「曲がるのはそこじゃない!」に潜む危険
この「慌て」も危険性を高める。稀に2車線道路の右側で空車のタクシーが信号待ちをしている時など、そこまで乗客が出向いて乗車していることがある。そもそも空車表示のタクシーが右車線にいること自体、危険を誘発するが、道路の中央まで出向く乗客にも問題がある。
乗車した後で、乗客がドライバーに「急いで行ってくれ」と告げるのも危険だ。高速道路を使える場合を除くと、「急いで」と言われても目的地の到着時刻は早められない。ドライバーの気分を不快にして、危険性を高めるだけだ。
そして、乗車したら目的地をドライバーに分かりやすく、的確に伝えることが大切になる。
伝え方が曖昧だったり、曲がる交差点を唐突に指示すれば、急に減速したり慌てて曲がることになってしまう。乗客が運転席に身を乗り出しながら説明して、一度減速したタクシーが再び加速する場面を時々見かける。
「曲がるのはそこの角じゃない、あっちだ!」などと言っている様子だが、乗客もドライバーも、互いにそうならないよう注意したい。
都市部では同じ目的地へ行くのにも複数のルートがあり「アンダーパスをくぐるか、側道を行くか」で判断に迷うこともある。
これも乗車した段階で「この先のアンダーパスか、側道かは、渋滞の状況に応じて判断しましょう」と告げて、なるべく早い時点でルートを決める。それをしないなら、すべてドライバーに任せて文句は言わない。
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タクシーでも、自分のクルマでも、最も優先すべきは安全だ。タクシーを利用する時も「どうすれば安全に乗車できるか」を重視する。そうすれば無理なことはしなくなり、乗客とドライバーのストレスも抑えられ、気持ち良く利用できるだろう。クルマを運転していて、タクシーに近づいた時の気持ちと対応も同様だ。
同じクルマなのだから、運転も、タクシーの利用も、本質に変わりはない。上下の違いもなく、立場は並列だ。
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