北海道苫小牧にある日産サービスセンター。自動車メディアとしてもあまり馴染みのない会社だが、実は日産100%子会社であり、ディーラー納車前の整備をする会社だ。その日産サービスセンターが第二世代GT-Rの「リビルド」を開始した。レストアとは何が違うのか、そして日産直系の会社がなぜそのサービスをするのか。その思いは並々ならぬ担当者個人の思いがあった。
文/写真:ベストカーWeb編集長 塩川雅人
【画像ギャラリー】GT-Rを日本に残せ!! 明朗会計のボディリビルドに光る日産直系の愛を見よ(13枚)画像ギャラリーなかなか大変なボディの修正・修復
愛車が「やれる」という表現はクルマ好きなら一度は耳にするものだろう。なんとなく新車から比較するとダルい乗り味、ハンドリングがブレるなど色々な症状がある。
ショックアブソーバー、ブッシュ、タイヤ、ハブベアリングなど数多の部品交換はできるものの、最終的にはボディが劣化してしまう場合も多い。特に1990年代の車両であれば「剛性」という概念が浸透してきた時期ではあるものの、現代の技術から見れば発展途上だった時期だし、経年劣化を考えると残存車両たちのボディはふにゃふにゃになっている可能性は高い。
特に第二世代GT-Rと呼ばれるR32からR34までのRB26DETTを搭載するスカイラインGT-Rにいたっては、強力なパワーとトルクを最大30年以上も受け止めてきたわけだ。さらに経年劣化によるサビの進行など、ボディの修復はオーナーにとって死活問題。
もちろんGT-Rのような人気車種になるとエンジン、ボディ、足回り、ECUなど数多の専門ショップが存在しており修理に困ることはあまりない。しかしショップによっては明朗会計にならないこともあるし、特に板金については「言い値」が横行することも多い。
板金は「やってみなきゃわからない」というのはわかるが、消費者としてはかなりの覚悟をしないといけないのも事実。最終的に「あれも必要、これも必要」となり、当初見積もりの数倍になってしまったというオーナーの声は珍しくない。
そこに立ち上がったのが「日産サービスセンター」だ。
【画像ギャラリー】GT-Rを日本に残せ!! 明朗会計のボディリビルドに光る日産直系の愛を見よ(13枚)画像ギャラリー「愛車のDR30のボディが直せなく乗れなくなってしまったんです」
「日産サービスセンター」という名称を知っている人は少ないだろう。お察しの通り、日産の子会社なのだが、大まかに説明するとディーラーの納車前の車両を整備する会社だ。具体的には日産の工場から出荷された車両にオプションをつけたり、塗装面の研磨などをする。いわば日産車の「最後の品質の番人」だ。
そんな日産サービスセンターがなぜGT-Rのレストアを手掛けるのか。仕掛け人である日産サービスセンター北海道支社の越智政之さんに聞いてみた。
「もともと、私自身走るのが大好きでDR30に乗っていたんです。”鉄仮面”ですね。色々と修理やカスタマイズをしていたのですが、ボディの劣化だけは板金工場に持ち込んでもどうしようもなかった。それでDR30を手放してしまったのです」。
そんな思いからいつかはボディをきっちり直せる仕事がしたいという思いがあったという。もともとは日産のバリバリのエンジニアだった越智さんなので、そのこだわりは半端じゃない。
編集担当の思い込みだったら申し訳ないが、越智さんからは「このサービスは儲かるぞ」という商売っ気を感じなかった。それはきっとそのバックグラウンドの影響なのだろう。だからクルマ好きとして、どうしても取材にも力が入ってしまうのだが(笑)。
さらに越智さんが強く念押ししていたポイントが「リビルド」ということ。通常であれば板金を伴う修復は「レストア」になるのだが、日産サービスセンターが実施するのはリビルドだという。
「レストアは工場出荷直後の姿に戻すことを言いますよね。しかしここでは愛車を”飾る”ではなく”走る”お客さまを対象にしています。だからレストアではなく、あくまでもリビルドなのです」。
例えばフェラーリには「クラシケ」という認定制度がある。純正部品、認定工場でレストアした販売から20年以上経過したクラシックモデルを、メーカー自体が認定して価値を高めるものだ。メーカーが認定したレストアなのだから、その価値はぐーんと増える。
しかし日産サービスセンターはこのフェラーリの「クラシケ」とはやや異なる道を歩む。手段や部品は選ばずハードとしてのクルマの性能を取り戻すことに主眼を置いているのだ。これは越智さんが日産のエンジニアだったからこその発想だし、最新技術を投じて新車同等以上のボディを標榜しているのはなんとも職人魂を感じる。
クルマ作りはいっときの感情よりも、間違いのないエンジニアリングが必要。なんだか日産サービスセンターの現場を見ていると、そんな言葉が思い浮かんできた。往年の日産魂を感じてしまう。



















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