せっかくの板金職人の技術を失ってはいけない
前置きが長くなったが、早速作業を拝見させていただいた。とてつもなく大きな作業場には日産車はもちろんのこと、デリカミニなどアライアンス関係のある三菱車も見える。納車整備を日産がしているとはこれまた驚き。
奥に進むとサフェイサーに包まれたシャシーが見えてきた。R32だ。編集担当も乗っていたからすぐわかるこの雄々しいフォルム。ジャッキアップポイントやリアフェンダーのサビ。サイドシルも開けてゾッとした思い出が蘇る。
作業を担当していた職人さんが言う。
「ほら、ここの穴。これを埋めちゃうんですよ。製造時には必要な穴なのですが、実際に乗っているときには不要な穴。水も入ってしまうのでなるべく埋めたいんです。だからレストア、ではないですよね。ただ飾っておくだけなら削ってパテで滑らかにして、色を塗ればいい。でも走るとなるとそうはいかないので」。
このちょっと不器用ながらもクルマへの愛を感じる言い方がたまらない。職人技ってこういうことだよねとつくづく実感する。
「もともと北海道は凍結防止剤の影響もありとんでもないレベルの塩害車両がいます。その板金もディーラから日産サービスセンターが受けていましたから、元から板金は高いレベルにあるんです」と前出の越智さん。GT-R専門の板金の匠を育て上げるというよりは、元からレベルの高い板金職人をGT-Rにアジャストしていくと言うのが正しい理解だろう。
日産サービスセンターには腕の立つ板金職人が多く在籍しているが、業態の転換や時代の変化もあり、板金部門を閉じてしまった拠点もある。実はGT-Rのリビルドサービスは板金技術の継承にも役立っており、日産サービスセンターの看板をより強固で信頼性を高める副次的な効果も見込めるのだ。
「GT-Rに限定していないサービス、日産車なら相談してほしい」
作業場の奥に歩を進めると先ほどのリビルド途中のR32のパーツがすべてバラされて保管されている。R35のキャリパー、ニスモのマフラー「NE-1」も見える。足回りもオーリンズDFV、サスペンションリンクはニスモなどいかにR32を愛するオーナーなのかよくわかる。
しかしパーツをバラすのはこの個体だけの特別扱いではない。すべての車両は内外装をすべてバラして、サビや溶接の劣化を確認する。すべて込みで599万5000円というワンプライスになるが、仕事内容を見ればもはや破格だ。これは日産グループならではの強みだし、神奈川の京浜支社で預かった車両の一部は日産の新車と同じ船便で苫小牧に運ばれるなど、自動車メーカー直系の底力は追従を許さない。
さらに驚きなのがGT-R限定のサービスではなく、実際は日産車なら相談してほしいという。
「GT-Rだけではなく、思い入れのある日産車のリビルドも対応します。ただ価格はGT-Rと変わらずの約600万円なので、相当な思い入れがないとなかなかご依頼をいただくのは難しいかなとは思います」。
日産サービスセンターのボディリビルドのサービスの認知度もどんどん上がっており、今や2029年いっぱいの枠が埋まっているという。日産自動車本体が元気を取り戻すには少し時間がかかるだろうが、日産サービスセンター(日産自動車大学校の卒業生が活躍しているのもイイ)の奮闘はポジティブな日産のイメージリーダーになりそうだ。
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