■「浮かれた話はたぶんゼロ」
今回の両社の発表は、トヨタとスズキがインド市場の将来性をきわめて重視していることを確認したのが最重要ポイントだといえるだろう。グローバル部門ではかなりざっくりとした枠組みだけが発表され、欧州やアフリカでの相互OEMもあるが、それはオマケといっていい。
注目すべきは、インドでの電動化関連部品の現地調達化や、東欧でのスズキ製エンジンのトヨタへの供給といった項目だ。
トヨタが考えているのは、スズキを先兵に途上国にハイテク部品のサプライチェーンを構築してゆくことで、完成車ではなく周辺パーツから、じっくり途上国マーケットの攻略を考えているのではなかろうか。
クルマ好きにとっては、確かにスズキのハイブリッドラインナップにTHSが加わったら面白いし、どうせ相互OEMするなら評判のいいスイフトスポーツのトヨタ版なんかイイんじゃない、とか夢想するけど、今回の協業内容発表に関しては、そういう浮かれた話はたぶんゼロ。
スズキに関してはもちろん、トヨタですら将来の生き残りを賭けた重要な決断とみるべきだろう。
それにしても、「得意分野に集中して生き残る」というスズキの戦略はお見事。長年かけてインドに築いたスズキの牙城は、これからますますその価値を増してゆくに違いない。
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