トヨタの…納期が…回復しつつある…?? 「打てる手は全部打つ」年始からトヨタのガチ本気とユーザー側の常識の上書き

■増産して早まるって本当? 最新のトヨタ納期調査

(ここから執筆は遠藤徹氏)

 2022年12月中旬、トヨタ本体から首都圏を中心としたトヨタ系ディーラーに届いた通達によると、2023年1~3月は前年同期に比べて増産、増配に踏み切るようだ。また商用車系モデルのハイエースを中心に海外向け車両を国内に振り向けることで、納期の2~3ヶ月程度の短縮化を図るべく準備をすすめている。

 トヨタが12月中旬に明らかにしたところによると、2023年1月のグローバル生産台数計画は70万台程度で、うち国内約20万台、海外約50万台としている。同月の稼働停止は全14工場28ライン中2工場2ラインで、トヨタ自動車の田原工場第1ライン6日間、日野羽村工場の第1ライン9日間。田原工場の第1ラインはランドクルーザープラド、レクサスGX、4ランナー、羽村工場の第1ラインはランドクルーザープラドの組み立てを行っている。つまり1月の稼働は両2工場の2ライン以外は稼働停止を行わず、正常化するといえる。

 また、物流の整備を加速することや新システム(編集部注/これが「J-SLIM」か)を導入して(これまで直近しか明示できなかった)納期を2年先まで可能な限り明らかにして、キャンセルの改善につなげる施策も実施する。

 これまでは1週間ごとに扱いモデルの納期をWeb経由で販売店へ伝える方式だったが、これで販売店側が分かるのは「おおよその納期」までであり、あまり明確にできなかったが、新しい仕組みが多くの車種で採用されれば、少なくとも注文時に納期を示せない、注文後に納期が大きく伸びる、といったケースは減少することになる。

2023年5~6月のフルモデルチェンジを予定しているアルファード/ヴェルファイア。すでにトヨタ販売店ではオーダーストップ(受注停止)となっており、「新モデルの受注可能性が出た段階で連絡します」といった案内を出しているそう。中古車も入ったらすぐ売れてしまうとのこと
2023年5~6月のフルモデルチェンジを予定しているアルファード/ヴェルファイア。すでにトヨタ販売店ではオーダーストップ(受注停止)となっており、「新モデルの受注可能性が出た段階で連絡します」といった案内を出しているそう。中古車も入ったらすぐ売れてしまうとのこと

 トヨタ系販売店で、2022年12月中旬現在明らかになっている主要車種の状況は、以下のとおり。

【オーダーストップで納期が不明】
カローラクロス、ハリアー、RAV4、ランドクルーザー300、ランドクルーザープラド、アルファード。

【2023年中にフルモデルチェンジするため現行型のオーダーを制限している車両】
プリウス(今冬)、プリウスPHEV(3月)、アルファード(5~6月)、C-HR(6月)、ランドクルーザープラド(8月)。

【同年中にマイナーチェンジ、一部改良が予想されるため新規オーダーを調整している車両】
カローラクロス、ハリアー、RAV4、クラウン(追加モデル設定)、ヤリス、ルーミー、ライズ等。

 上述のとおり、大半の人気量販モデルがなんらかの改良を予定しており、なるべく早い時期に従来モデルのバックオーダーを解消しないとまずいといった事情もある。

 納車待ちをしているユーザーは「当該モデルの改良が近い」という情報が明らかになると、キャンセルして新型に切り替えるというケースが発生し、通達コストがかかる上にトラブルになりかねない。国内向け仕様への増配と納期の可視化、流通の整備は、トヨタがいま出来る精一杯の販売戦略といえる。

■「常識」を上書きしつつも、まず販売店に行ってみては

 上述のとおり、2022年12月中旬現在、オーダーストップになっている車種はアルファード、カローラクロス、RAV4、ハリアー、ランドクルーザー300、ランドクルーザープラドなどで、今後はそれぞれのモデルチェンジの時期に合わせてオーダー受付を順次再開する見通しである(多くは改良後の新型を案内されるはずなので、改良がかなり先の車種はやはりまだ相応の時間がかかりそう)。

 受注を受け付けてはいるが、納期が異常に長いノア/ヴォクシー、クラウン、シエンタなどは、2023年初め以降、徐々に短縮に向かうが、こちらも車種によってバラつきがある。

 ハイブリッドモデルなど半導体を多く使う車種はガソリンNA車に比べると多少回復が遅れる可能性がある。

2021年6月に発表発売となったランドクルーザー300。超長納期化の象徴的な車種となってしまった。現在も受注ストップ中。2023年内にオーダーの受付だけでも回復する可能性は…「ある」と遠藤氏。ただし早くて年末とのこと
2021年6月に発表発売となったランドクルーザー300。超長納期化の象徴的な車種となってしまった。現在も受注ストップ中。2023年内にオーダーの受付だけでも回復する可能性は…「ある」と遠藤氏。ただし早くて年末とのこと

「長納期化によるオーダーストップ」の象徴のようなモデルとなったランドクルーザー300については、1年前にオーダーストップとなった時点では納期が「4年」と伝えられた。したがってオーダーの受付を再開するのは、早くてあと1年以上先になると思われる。

 トヨタ関係者に取材すると、各部門で長納期解消に全力を尽くしており、上記のとおり徐々に回復傾向にある。

 とはいえ魔法のほうにある日を境に一気に、以前のように「どのモデルのどのグレードも注文から1~2か月で納車」というような状況に戻ることは、どうもこの先いつまでたってもなさそう。

 半導体を中心としたサプライヤーからの部品供給は(開発設計の時点から見直したとしても)、平準化まで数年を要するし、新型コロナ感染症の蔓延は(国内だけでなく中国を含めて)弱毒化されたといっても再拡大し、警戒が必要になっている。トヨタが増産、増配に踏み切るのは、可能なかぎりやりくりして、なんとか当面の課題に対処するといったことのようだ。本件についてはメーカー側の努力を見守りつつ、ユーザー側にも(「新型車は契約から早くても3カ月~半年、長ければ1年くらい納期がかかるもの」という)常識の上書きが必要となってくる時期なのかもしれない。

 ただそのいっぽうで、上述のとおり徐々に納期が短く、かつ「分かりやすく」なってきているのも事実。狙っている車種がある場合は、(納期が長くて諦めるくらいなら)実際に販売店へ行って見積もりをとってみることをお薦めしたい。案外すぐに手に入るモデルがあるかもしれない。

なにげに大人気でオーダーストップとなっているカローラクロスのハイブリッド仕様。2023年内にマイチェン予定だそうです
なにげに大人気でオーダーストップとなっているカローラクロスのハイブリッド仕様。2023年内にマイチェン予定だそうです

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