■あおり運転検知と後方接近警告、実は機能が異なる
ここまでだと「後方車が接近したら通知するドラレコなんて、今までもあったよ」という声が聞こえてきそうだ。確かにこれまでのドラレコにも接近情報を警告する商品はあった。というか、かなり種類も多い。またフロントカメラ側も信号待ちなどから前方車両が発進した際に警告する機能なども搭載されている。
では何が違うのか。それは大きく2つ「自動で録画する」「あおり運転の検知能力」にあると考える。
前述したように車両接近だけを警告する場合、その状況を録画するためには自分でドラレコの(マニュアル)録画ボタンを押す手間が発生する。しかし、実際あおり運転にあった際に落ち着いてボタンを押すことができるかどうか。まさに落ち着いた行動ができるかにかかっている。
しかし今回紹介する「VREC-DZ800DC」や他社のモデルもそれらの操作自体は不要、つまり録画自体を自動で行ってくれる点が最大の差別化のポイントと言える。
そしてその「自動で録画」機能を支えるのが車両の検知・認識機能であり、これを搭載しなければ実現は不可能なのである。
■ドラレコもAIを活用する時代に入った
では実際、どうやってあおり運転の車両を検知するのだろうか。各社により考えは微妙に異なるが、今回発表された「VREC-DZ800DC」の場合は独自に開発した画像認識技術がそれを実現している。
具体的にはシステムは40km/h以上で作動を開始。後続車との速度・距離・時間を常時計測しそれらを組み合わせた独自のアルゴリズムによって認識率を高めているという。当然、自車速度も常に変化するが、それも含めて後続車の検知距離も自動で可変させることができる。
さらに3車線などの複数車線の場合、追い越しなど含めた隣の車線は検知対象外(つまり同一線上のみ)とすることで誤動作を抑制する仕組みも搭載されている。
また冒頭に述べた東金道などでの車両前方に急に割り込んだ際にも「急制動検知機能」により、こちらも同時に録画することができる。
つまり、これらの機能は「今、走っている状態から今後起こりうる事象を予め予測するプログラム」をドラレコ側に実装し、リアルな映像と照らし合わせ、システムを作動させることで実現できるわけだ。
■次のトレンドになることは間違いない
「VREC-DZ800DC」の他に、後述するケンウッドの「DRV-MR8500」はすでに既発モデルだが、当時としては画期的な「AIセンシング」を搭載することで同様の機能を実現している。
もちろんなんでもかんでも「AI」と言えば聞こえはいいかもしれないが、今後はこれらのシステムを搭載したドラレコは間違いなく増えてくるだろうし、普及することで現在より実勢価格は下がってくるはずだ(正直、まだ高い)。
昨今の新車にはADAS(先進運転支援システム)が搭載されているので、本当にこのような機能が必要なのか、と疑問に思う人もいるかもしれない。
しかし世の中に走っているクルマ、さらに言えばADASを搭載していない中古車なども含めれば、これらのドラレコを搭載することで車両の制御はできなくても安全運転に寄与することは間違いない。ゆえに、自分のライフスタイルを考慮しつつも、これらの機能を搭載したドラレコを候補に入れておく必要はあるだろう。
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