業界断トツ!! さすが!!! でもやることがめっちゃ多い…トヨタ社員の給料は高いのか、安いのか

■来年度の「春闘」で…どうなる??

 ではトヨタ自動車はまだまだ社員の平均年収を上げる余地があるのでしょうか。過去5年間の収益と春闘の動き、そしてトヨタの社員の年収の推移を見てみることにしましょう。(図表2)

図表2/トヨタ社員の5年間の平均年収推移
図表2/トヨタ社員の5年間の平均年収推移

 トヨタの2017年度の連結決算では売上高が29兆3800億円、2018年度をピークに2019年度、2020年度は減収となっています。これは新型コロナの影響などが強く出ているからでしょう。

 一方で、春闘では2017年から毎年1万円(年収ベースでは12万円、年収の1%程度)前後の賃上げを達成しています。2022年の春闘では回答指定日を前に組合の要求を満額回答しました。減収の中でもしっかりと賃上げをしているところはさすがトヨタと言わざるを得ません。

 しかし、春闘でしっかりと賃上げを実現しながら、2017年度のトヨタ社員の平均年収は831万円だったのが2018年度には851万円、2019年度は865万円と、順調に増加するものの、2020年度は858万円、2021年度は857万円と減少に転じています。なぜこうなっているのか。

 この点について給与問題に詳しい東京商工リサーチ情報部の坂田芳博課長は次のように説明しています。

「2020年以降は、新型コロナの影響で残業などもしずらくなっていますから、残業代なども大きく減少しているとみられます。そうした影響がでているのではないでしょうか」

 経団連の十倉雅和会長は11月7日の定例記者会見で、2023年の春季労使交渉で基本給を一律に上げるベースアップ(ベア)を中心とした賃上げを会員企業に呼びかける方針を表明しました。

 物価高の中で、働き手の実質賃金の目減りしていることに対し、企業も本気で取り組んでいかなければならないということなのでしょう。

 ただし、自動車業界はEV移行に向けたさまざまなリストラや設備投資を行っていかなければなりません。さらに4万1427社という極めて多くの取引先を抱えているトヨタは、自社だけでなくそうした取引先の将来のことまで考えながら投資をしていかなければなりませんから、おのずと慎重になります。

 またその一方で、人手不足の問題も抱えており、優秀な人材の流失を防ぎ、競争力を高めていくためには、それに見合った賃金を提供していく必要があります。さらに社会全体の賃上げが進めば、国内の自動車販売台数拡大にもつながっていきます。

 トヨタも2023年の春闘ではベースアップを含め、かなり思いきった対応を取るのではないかと思われます。

2022年11月の中間決算で会見に臨む、トヨタ自動車の近健太取締役・副社長(Chief Financial Officer)。自動車界は世界的に空前の混迷期に入っていると言えるが、それでもトヨタらしく日本の自動車界に貢献してゆく、と語った
2022年11月の中間決算で会見に臨む、トヨタ自動車の近健太取締役・副社長(Chief Financial Officer)。自動車界は世界的に空前の混迷期に入っていると言えるが、それでもトヨタらしく日本の自動車界に貢献してゆく、と語った

(編集部注/2022年11月1日に発表されたトヨタ自動車の今年度(2023年3月期)の中間決算によると、空前の円安による為替影響により、およそ5600億円の利益が生まれるものの、これまた空前の資材高騰が影響してその利益を食いつぶし、決算は増収減益、世界年間生産台数は970万台から下方修正して920万台に、期末決算は営業利益2兆4000億円、純利益2兆3600億円を見込んでいる。この中間決算会見で、今健太トヨタ自動車副社長は「地政学上のリスクや半導体の影響など、裾野の広い自動車産業にとって、将来にも大きな影響を与えかねない変化が同時進行で起きている」、「これまで長い時間をかけて培ってきた競争力と体質改善、自動車産業の多くの仲間との信頼関係を力に、(日本社会と自動車産業全体への貢献に)取り組んでいきたい」と語った。大変だとは思うが、どうにか頑張って利益を出して、国内納車長期化問題(需給ギャップ)解消に取り組み、技術開発に注力しつつ、魅力的な新型車を作り続け、(関連会社含む)社員にたくさん給料を払い、日本産業界全体の賃上げにも貢献していただきたい(要求が多い))

【画像ギャラリー】空前の円安で儲かっている…はずが、資材高騰とロシア撤退で苦戦するトヨタ中間決算を示す図(6枚)画像ギャラリー

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