スバル唯一の7人乗りモデルである「エクシーガクロスオーバー7」が2018年3月をもって生産終了するというニュースが飛び込んできた。
受注の申込は2017年12月18日まで。水平対向エンジンを搭載したクロスオーバー型ミニバンなんて、もうこの先二度と発売されないかもしれない……そう思ったらいてもたってもいられず、追悼企画を用意しました。
できましたらスバルさん、ぜひ後継車を用意していただきたいのですが……。
文:大音安弘
■初登場から9年5カ月、お疲れさまでした!
エクシーガの歴史を振り返ると、2008年6月17日に、ドミンゴ以来10年ぶりとなる自社製7シーターモデルとして誕生(トラヴィックは2004年まで販売していたが、オペル・ザフィーラのOEMだった)。
4代目レガシィと共通性の高いスポーティなエクステリア持つ背高ステーションワゴンスタイルが特徴で、発売当初はミニバンとは謳っておらず、ライバルとなる他社ミニバンにない高出力ターボモデルも設定していた。
初代発売より7年をへた2015年4月16日、エクシーガは大胆なリニューアル戦略に打って出る。なんとクロスオーバーSUVへの転身だ。
前後バンパー、サイドシル、ホイールアーチに樹脂製のクラッディングを施し、大型グリルやルーフレールを追加。
さらに専用足回りにより170mmの最低地上高を確保した上、インテリアもタンカラーをベースとしたモダンな雰囲気に変更。名称も「エクシーガ クロスーバー7」に改名した。
それまで販売が低迷していたエクシーガだったが、SUVブームにも後押しされ、販売台数の回復に成功した。
しかしながら、登場より9年を迎え、新世代モデルたちの差が開いてきたのも事実。アイサイトも唯一のVer.2搭載車となってしまった。そこでいよいよ引退が決定されたのだろう。
■走ってみれば、さすがスバル
改めてクロスオーバー7に乗ってみると、やはり運転感覚はステーションワゴンに近く、ミニバンであることをあまり意識させない。
当初、敢えてミニバンを名乗らなかったのも、この特徴をアピールしたかったのだろう。正直いまも「ミニバン」と言っていいのかどうか迷いがある。
もちろん3列シートの快適性を実現させるために、頭上空間にゆとりが与えられ、乗降性に優れるだけでなく、ガラスエリアも広くとられているので、視界もよく、運転もし易い。
クロスオーバー化による専用足回りは、走りのスバルだけあって、ロールを抑えながら、快適な乗り心地も実現。これなら長距離でも疲れにくそうだ。もちろん、AWDなのでアウトドアにも適している。
パワーユニットは、2.5Lの水平対向4気筒エンジンとCVTのリニアトロニックの1種類のみとなったが、173ps/235Nmを発揮し、高速道路やワインディングでも必要十分な動力を持つ。3モードのSIドライブを使いこなせば、スポーティな走りも楽しめる。
■「アイサイトが付いた3列シート車」と考えれば
アイサイトは、すでに他モデルでは全車Ver.3、一部はそこからさらに進化しているので、久々のVer.2体験だったが、全車速対応ACC、衝突被害回避軽減ブレーキ、先行車発進お知らせ機能、AT誤発進抑制制御、車線逸脱機能など、今も求められる基本的な機能はしっかりと押さえており、高速の渋滞時やクルージング走行などでサポートをしてくれ、アイサイトの存在価値を再認識させてくれた。
さすがにインテリアに新しさはないが、タンカラーのインテリアは、なかなか洒落ていて良い。
試乗車は、ブラック/タンの撥水シートを持つ「X-BREAK」だったが、個人的には、インテリアがタンカラーとなる標準仕様車の「2.5iアイサイト」のほうが好みだ。
落ち着きを求めるなら、ダークブラウンインテリアの「モダンスタイル」という選択もある。
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