■なぜ車種削減案は現場に通達されないのか?
「販売戦略会議」が実際にあったかどうかはともかく、その削減案には説得力があるし、現場も納得できるものだろう。
しかし、ではなぜその削減案は販売現場に対してオープンにされないのか?
その理由としては、現在、生産販売しているモデルへのマイナス影響と営業部隊への士気ダウンへの配慮が考えられる。
例えばこの2月13日にはジュークが法規対応で一部改良を実施する。
4月1日にはキューブがマイナーチェンジ予定。
冒頭の削減案によればこの両モデルとも「撤退もしくは三菱とのOEM車転換」の対象になっているので、当面の商品改良にとってマイナスになる可能性がある。
また、「マーチもOEM供給車になる」というのは、三菱のミラージュもタイからの輸入モデルであるから、「次期モデルはミラージュに統一され、マーチは三菱からのOEM車両になる」というのも理屈に合う。
となるとマーチの派生モデルである次期型キューブもタイからの輸入モデルとなると、国内販売での成功率は低くなる。
現状、NV200バネットはデリカD:3として三菱にOEM供給している。これと次期型キューブを統合して三菱が開発、日産へOEM供給する……ということになるのかもしれない。
次期型ジュークはもともと次期型RVRと統合される、という情報が入っていた。開発の主体は日産か三菱かはわからないが、同じプラットフォームを使うことはまず間違いない。
最後に「EVを一車種追加」という話だが、日産はEVを当面4車種態勢に拡大すると表明しているので、ほぼ間違いない路線と思われる。こちらは三菱にOEM供給することになりそうだ。
こうして考えると、冒頭に上がった記事は手持ちの新型車開発情報とも整合性がとれる。
日産だけでなく、トヨタも近々取り扱い車種を大幅に整理する計画がある。日本国内の市場規模縮小により各メーカーの車種整理が進むのは、生き残り戦略として(寂しくはあるが)正しいのだろう。
■日産ディーラーの証言
【証言1(首都圏日産店)】
乗用4車が扱い車の半分以上を占め、あとは全くの販売不振であるから、三菱との共同開発、OEMによる再編か撤退するとの方策は理解できる。
ただエルグランド、キューブ、ジュークなどはフルモデルチェンジし、新型になればマーケットニーズはあるのだから、それをしないのは日産開発陣の怠慢だ。
再編によって有力モデルが継続されるのであれば、まだ販売増が見込めるが、そうでなくただ車種が大幅に絞られるのであれば未来は暗くならざるをえない。
【証言2(首都圏プリンス店)】
セダンはまったく販売不振だから、整理の対象になるのはやむをえない。
ただホンダ、マツダ、スバルのように、日産グループより規模が小さい会社なのに、独自開発の新型車投入で頑張っているメーカーもあるのだから、チャレンジしてもらいたいところだ。
クロスオーバーSUVやボックス型ミニバンはマーケットが高いのだから、スピーディに新型車の投入を期待したい。
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