ファミリアターボ XG-R試乗 これはマツダが生んだゴルフGTiだ! 徳大寺有恒のリバイバル試乗記

ファミリアターボ XG-R試乗 これはマツダが生んだゴルフGTiだ! 徳大寺有恒のリバイバル試乗記

徳大寺有恒氏の美しい試乗記を再録する本コーナー。今回はマツダ ファミリアターボ XG-Rを取り上げます。
カローラとベストセラーの座を争い、記念すべき第一回の日本カーオブザイヤー(1980年)にも輝いた5代目ファミリア。1983年6月、そのファミリアに初のターボエンジン搭載車となる「1500XG-R」(3ドアハッチバックのみ)、「1500XGターボ」(3ドアハッチバック/4ドアサルーン)が追加されました。

115馬力の強心臓を持ったターボモデルは、徳さんをして「FFスポーツのベストモデル」と言わしめました。『ベストカーガイド』1983年8月号の試乗記からリバイバル。

※本稿は1983年7月に執筆されたものです
文:徳大寺有恒
初出:ベストカー2017年6月10日号「徳大寺有恒 リバイバル試乗」より
「徳大寺有恒 リバイバル試乗」は本誌『ベストカー』にて毎号連載中です


■ターゲットはVWゴルフGTi

60タイヤに加えてリアのキャンバー角を0.45からマイナス0.25に変更。リアのトレッドが10㎜大きくなったほか、ラバーブッシュのバネ定数アップなどで強化され、ハイパワーに応えた
60タイヤに加えてリアのキャンバー角を0.45からマイナス0.25に変更。リアのトレッドが10mm大きくなったほか、ラバーブッシュのバネ定数アップなどで強化され、ハイパワーに応えた

ファミリアターボのターゲットはズバリVWゴルフGTiである。すでにファミリアは1月に1.5L+EGI(インジェクション仕様)のハイパワー仕様を出している。しかし、この“I”は率直にいってパンチに欠けていたし、お得意のサスペンションももうひとつ決まらなかった。

そのワケは今回のターボの登場で明らかになるが、「インジェクション仕様」、そして「ターボ」という出し方はあまり感心しない。特にターボの出来があまりにいいだけに、それを待ちきれずに「インジェクション仕様」を買ってしまったユーザーを思うとあまり愉しくないのだ。

それを差し引けば、ファミリアターボは現在のFFスポーツのベストと断言できるほどのパワーとハンドリングを得たのだ。それはやはり、ベースのファミリアがしっかり作られているからに違いない。

エンジンは1.5Lのインジェクション仕様にIHI製ターボチャージャーを組み込んでいる。このターボエンジンの最大の目標は中・低速トルクの増大とレスポンスの向上であった。

(上)1490㏄のEGIエンジンにIHI製ターボを組み合わせ最高出力115馬力、最大トルク16.5㎏mを発生した(下)ファミリアターボのIHI製タービン
(上)1490ccのEGIエンジンにIHI製ターボを組み合わせ最高出力115馬力、最大トルク16.5kgmを発生した(下)ファミリアターボのIHI製タービン

このため、タービンブレードに工夫を凝らし、従来の肉厚0.5〜0.6mmを0.4mmまで軽くし、慣性重量を軽くした。フリクションの低減と中低速のトルクアップによってレスポンスも大幅に向上している。

ターボ化によってエンジンそのものも大幅な改良を受けた。特にトーショナルダンパーの採用は、従来のエンジンがややラフで、ノイジーであったことを大幅に改善するのに役立っている。

パワーは115馬力/5800回転、16.5kgm/3500回転である。トルクは2500転あたりから盛り上がり、6000回転少々まで少しも衰えをみせない。サニールプリやパルサーターボ、ミラージュターボといったライバルたちと比べても一歩リードしている印象だ。

トランスミッションは5スピードボックスのみだが、パワフルなパワーユニットにはオートマチックもピッタリだと思うが、それは少々お預けらしい。この5スピードボックスのギア比は最近の傾向に従って少々高い。そのため、曲がりくねった山道を飛ばすにはセカンドを中心に時折サードということになる。

セカンドでの強烈な加速と、サードへシフトアップした時から始まる息の長い加速は、マニアの心をくすぐる設定だ。

シフトレバーが300㎜から280㎜へと短くなりスポーティさをアピール。ただし、パワーステアリングは装着されなかった
シフトレバーが300mmから280mmへと短くなりスポーティさをアピール。ただし、パワーステアリングは装着されなかった

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