2017年7月26日、イギリスのコーブ環境大臣が「2040年からイギリス国内でのガソリン車およびディーゼル車の新車販売を禁止する」と発表しました。
今年に入ってからフランスも同様の発表をしており、欧州でのEV化促進政策がますます進むことになります。
しかし2040年といえば(ずいぶん先の話とはいえ)あと23年後。そんなに早く全販売車EV化なんて出来るのでしょうか? もうガソリン車やディーゼル車に未来や希望はないの?
「そんなことはない」と語るのは自動車ジャーナリストの鈴木直也氏。以下、論考を寄せてくれたので紹介します。
文:鈴木直也
ベストカー2017年9月26日号
■「エンジン」にこだわるマツダのしたたかな戦略
フランスとイギリスが2040年までに内燃機関で走るクルマを禁止! そんな衝撃のニュースが報じられた2017年7月以来、にわかにEVをはじめとする新エネルギー車への期待が高まっている。
ただし、両国とも派手な宣言はブチ上げたものの、規制の詳細や経過措置をどうするのかなど、具体的な実現方法はまったく霧の中。専門家の多くは、政治的なパフォーマンスに過ぎないのではと、かなり懐疑的に見ている。
そうはいっても一国のリーダーがこうしてはっきりと政策ポリシーを打ち出した以上、その影響は大きい。
1999年に石原都知事がペットボトルの中に入った「スス」を振り回して見せながら記者たちにディーゼル規制を叫んだことで、日本ではディーゼルのクリーン化が一気に加速した。
これからの20年、欧州を中心とした先進国で脱内燃機関化が加速することは間違いない。
そんなタイミングで、2017年8月8日にマツダは2030年を見据えた技術開発の長期ビジョン「サステイナブル〝Zoom-Zoom〟宣言2030」を公表した。目玉は、SKYACTIV-Xと銘打った圧縮着火ガソリンエンジンの実用化。
内燃機関の新技術を発表して、「まだまだガソリンエンジンには可能性がある」と示したわけだ。
勢いづくEVバブルを前にすると、まるで風車に挑むドン・キホーテといった役回りだが、よーく吟味してみるとマツダならではの「したたかな戦略」が見えてくる。
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