■盗難車とヤードの関係
2021年の都道府県別自動車盗難認知件数を見ると、以下のような順位になっている。(茨城県警作成の資料)
2021年の盗難件数ワースト1は千葉県で、茨城県は2016年からの5年間ワースト1が続いたが、2021年はワースト3位になっている。突出して増えているのは前年比245件の愛知県だ。
愛知県ではレクサスLXやランドクルーザーが特に多く盗まれている。1位の千葉、2位の愛知、3位の茨城、5位の埼玉はヤード条例を制定している。大阪に制定されていないのは府内にヤードそのものが少ないからであろう。また、犯罪率でみると盗難が多い県の近隣県である栃木、群馬、岐阜、三重での盗難が増えていることがわかる。
このグラフを見ればヤード条例が制定されている自治体=自動車盗難が多いことが明確だ。ヤードそのものも全国各地に増えつつあり、最新の統計で全国に約2300~2400のヤードが存在しているという。
ではなぜ、ヤードがこんなに増えているのか。それは、旧車の盗難が激増しているからと推測される。
高級車専門の窃盗団によると、CANインベーダー等の手口で盗まれたレクサス等の高級車の多くは、解体されず完成車のままでダミー車両とすり替えるなどして不正輸出されるケースが多い。輸出先は日本と同じ左側通行の国が中心だ。高級車は多くが車両保険を付帯しているから、盗まれてもそれほど騒がない。1か月程度経過して発見されなければ新車が届けられる。
一方、盗難された旧車の多くはヤードに持ち込まれ解体される。構造がシンプルでエアバッグなどもなく、電装部品が少ない旧車スポーツカーは特にバラしやすい。旧車はほとんどが車両保険に入っていない(付帯するには厳しい条件があり、しかも保険料が高額)のと、SNSですぐに拡散されて騒ぎになりやすい。そこで、一刻も早くヤードに持ち込んで解体し、ヤフオクやメルカリに出品したり、海外に輸出されたりして換金する流れとなる。
ところで気になるのはヤード条例の制定が盗難防止、盗難車発見や窃盗団の検挙にどれくらいの効果が出ているのかということである。こちらはまた、ヤード条例を制定している県の警察本部などに取材をしてみたい。
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