知らぬ間に変わっている!? 頻繁な改良には難しい側面も
しかし、頻繁な改良はすでに購入したユーザーから見ると愉快ではない。購入直後に改良されたら、愛車が古く感じられて魅力が薄れる。これはアイサイトツーリングアシストのような装備だけでなく、足回りの設定などにも当てはまる。
例えばWRX S4は、2015年6月に乗り心地の改善を目的に足回りの設定を変えた。これによりノーマルサスペンションを備えた2.0GTアイサイトは、下り坂で制動を強いられた時などに、後輪の接地性が少し低下した。そこを2017年7月の改良で直している。
開発者は「ノーマルサスペンション装着車は乗り心地に少し振りすぎたので、改めて調整した」という。
また、トヨタの話だが、2017年6月にマイナーチェンジされたハリアーを試乗すると、以前から設定のあった2Lエンジン車やハイブリッドについても足回りの設定が変わっていたのだった。
発売時点ではハンドルを切った時に少し唐突にボディが傾いて安定不足を感じたが、現行型では改良されている。
そのことを開発者に尋ねると、
「今回の改良では足回りに手を入れていない」という。そこで走りに違いがあったことを告げると「実は発売時点では充分に煮詰め切れなかった部分があり、発売後の最初の改良(2015年6月)で手を加えた。ただし、発売直後に購入されたお客様に申し訳ないので発表は控えた」
と返答された。この開発者は頻繁な改良は商品力を高く保つうえで不可欠だが、すでに購入したユーザーには辛く受け取られることを認識していた。
多くのユーザーが満足するために「2年間は改良不要に」
好ましいのは入念な開発を行って万全な状態で発売することだ。そして少なくとも2年間は改良をせずにすむようにする。この開発を確立すれば、唐突な改良もなくユーザーの心証を害さない。
ちなみに、昭和時代の日本車では、排出ガス規制の対応に追われた時期を除くと、フルモデルチェンジは4年ごと、その間にマイナーチェンジを挟むサイクルが定着していた。
ユーザーや販売店もそれを知っていたから、新車を買おうとした時に適切な購入時期を選べた。この話題にかぎらず、昔の商品開発や売り方から学ぶべきことは多いと思う。
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