タカタ問題は異例!? リコール費用はメーカー負担のケースもあり
今回のリコールは、タカタが自動車メーカーに供給しているエアバッグに欠陥が生じたので、タカタが話題に取り上げられ、責任の所在とされた。
しかし大半のリコールにおいては、タカタのような部品やユニットを供給するサプライヤーの社名は挙がらない。
その意味で今回のリコールは、特殊なケースともいえるだろう。
もっともメーカーの発表などにサプライヤーの社名が挙がらなくても、内々ではメーカーがサプライヤーに対して損害賠償請求をしている場合はある。
例えばリヤゲートを開いたのに垂れ下がってしまう、ATなどのユニットが過熱するといったリコールがあった場合、サプライヤーの供給した部品等に問題があれば、自動車メーカーはリコールによって生じた損害をサプライヤーに請求できるからだ。
タカタは規模が大きく、複数の自動車メーカーに供給していたので、大きく取り上げられた。
いっぽうで、サプライヤーに責任が生じないリコールもある。
サプライヤーに対するメーカーの発注内容に不具合の原因があったり、エンジンやボディなど、メーカーが製造している箇所に問題が生じれば、それは内々においてもメーカー自身の責任になるからだ。
今回の件では、リコール通知から一連の報道まで、すべてにおいて「タカタ」という言葉が出てくるが、ユーザーはタカタからエアバッグを購入して取り付けているわけではない。
タカタ製とオートリブ製をユーザーが選べる自由もないから、エアバッグの製造メーカーがどこかなど、ユーザーにとって知ったことではない。ユーザーから見た時の責任の所在は、タカタではなく自動車メーカーにある。
私の場合、先の通知では「VWの調査で異常破裂は確認されていない」とされているが、一抹の不安を抱えながら運転している。
それはVWポロのエアバッグに対する不安であり、タカタ製か否かの問題ではない。この点を取り違えてはダメだ。
自動車メーカーは、大手マスコミにとっても大切なスポンサーだから、鋒先をタカタに向けることで、メーカーへの批判を弱めようとしているのではないか、などと考えてしまう。
リコールの責任をタカタだけに押しつけてはいけない
リコールの制度は、ユーザーと自動車業界の両方に大きなメリットをもたらす。車両の信頼性に不安が生じた時、その情報を、ユーザーを含めて多くの人達で共有できるからだ。
従ってリコールを発生させたメーカーなどの当事者を過度に責めてはいけない。リコール隠しに繋がるからだ。
ただし、タカタのエアバッグに関する報道と世間の反応を見ていると、一抹の不安を感じる。
ユーザーに対して責任を持つべき製造メーカーの帰責性が曖昧になり、もっぱらサプライヤーのタカタが責められているからだ。
これでは今後も規模の小さなサプライヤーが社会的な責任を問われ、根本的な帰責性が製造メーカーに生じた時は、リコール隠しが発生しかねない。
読者諸兄がリコールの通知を受け取った時は、まず内容を正確に把握することが大切になる。
サプライヤーの社名が出てくることもあるだろうが、あくまでも責任の所在はメーカーにあると考え、安全を最優先して対処していただきたい。
ご自分の使い方を考えて不安が伴う時は、販売店に代車を要求するなど、対策を講じるのがいいと思う。
この程度しか対処できないのが実情だ。それだけに自動車メーカーの責任は重い。
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