【N-BOX、クラウン、リーフ…】いま「志」を感じる現行国産車たち

■日産・リーフ

日産リーフ(2017年9月〜)
日産リーフ(2017年9月〜)

自動車メーカーにとって「志」とはなんぞやと考えるに、それは未来へのビジョンだとぼくは思っている。

地球のため、ユーザーのため、そして自社のため、将来にはこういうクルマが必要。短期的な利益は度外視しても作らなければいけないクルマがある。そういうクルマにどれだけ本腰を入れて取り組めるかに、メーカーの志の高さが表れる。

そういう意味で言うなら、今最も志の高いクルマは日産リーフだ。

ぼくは現在の時点ではまだ電気自動車に懐疑的だが、そんなぼくでも長期的にはクルマの動力源が電気モーターに移行することに100%異論はない。問題はその移行期間の長さや、内燃機関とどう共存してゆくか。テスラみたいなEVベンチャーはさておき、既存の大メーカーにはそこが最も悩ましい。

日産はここで果敢にリスクをとって、いち早く純EVの量産化に踏み切った。「EVは構造が簡単だから参入障壁が低い」とかアホなことを言う経済評論家が多いが、信頼性の高いEVを適切な価格で量産化するのは至難のワザ。しかも、そこで利益が出せなければビジネスとしてのサイクルが回せない。

だから、モデルチェンジして第2世代にバトンを繋いだという事実だけで、リーフの存在は偉業。その志の高さに敬意を評したいと思う。(鈴木直也)

■トヨタ・MIRAI 

トヨタMIRAI(2014年11月〜)
トヨタMIRAI(2014年11月〜)

私にとって最初の燃料電池車は22年前の1996年に遡る。トヨタはRAV4に燃料電池を搭載し、メディアに試乗させたのだった。当時は問題山積! そもそもRAV4の車体半分が燃料電池ユニットという状況で、動力性能だってプア。蒸気機関車のような音と湯気を出して走っていた。私が生きている間に市販できるなんて想像もしていなかったほど。

その後、燃料電池の開発チームは粘った。話を聞けば1992年くらいから本格的に開発を始めたというから、当初のスタッフについちゃ市販前に定年を迎えるケースだって多かったことだろう。そもそも実用化できるかどうかすら怪しかったと思う。MIRAIの市販は2015年なので、23年かかったということになります。志の強さという点からすれば世界一かも。

30年間の熟成を経て世に出たMIRAIは、拍子抜けするほど普通に使えるクルマに仕上がった。何も言われなければ燃料電池車であることにも気がつかないほど。乗り心地はトヨタ車でナンバー1だし、静かさも圧倒的。動力性能だって私が全日本ラリーに出場し、同じクラスのガソリン車と互角に戦えるレベルを実現している。

何より燃料電池車として一般向けに市販しているのは、いまだにMIRAIだけだ。(国沢光宏)

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