日本にいると海外のクルマ事情はなかなか耳に入ってきませんが、北米や中国、ヨーロッパなどの巨大自動車マーケットでは、文化や価値観の違いから、それぞれ売られているクルマも異なり、日本ではあまり見かけないクルマもたくさん売られています。
本企画ではそんなクルマを紹介していきます。
文:吉川賢一
■まずヨーロッパではどんなクルマが人気なのか?
ヨーロッパでは、クルマはその車体の大きさに応じて「セグメント」というクラスに分ける考え方をしており、小さい順に「A」から「L」まであります。
このうち一番人気があるのは「Cセグメント」。フォルクスワーゲン(VW)ゴルフがこのクラスに相当します。Cセグメントは欧州の道路事情を踏まえた動力性能、積載能力、扱いやすさに優れ、また価格とのバランスもよく、市場ニーズが一番高いです。最近ではこの「C」よりひとつ小さいクラスのBセグメントも、小型ながら魅力的な車種が数多く登場し、人気が出てきています。
こうした背景を踏まえたうえで、2018年のヨーロッパ新車市場にて販売トップランキングに入ったクルマのなかで、日本では滅多に見かけないクルマをご紹介していきます。
※以下、車名横の( )は2018年の1年間、欧州27カ国での車種別販売台数を調査したもの(記事末尾に25位までの表を添付)
参考データ https://www.jato.com/japan/2019021401/
■フォード フィエスタ(2018年欧州市場車種別販売台数 4位 270,738台)
2018年の年間販売台数1位のVWゴルフ(44.6万台)、2位のルノークリオ(33.6万台)(日本名はルーテシア)、3位のVWポロ(29.9万台)は日本国内でも見かけますが、フォードフィエスタは、2016年フォードが日本撤退しているため、日本国内では新車購入ができません。
2018年、欧州市場にデビューした新型フィエスタ(Mk8型)はBセグメントに属し、全長4,068×全幅1,735mm×全高1,466-1476mm、ホイールベース2,493mmと、ホンダフィットの背を下げたようなサイズ感です。
前モデルからエンジンを改良、エクステリアデザインのブラッシュアップを行い、商品力が一層増しています。環境性能とハイパワーを両立させた、新型1.5L 3気筒エコブーストエンジンなどの評判が良く、その卓越したハンドリングは、ヨーロッパの評論家やユーザーの間でも評価されています。
■ニッサン キャシュカイ (2018年欧州市場車種別販売台数5位 233,026台)
欧州販売5位に入ったキャシュカイ(QASHQAI)は日産デュアリスの後継車として、2014年にデビューした都会派コンパクトSUVです。先代のキャシュカイが欧州で累計180万台以上という大ヒットとなるや、2台目の開発が開始されました。
エクステリアデザインは、日本でも見慣れているエクストレイルと共通しており、前方から見ると違いはほとんど分かりませんが、全長が短く、コンパクトにまとめらえたボディスタイルは、機敏なハンドリングをイメージさせます。なお、先進運転支援システム“プロパイロット”も搭載されており、日産の欧州販売の屋台骨となっている一台です。残念ながら日本国内市場では、販売の予定はありません。
■シュコダ オクタヴィア(2018年欧州市場車種別販売台数8位 223,352台)
日本ではあまり馴染みのないチェコの自動車メーカー「シュコダ」は、ヨーロッパ市場で高い評価を受けている、人気のメーカーの一つです。WRCがお好きな方であれば「シュコダWRカー」をご存知でしょう。シュコダの主力車種は、「オクタビア」というCセグメントに属するセダン・ワゴンモデルです。シュコダはフォルクス・ワーゲングループのため、オクタヴィアは、ゴルフやアウディA3と共通のCセグメント用プラットフォームMQBを使用しています。
オクタヴィアは、ヘッドランプ周りに施された直線基調のエクステリアデザインや、使い勝手を優先したシンプルなインテリアが特徴的です。ハッチとエステートの2種類のボディタイプ、豊富なエンジンラインナップにより使用目的に合わせて選択できます。なお、「What Car?」の「Car of the Year Awards 2019」にて、ファミリーカー部門優秀賞を得るなど、ユーザーからの信頼も高い一台です。
なお、「VRS CHALLENGE」という、245PS-370Nmを発生する2L、TSIエンジンを搭載し、専用エアロパーツ、19インチタイヤで武装をしたスポーツモデルがあるのも見逃せません。
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