車中泊やキャンプ、長距離ドライブ、また不意の災害時などで、家庭用電化製品を屋外で使いたいと考えること、ありますよね。そんな時に便利なのが「車載インバーター」です。
とても便利な車載インバーターですが、実はどんな家電でも使える、というわけではなく、電気製品の種類や数に合わせて、機種を選ぶ必要があります。
そこで今回は、値段も機能も多岐にわたり、意外と難しい車載インバーターの選び方とポイントを解説します。
文:立花義人
写真:Adobe Stock
家電を車で使うには必須! 車載用インバーターの仕組みとは?
車載インバーターとは何かを知るためには、まず電気の種類について知っておく必要があります。
一般的な乗用車に搭載されているバッテリーは「DC12V」、つまり直流12ボルト。これに対して一般家庭で使われているのは「AC100V」、つまり交流100ボルトになります。
直流・交流というのは、電気の流れ方の違いです。
直流は電気が常に一方向に流れているイメージ。対する交流は、電気の流れる向きや電圧、電流が、周期的に変化しながら、一定のリズムでプラスとマイナスが入れ替わりながら流れます。
家庭用の電源は、コンセントプラグをどちらの向きに差し込んでも使えますが、これは家庭用の電化製品が交流用だからです。
一方、車のバッテリーや乾電池を使った直流用の製品は、電池の向き(プラスとマイナス)に気をつけなければ、使うことはできません。
つまり、車載インバーターとは、直流である車載バッテリーの電気を、交流の電化製品に使えるようにするために、電気の流れや電圧を変換する装置ということです。
もうちょっと詳しく! インバーター選びで重要なポイントは?
車載インバーターを選ぶ際に重要なポイントとなるのが、「正弦波(せいげんは)・矩形波(くけいは)」の違いです。
車載インバーターには、正弦波の波形で出力するものと、矩形波の波形で出力するものがあります。一般的には矩形波で出力する機種の方が、仕組みが簡単なので安価であることが多いようです。
家庭用の交流電源は、規則正しくてなめらかな「正弦波」ですので、家電の多くは、この正弦波に最適化して作られています。
そのため、「矩形波」で出力する車載インバーターで家電を使おうとすると、一部のテレビや炊飯器、電気ポット、電気毛布、電子レンジ、医療機器など、緻密な制御を必要とする電化製品が、使用できないこともあります。
一方、ACアダプタを使用したノートパソコンやゲーム機、スマホやデジカメの充電などは、矩形波でも問題なく使用できることが多いようです。
また、車載インバーターの商品説明を見ると、「擬似正弦波」や「修正正弦波」と記載されたものがあります。
これは矩形波を使用して正弦波に近い波形を作り出すという仕組みですが、これらを使用すれば正弦波に対応した電化製品を問題なく使用できるわけではありません。
車載インバーター購入時には、ご使用になりたい電気製品の種類によって、「正弦波」を出力する製品を選ぶべきか、「矩形波」を出力する製品でも問題ないのかを確認しましょう。
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