。両ブランドとも欧州の高級車を視野に入れ、スポーティ感覚をわかりやすく表現した結果だろう。これでは日本では売れない。日本車に似たアメリカ車など、何の魅力もないからだ。

重要なのは「アメリカ車に何を求めるか」だ。それは日本車や欧州車とは違う、大柄で大胆な外観とか、豪快でルーズな運転感覚だろう。エスカレードはそれに近いが、内装は中途半端に上質で価格は1249万円以上。これを輸入するなら、ベースとなるシボレータホのシンプルなLSあたりを半額で売るべきだ。

今のアメリカンセダンにはATSのような日本車風が増えたから、トランプ大統領のように「強いアメリカ車だぞー!」と思わせるのは、SUVと、シボレーカマロ/ダッジチャレンジャー/フォードマスタングといったクーペになる。これらの思い切り安価なグレードが欲しい。

この話を以前インポーターに持ちかけたら「本国のメーカーは日本を長期的に攻略したいから、コンパクトで上質な車種を投入する」と返答された。そこがダメなのだ。日本で多く使われるクルマと、日本のユーザーがアメリカに求めるクルマはぜんぜん違う。大排気量OHVのような、細かなことにこだわらない古典的なアメリカ車が欲しい。

今回の取材では、初めてカツラを付けた。撮影が終わると、カメラマンが路面に星条旗を敷いて飲みかけのコカコーラを置き、金髪のカツラを被せた。それは今回の取材の結論だった。アメリカ車を象徴する派手なメッキグリルも、トランプ大統領が唱える強いアメリカも、後年に振り返れば金髪のカツラと同じ虚構で、もはやボトルの中のコーラの如く終焉が近いのではないか。

ならば残りのコーラを大いに楽しもう。持続可能な戦略、ATSの2Lターボなどは不要だ。V8のオプショナルエンジンを積んだピックアップなど、アメリカでしか得られない、安くて破天荒なクルマを刹那的に輸入してほしい。よし悪しは別にして、トランプ大統領のようなクルマこそ、真のアメリカ車なのだ。(渡辺陽一郎)


アメリカらしいアメリカ。まさに日本のユーザーはそれを望んでいるのかもしれない

 

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