ついに…? やっと…?? 日野がCJPT復帰へ 物流業界の大問題「2024年問題」は全メーカー+社会一丸で解決を!!

■「今こそ心をひとつにして競争力強化のために取り組む時」

 上記の質問を受けて、「ここはわたしから」とマイクをとったのは、ほかならぬ(当時トヨタ自動車社長職にあり)日野のCJPT除名を言い渡した豊田章男自工会会長だった。以下、豊田会長の回答を全文でお届けします。

「先ほど行われた自工会理事会での、物流・商用車領域での重要性を議論するなかで、日野自動車のCJPTについての話も出ました。日野が信頼回復に真摯に取り組んでいること、それに対する世間の評価などを鑑み、カーボンニュートラルや物流課題の解決に向けては、日野の力も必要だ、という話になりました。自工会の議論は決して決議事項ではありませんが、自工会理事会全員の賛同が得られましたので、日野のCJPT復帰について、わたし(豊田会長)からご報告させていただきます。

記者会見の登壇者は、豊田章男自工会会長を筆頭に、副会長の片山正則氏(いすゞ)、鈴木俊宏氏(スズキ)、佐藤恒治氏(トヨタ)、内田誠氏(日産)、三部敏宏氏(ホンダ)、日髙祥博氏(ヤマハ)、永塚誠一氏(自工会)と、まさにオールスターで(オンラインにて)実施された
記者会見の登壇者は、豊田章男自工会会長を筆頭に、副会長の片山正則氏(いすゞ)、鈴木俊宏氏(スズキ)、佐藤恒治氏(トヨタ)、内田誠氏(日産)、三部敏宏氏(ホンダ)、日髙祥博氏(ヤマハ)、永塚誠一氏(自工会)と、まさにオールスターで(オンラインにて)実施された

 日本には有力な大型商用車メーカーが4社(いすゞ、三菱ふそう、UDトラックス、日野)ございます。自工会が”協調”分野を語るのであれば、今こそこの4社が心をひとつにして、日本の競争力強化に向けて取り組むべき時だと考えております。

 そのあたりのCJPTの枠組みを、CJPTでも議論していただき、我々自工会としては参考意見として(日野の復帰を)提案させていただきます。

 そのうえで、日野自動車には、今後も信頼回復のための努力を続けながら、CJPTを通じて日本の物流、商用領域の競争力強化にも取り組んでいただきたいと考えております。」

 上記に続けて、「全体的な(商用車領域の話、2024年問題への対応などの)話は、片山正則副会長(いすゞ自動車社長)よりお願いします」と、さらに具体的な内容についての説明があった。

「ただいまご質問にありました大型商用車領域に関しましては、今後、国内4社の協調がますます重要になってまいります。まず申し上げたいのは、非常に大きな社会問題となっております2024年問題に関して。これは、かつてあったコンピュータの2000年問題とは大きく性格が異なりまして(2000年を無事に迎えれば問題が解決する話ではなく)、2024年にこれまであった問題がよりはっきりと顕在化する話であります。

 ドライバーさんの人手不足の問題は、2024年を乗り越えればよくなるわけではまったくなく、このあとずっと厳しい状況が続くことも覚悟しなくてはならないわけです。

 この点については、国内4社がひとつの想いで動いております。

 それは、一部の業種の方にしわ寄せを集めて、負担を押し付けるのではなく、社会全体で持続可能な対策を打っていくしかこの問題を解決する方法はない、ということです。このことは業界だけでなくさまざまな関係者にも全体で、ワンボイスで発信させていただいております。

先般、トヨタ自動車東富士研究所で実施された「テクニカルワークショップ」では、日野プロフィアをベースにした大型トラックも用意された。これはMIRAIに使われたFCスタック2セットを商用向けに改良し、大型トラック向けの水素タンクを開発。合計50kgの気体水素で600km以上の航続距離を確保し、すでに実験車両が西濃運輸などの協力のもと実装されている
先般、トヨタ自動車東富士研究所で実施された「テクニカルワークショップ」では、日野プロフィアをベースにした大型トラックも用意された。これはMIRAIに使われたFCスタック2セットを商用向けに改良し、大型トラック向けの水素タンクを開発。合計50kgの気体水素で600km以上の航続距離を確保し、すでに実験車両が西濃運輸などの協力のもと実装されている

 ひとつは関係省庁へお願いしている、高速道路での物流の効率化。一部区間での自動運転のテストの開始、速度規制の問題などが出ています。これについては、「安全を犠牲しての物流の効率化」はあり得ませんので、まずは安全を最優先に考慮しながら進めてゆくこと、これを業界全体で進めてまいります。

 ふたつめは、これは昔からそうなんですが、やはりドライバーさんの裾野を広げる、ということです。たとえば女性の(トラック)ドライバーさんを増やす。女性でも運転しやすいだとか、自動車として備えるべき性能、女性が魅力を感じていただける環境、社会インフラの整備も必要です。これはやはり4社で連携して、関係部署へ訴えていきたいと思います。

 それに加えて最近やっているのが、普通免許で運転できるトラックの拡充。これは競争領域の部分も含んでおりますが、そこも協調できるところは協調して、よりドライバーの裾野を広げるべく、想いをひとつにしてやっております。

 それに加えまして、カーボンニュートラルの問題もあります。2030年の目標に対して、現実的な対策を打っていかなくてはならない。

 このあたりも、いままで以上に協調領域の拡大、強力な推進が必要になってきています。たとえば幹線物流、特に高速道路での大型トラックの問題です。これはバッテリーの問題もございますが、燃料電池の問題、これは(大型商用車のカーボンニュートラル化にとって)非常に有力な手段ですので、社会インフラとしてどこに(燃料充填のポイントを)置くか、どういう仕様にするか、ということも、4社が協調、協力して政府と相談する必要があると考えております。」

会見の中心は、10月下旬から開催されるジャパンモビリティショーの盛り上げに関しての発表だった。こちらも業界全体で積極的に情報発信していくとのこと。楽しみにしています(画像=自工会公式サイトより)
会見の中心は、10月下旬から開催されるジャパンモビリティショーの盛り上げに関しての発表だった。こちらも業界全体で積極的に情報発信していくとのこと。楽しみにしています(画像=自工会公式サイトより)

 乗用車が百年に一度の変革期を迎えているのと同じように、商用車にも大きな変革の波が押し寄せている。これを乗り切って、日本の産業や経済を伸ばしてゆくためには、国内勢力が一丸となる必要がある。そのための日野自動車のCJPT復帰、ということになった。

 コメントにあるように、「物流の2024年問題」への対策は待ったなしであり、この対策は社会全体で取り組む必要がある。国内大手メーカーや政府だけでなく、社会全体で「わたしたちは日本の物流がどうあってほしいか」を考えることになる。

 そのために考える頭、動かせる手、前に進むための足は多いほうがいい。日野自動車の皆さま、がんばって一緒に乗り越えましょう。

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