【乗り心地か!? 見た目か!? これで決着】タイヤインチアップの功と罪


インチアップのデメリットは?

 これは乗ってからのというよりもタイヤ選びで注意点だが、インチアップ+サイズアップで問題にあるのがフェンダーやホイールアーチ内との干渉。停止状態では問題ないがカーブでタイヤが干渉することもある。

 またロードインデックスで説明したように、インチアップによってロードインデックスが純正タイヤよい低くなると、手応えがあやふやになったり、カーブでタイヤが腰砕けを起こして曲がりにくくなるなど操縦性が悪くなることがある。

 インチアップして操縦性や乗り心地の面でのデメリットでまず挙がるのは乗り心地だろう。といっても常識的なインチアップをする限り、極端に悪くなるわけではないし、低偏平にしても乗り心地いいタイヤはある。ただ傾向としてケース(骨格)剛性が上がるぶん相対的に硬めの乗り心地になる。

闇雲にインチアップするとステアリングを切った時にタイヤがフェンダーに当たるなど完勝するケースがあるので注意したい。クルマを傷めるだけでなく安全面で問題がある

 操縦性の面では限界域の挙動が唐突になりやすい。スタッドレスタイヤを例にとるとわかりやすいのだが、滑り出しの挙動が速くなる。ズズズ…と滑り出していたのがツツーッと滑るようになる。

 こうした特性が気になる場合、ブレーキキャリパーとの干渉がなければ、18インチを17インチにインチダウンしてタイヤの偏平率を45→50偏平等にすることで、限界挙動を穏やかにする方法もある。

 偏平化してエアボリュームが少なくなるとしなやかな乗り味が薄れるので、乗り心地を目的としたインチダウンも一つの考え方だ。

 もうひとつ、50、45偏平16、17、18インチホイールになるとインチアップによるホイール重量が増し、ホイールがバタついて乗り心地が悪くなったりすることもある。

 軽量ホイールとの組み合わせで対処できるが剛性が足りないホイールは操縦性を悪化させることも知っておきたい。

 それからロールの大きなクルマに40,35,30偏平と、偏平率が高いタイヤを履くと、カーブで接地面が大きく変化して操縦性が悪くなることがある。超低偏平タイヤはロールの少ないスポーティな足回りとのマッチングがいい。

 等々、いろいろ書いてきたが、ポイントは、タイヤ外径とロードインデックスを見ながら常識的な範囲でインチアップすること。

 そうすればインチアップのメリットを実感することができるはず。逆に無茶なインチアップはデメリットのほうが多く、デザイン以外に見るべき点がなくなってしまうということもある。

スポーティじゃない足回りのクルマに超扁平タイヤを組み合わせるとカーブで接地面が変化して操縦性を損なうこともある。写真のようにスポーティなクルマなら安心

インチダウンのメリットとデメリット

 極論すると、タイヤは偏平になればなるほどシャープになり、限界特性は唐突になる。反対に、タイヤはぶ厚くなるほど穏やかになり、限界特性もマイルドになる。スポーティカーやスポーツカーは当然シャープなタイヤを好み、セダンはマイルドなタイヤを好む。

 ただ最近の風潮としてクルマが大きくなってきたこともあって、タイヤサイズが大きくなり、それとともに低偏平化が進んでいる。

 インプレッサWRXにブレンボが搭載された頃、ラリー用に15インチの設定があった。その時も、ブレンボ製ブレーキは装着できなかった。

 インチダウン最大のデメリットは、大径ブレーキが付かないこと。わざわざインチダウンするために自分ブレーキローター&キャリパーを交換する人はいないだろうが(いたらすでに説明の必要ないので勝手にやっててもらってOK)、1サイズ小さなホイールを履かせるためにまず考えなければいけないのはブレーキとの干渉だ。

インチダウンの最大にして唯一と言っていいデメリットが、インチダウンにより大径ブレーキが装着できないこと。交換する前に要チェック

 実はそれ以外あまりデメリットは見当たらない。もちろんビジュアル的にカッコ悪くなる可能性は高いけれど……。

 では、メリットは何かといえば、例えば60偏平のタイヤを70偏平、82偏平にする必要はないと思うが、40,45,偏平あたりを50,55,60偏平にするのは、かなり有効なことがある。

 例えばスタッドレスタイヤ。純正サイズの関係で低偏平なスタッドレスを履かなければならないケースが多く見られるが、もしブレーキが干渉しないなら、40偏平を→45,50偏平に、あるいは45偏平を50,55偏平にし、それに合わせてホイール径も19→18、18→17インチにすると断然コントロール性がよくなる。グリップ限界が若干低くなる分扱いやすくなるともいえる。

 タイヤがよじれ、ねじれる等、変形する様子がわかりやすいと、グリップの変化を予測しやすくなるのだ。滑り出しも穏やかになる。なによりタイヤもホイールも安くなるのもユーザーにとっては大きなメリットだ。

 スポーティなクルマは、あまり性能ダウンは薦められないが、コンフォート性の高いセダンやミニバンなどは、純正サイズかタイヤ設定によってはインチダウンもありではないかと思う。

 ただしこインチダウンもほどほどに。タイヤハイトが高くなると特に高速道路でよれが顕著に出るので、誰にでも薦められるものではないからだ。

ミニバンなど快適嗜好のクルマでも立派なサイズのタイヤが装着されているケースがあり。快適性アップのためにインチダウンはありだが、高速性能などが悪化するので要注意