新型トライトン日本仕様どうなる? 三菱トップに聞いた「日本市場での勝算」と…え……まさかの「電動化」と「次期デリカ構想」

■新型トライトンで「電動化」に挑戦は?

――今回発表された新型トライトンはディーゼルエンジン仕様のみでした。このご時世、電動化を考えていかねばならないと思うのですが、「この車種」について、そちらの方向の開発は進んでおりますでしょうか。

長岡宏副社長/はい、なんらかの電動化については、いずれにしてもやらなければいけないと考えています。先行研究の段階ですが、新型トライトンでも、BEVはどうか、PHEVだったらどうか、という検討はしておりまして、とはいえどの時点でどの仕組みがいいか、ということを考えていかなければならないなと。

新型トライトンには新開発2.4Lディーゼルターボエンジンが搭載される。とはいえこのエンジン仕様のみでずっと販売していく…とは三菱側も考えていないもよう
新型トライトンには新開発2.4Lディーゼルターボエンジンが搭載される。とはいえこのエンジン仕様のみでずっと販売していく…とは三菱側も考えていないもよう

加藤社長/やはりそうはいっても、地域ごとに事情や規制のレギュレーション、方針が違っていたりして、こういうグローバルでやっていくクルマは難しいですよね。(電動化は)この商売をやっていくうえでは必ずどこかで必要になってくるとは思うのですが、しかし現時点ではバッテリーをたくさん積むと車重が重くなってしまうし、そのバッテリー製造コストで結局CO2の排出量は増えてしまった、なんていうこともある。そうなるとバイオフューエルのほうが可能性があるのではないか、ということも考えてゆく必要がある。それらも含めて、他社さんに負けないようしっかりやっていきたいと思います。

――日本市場では「三菱自動車=PHEVが得意」というイメージが強くなってきました。新型トライトンの場合、PHEV化は難しいのでしょうか?

加藤社長/非常にありがたいことに、そういうイメージが根付いてきましたよね。ただこのクルマ(新型トライトン)の場合、バッテリーの搭載位置がなかなか難しい…ということは聞いております。なので、あのクルマの場合はHVのほうがやりやすいんじゃないかな。

今回インタビューに答えていただいた、三菱自動車加藤隆雄社長(写真中)、長岡宏副社長(写真右/開発・商品戦略・TCS・デザイン担当)、中村達夫副社長(写真左/営業担当)
今回インタビューに答えていただいた、三菱自動車加藤隆雄社長(写真中)、長岡宏副社長(写真右/開発・商品戦略・TCS・デザイン担当)、中村達夫副社長(写真左/営業担当)

――日産とのアライアンスを考えると「e-POWER搭載」なんていう可能性もあるのでは?

長岡副社長/わたくしは日産出身ということで、その可能性(新型トライトンにe-POWER搭載)についてお答えしますと、e-POWERという仕組みはいいところとあまりよくないところ、向いているモデルとそうでないモデルがあると捉えております。一般的にいって街中づかい、小さいクルマで近所のお買い物に、という用途には大変向いているのですが、こういう(新型トライトンのような)クルマには、あまり向いているとは言えないだろうなと。なので、もしHV仕様を用意するのであれば、直結モードのような、エンジンで走ることもできる仕様を用意する必要があるだろうなと思っております。たとえば我々がいま持っているPHEVの仕組みの、バッテリーだけ変えて、というような。

■「次はパジェロも復活を」

――御社は2021年に現行型のアウトランダーPHEVが出て、2022年にeKクロスEVが出て、今年に入ってデリカMINIが出て、そして新型トライトンが出て、来年(2024年)早々に日本市場へ投入されます。「三菱らしさ」を急速に取り戻しているように見えるのですが、そういった商品ラインナップの拡充の最大の要因はなんだと思いますか?

加藤社長/そうですね…うーん……、我々の中にももちろん「三菱自動車らしさ」みたいな遺伝子のような意識はあるんですが、ただそれがお客様の間でマイナスに捉えられる時期もあったものですから、一時期「そういうものを薄めていこう」というようなタイミングがあったんですね。

――ふむふむ。

加藤社長/それもあって、たとえば日産さんと一緒にクルマを作ることで、いくつかのモデルは(単独で開発するよりも)非常に安くできたわけです。ただ、じゃあそのクルマの販売が我々の期待どおりだったかというと、ま、ちょっとやっぱり、そうでないところもあった。お客様から「どうせ日産のクルマなんでしょう」と言われるわけです。「三菱のお客様に選んでいただく理由」にはならなかった。そういう意味で、社内で、まあ社長を筆頭にですね、いろいろと喧々諤々の議論をして、やっぱり「三菱自動車らしさ」がないとダメなんじゃないか、じゃあ「三菱自動車らしさ」ってなんなんだ、と話し合って、それがたとえばデリカMINIのようなかたちになったわけです。軽スーパーハイトワゴンというジャンルは、他社さんからも強力なモデルがたくさんあって、その中で「三菱のクルマを」と選ぶ理由はあるか? あるとしたらどんな「もの」が必要なんだ、と。それで車高を上げたりタイヤを大きくしたりフロントマスクを変えたりすると、「おお、三菱らしい」と言っていただけるようになった。

――なるほど、そういう議論の延長線上に、この新型トライトンもあるわけですね。

加藤社長/そうです。このトライトンは、電子コンポーネントなど共有している部品はたくさんあるんですが、それでも心臓部であるフレームやエンジン、パワートレインは我々がやっています。もちろん日産さん、ルノーさん、それぞれ得意なところがあって、それぞれの領分で補い合っていければいいなと思うわけです。これは今後も、こういうやり方でやっていければいいなあと。

――では調子に乗って、次はパジェロ復活も。

加藤社長/そういう声はたくさんいただくんですよねー(笑)。いや、あの、そちらはもうちょっと儲かってから、ということで(笑)。

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