ついに開始!! 110キロ試行の新東名 『速度無制限』アウトバーンと何が違う?

日本とはまるで違うアウトバーンの運転マナー

 しかし、運転マナーは大きく異なる。

 全体の5~6割が速度無制限のアウトバーンは、完全な弱肉強食世界で、遅い車は速い車に絶対的に進路を譲らなければならない。

 そのため、どんな速度で走っていても、「キープライト」が鉄則。右側追越(日本でいう左側からの追越)は重大な違反で、すぐに通報されてしまう。

 キープライト徹底なので、300km/h巡行でも、他に車がいなければ第一走行帯(一番右車線:日本でいう左側車線)に戻る。感嘆するほど見事なマナーである。

 日本は制限速度が低いため、こういったマナーはまったく形成されていない。これは国民性ではなくルールが生んだもので、日本人が悪いわけではない。

 また、アウトバーンではトレーラーは制限速度80km/hで、追越車線に出てくることは滅多にないが、これは交通量の少なさが貢献している面も大きい。

 日本は、太平洋ベルト地帯の線上に大部分の大都市が集中していて、どうしても東名・名神に交通が集中する。しかも車線数は基本「4」と最小限。

 しかし、ドイツの都市は面に分散しており、車線数にも余裕があるので、混雑する区間そのものがあまりないのである。

最高速度は違っても死亡事故率は同水準

 死亡事故発生率は、2010年の統計で、日本1.7、ドイツ1.9(1億台キロあたり)。ほぼ同水準だが、どちらも世界的に見ると低い部類に入る。

 ただ内容を見ると、ドイツでは高速走行ゆえに乗員の死亡事故が多いのに対して、日本では高速道路上の停止車両や、そこから降りた歩行者の死亡事故が多いのが特徴だ。

【清水草一】

◆  ◆  ◆

 このように新東名とアウトバーンは、主に運転マナーの違いがあるいっぽうで、道路の構造で比べると、新東名はアウトバーンとほぼ同水準といえる作り。死亡事故率にも大差はない。

 新東名の最高速度110km/h試行は1年間続けられ、そのうえで120km/hまで最高速度を引き上げるかどうか検討される見込み。今後、速度引き上げの議論が深まることに期待したい。

長い直線が続く新東名。最高速度引き上げは慎重に検討すべきだが、都市間の所要時間短縮などのメリットもある。今後、きちんとした議論が深まることに期待したい(写真提供/中日本高速道路)
長い直線が続く新東名高速道路(写真提供/中日本高速道路)

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