日野、ダイハツに続き「源流」豊田自動織機まで…トヨタのディーゼル車10車種出荷停止でいったい何が起こったか??

■不正はいろんな意味で「なに考えてるの?」という内容

 今回公表された不正の内容を見ると、もう情けないとしか言えない。

 前述のとおり、企業としての体力は万全だ。人を増やそうとすれば容易だし、開発にお金を掛けることだってできる。なのに、やらなかった。なぜか? フォークリフトに代表される産業用エンジンを、端的に言えば「なめていた」んだと思う。台数も少ないし、適当にやっておけばいいと考えていたワケです。

 実際、豊田自動織機の主力商品であるフォークリフトは電動化が進んでおり、直近で見ると80%近くを占めている。主力市場で見かける豊田自動織機のフォークリフト、電動しかないとさえ思えるほど。そんなこんなで排気ガスのクリーン化には手間と技術を必要とするディーゼルに対する情熱を失っていたということだろう。逆に考えれば今回の不正を受け、エンジンを全廃してもいいほど。

トヨタは2015年頃からディーゼルエンジンの開発を豊田自動織機に受託。「ディーゼル開発に関してトヨタの中に知見がなかったこと(≒チェックが甘かったこと)」も原因のひとつに挙げられた
トヨタは2015年頃からディーゼルエンジンの開発を豊田自動織機に受託。「ディーゼル開発に関してトヨタの中に知見がなかったこと(≒チェックが甘かったこと)」も原因のひとつに挙げられた

 カーボンニュートラル達成のため、いずれにしろエンジンは消えていく。今回の不正で豊田自動織機の株価は大幅に落ち込んだものの、前述のとおり今やエンジンは主要製品じゃなくなった。その上で「働くクルマ」をなめていたとなれば、手抜きさもありなんと思う。これは絶対許されることではない。世界を目指すプレーヤーが不正をすれば、その時点で戦う資格を失うと考えます。

 今回発覚した自動車用エンジンの不正も、いろんな意味で「なに考えているの?」という内容。トヨタ自動車が認証のために行う排気ガス試験や性能試験でのスペックはなんら問題ないという。具体的に言えば、100馬力出す時の燃費や排気ガスのクリーン度などはクリアできているようだ。カタログ表記が「最高出力177馬力」となっているエンジンであれば、177馬力出る。だったらそのままでいい。

 なのに、エンジンを買ってくれるトヨタ自動車に提出するデータを飾るため、ロムチューンなどしていたという。具体的にはトルク特性を変えたり、アクセル開度に対するピックアップを変えたりしていたということらしい。「ウチもいいエンジンを作りますよ」というアピールなんだろう。だったら市販車もそうすればいいと思う。このあたり、もう少し詳しく取材してみたい。

 今後どうなるか? 現在、トヨタ車に搭載されているディーゼルエンジンはすべて豊田自動織機で作られている。2024年1月29日の午後からランクル300やハイラックス、ハイエースは出荷停止になった。さらには間もなく登場するランクル250への影響もあるだろう。ただ認証取り消しということにはならないかと。再発防止策を打ち出し、深く反省することで、遠からず生産も再開になると予想しておく。

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