レクサスが日本にやってきて18年が経過した。北米での初展開からは、2024年で25年を迎える。四半世紀の歴史を紡ぎ、世界のプレミアムブランドとなったレクサス。独自の販売路線にはさらに磨きがかかっていくはずだ。この先5年間で考えられる期待や不安、そしてこれまでのレクサスとの違いがどこにあるのか、見ていこう。
文/佐々木亘、写真/LEXUS、池之平昌信
■多様化と電動化のクルマづくりが革新のカギを握る
2023年9月15・16日に開催された「LEXUS SHOWCASE(レクサスショーケース)」で、レクサスは今後のクルマづくりや取り組みの方向性を示した。
イベントでは、2023年前半に発表されたLM・LBX・GXなどの新型車の登場はもちろん、水素エンジンを搭載したROV、そしてバッテリーEV(以下BEV)に対する取り組みを説明している。
キーワードは、「お客様に対する新しい価値の提供」だ。新しい価値を提供する手段は、レクサスブランドの多様化と電動化にある。
これまでのレクサスは、北米・アジア・欧州を中心に、それぞれの地域で必要な活動は何かを考え、動いてきたように思う。
日本には日本の、北米には北米のレクサスがあり、それぞれが少しずつ大きくなっていった。
しかしこの四半世紀で、自動車市場では地域ごとの隔壁が低くなった。各地域で発信される情報が共有され、人々の求める価値が変わってきている。
こうした変化は、日本市場でも充分に感じられるものだ。
各地のレクサスから世界のレクサスへ。今後の販売路線にも、その変化や革新が、色濃く反映されていく。
■レクサスが提供し続けてきた「特別」を当たり前に変える覚悟とはなにか
ここからは国内市場を中心に、レクサスの変化を読み解いていこう。
2005年の国内導入時、レクサスが行ったのは「特別」の提供だ。高級車ブランドを確立するため、特別なクルマに特別なショールーム、応対するスタッフもレクサスが独自に教育を行った特別な人材を配置してきた。
この「特別」には希少性が大きく関係する。
レクサス開業当初の展開車種はGSとSC。セダンとクーペ(コンバーチブル)という絞り込みを行い、レクサスを選ぶ意味を与えていた。
その後、IS・LS・RXが追加されたが、レクサスは少ない選択肢で希少性を味方につけながら、日本のプレミアムブランドとして存在感を示している。
潮目が変わり始めたのは2013年頃。レクサスのエンブレムがゴールドからプラチナムシルバーに変わり、車種が大幅に増えた。
レクサスは、希少性から離れ、高級車の広がりを重視するようになる。CTやNXはレクサスユーザーの裾野を一気に広げた格好だ。
今や国内レクサスで選択できる車種は12(レクサスHP参照)にものぼる。今後はLM・LBX・GXの国内導入が決定しており、2024年には15車種を越えていくだろう。
選択肢の増大は、ユーザーの多様化に対応するものだ。すなわち、これまでのユーザーがレクサスに合わせるという形から、レクサスがユーザーニーズに合わせていくスタイルに変わったことを意味する。
日本導入から18年が経過した。前半の9年で希少性を高め、後半の9年でブランド認知を大きく進めている。
では、次の5年で何が起きるのか。それはレクサスの一般化であろう。
あえて選択するものから、当たり前に身近にある良いものへ。レクサスの次なるステージは、高級ブランドとして最も難しい立ち位置だ。
それを実現可能にする鍵が、レクサスの強く推すBEVにある。
コメント
コメントの使い方