【災害に備えて覚えておきたい】ガソリンの購入・運搬・使用・保管の注意点

 ガソリンを給油する以外で購入するというのは、かつては農業従事者、工事現場などある程度限定されていたが、今は事情が大きく違ってくる。

 震災や自然災害が多発していることもあり、電源を確保するために発電機を個人で購入するケースが増えている。ホンダの発電機 のEU9iGB(エネポ) のようなカセットボンベを使った発電機も出てきているが、主流はガソリンを使うタイプ。

 しかしガソリンの扱いについて知らない人が多すぎる。ガソリンは揮発性が高いため、扱いを間違えれば大災害にもなる可能性があり、実際に扱いを誤ったことで重大事故になったケースは枚挙にいとまがない。ガソリンを甘く見ると大変なことになる。

 知らないことが要因で勃発する事故の撲滅を目指して、ガソリンの扱い方のポイントを紹介していく。

文:ベストカーWeb編集部/写真:HONDA、ベストカーWeb編集部

【画像ギャラリー】これでバッチリ!! ガソリン&軽油に関する規制早見表


購入する際に厳しくなる

 2019年7月に発生した京都アニメーション放火事件は、容疑者がガソリンをまいて火をつけたことで多くの犠牲者が出たが、それ以外にも日本ではガソリンをまいて放火するという事件が発生している。

 2019年の時点では、ガソリンを購入する際に制約、禁止されていることはあるが、基本的に手軽に購入することができる。

ガソリンは燃料として給油しているぶんにはほぼ安全だが、個別に購入した場合は非常に危険で凶器にも変貌するので取り扱いには細心の注意を払いたい

 しかし、2019年10月26日、総務省消防庁は京都アニメーション事件を受け、ガソリン販売に関する規制を強化する方針を明らかにした。

 クルマに給油する場合は従来どおりだが、携行缶などでの販売については、販売者への身分証明書の提示、使用目的の確認を事業者(ガソリンスタンド)に義務付けるというもので、2020年2月1日の施行を目指している。

購入時の注意点1/購入場所

 給油以外の目的でガソリンを購入する場合、ガソリンスタンドで購入することになるが、フルサービスのガソリンスタンドでのみ可能だ。

 セルフスタンドが許可されているのは、二輪車や四輪車への給油のみで、ナンバープレートが装着されていない車両への給油は禁止されている。それと同時に携行缶などガソリンの小分け販売も禁止されている。

 つまり、セルフスタンドではガソリン携行缶を持っていようが購入することはできない。このことを知らない人は多く、ガソリン購入の盲点でもある。また、知っていてもやっている人もいるが、非常に危険なので厳禁。

あまり認知されていないが、セルフスタンドで給油以外でガソリンを入手することはできない。携行缶でもやってはいけない。フルサービス店で購入しよう

購入時の注意点2/容器

ガソリン携行缶の規定に適合したものには規格ラベルシールが貼られている。写真は危険物保安技術協会(KHK)のもので、そのほかにUN規格がある

 ガソリンを購入する時に必要になってくるのが金属製のガソリン携行缶。金属製なら何でもいいわけではなく、消防法に適合していることが最低限の条件となる。

 5L、10L、20L(上限)の3つの容量が用意され、一般的に赤く塗装されているが、高級感のあるメッキ塗装が施されたステンレス製もある。そのほか消防法に適合したジェリカンも使うことができる。

形状、大きさは違うように見えるがどちらも最大容量である20Lの携行缶。危険を示す赤に塗られていることが多いが、ステンレス製の高級品も出てきている

 売れ筋は鋼鈑に亜鉛メッキ(防錆加工)したもので、20L缶なら3000円程度から購入できる。いっぽう高級品のステンレス製は7000~8000円とかなり高価。

 灯油のポリタンクにガソリンを入れようとする人は想像以上に多いというが、消防法で禁止されているので要注意。

これは灯油用の20Lのポリタンクで、金属製ではないためガソリンを携行することはできない。第4類第2石油類というのが灯油を示している
ジェリカンは軍用のガソリン携行缶で、鋼板を溶接して作られていて頑丈。ただし古いものは性能の劣化も考えられるので要注意

運搬時の注意点/1台のクルマで運べる上限がある

 携行缶でガソリンを貼れて購入できた後は、そのガソリン携行缶の運搬にも規制されていること、注意すべき点があるので紹介したい。

 まず、1台のクルマで運べるガソリンの量が消防法で規定されていて、その量は22L。ガソリン携行缶の容量の上限が20Lというのはこの運搬量と密接な関係がある。

 現場などで複数の発電機を使うからと言って1台のクルマで20Lのガソリン携行缶を2つ3つ運搬しているクルマもあるが、これは完全に法令違反となる。ただし、22Lを超えなければ、個数に制限はない。

ワゴンやバンでガソリン携行缶を運搬する時には運転にも要注意。手荒な運転をして振動により内圧が異常に高くなるケースがあり危険だ

使用時の注意/ガソリンの揮発性を甘く見るな

 ガソリンはマイナス40℃でも気化する特性があるため、日常どんな場面でも気化すると考えたほうがいい。さらにわずかな火源でも爆発的に燃焼する物質なので、ガソリンを扱う場合は、常に爆発の危険性と隣り合わせにあることを肝に銘じよう。

 クルマの車内にて運搬されたガソリンは、クルマの振動、熱などにより通常状態よりも気化していて携行缶内の圧力がかなり高くなっている。

 そんな状況にもかかわらず、いざ給油しようとガソリン携行缶のフタを開けると、ガソリンが内圧によって噴き出すことが多々ある。これは非常に危険で、ガソリン携行缶を使用する前は必ず圧力を抜いてから使用するようにしよう。

これがガソリン携行缶の内圧を抜くネジ。ドレーンタイプものものもあり、必ずこれを緩めて圧力を抜いてからふたをかけないとガソリンが飛び出すこともあり危険

 圧力抜きのボルトを回すと、プシューっと圧力が下がる音がし、その音が完全に消えたら携行缶のふたを開けてOKだ。

 火気のある場所での給油、動いている内燃機関(発電機等)への給油は厳禁。こぼれやすいのでこぼさないよう慎重に。こぼすことは爆発物を散布しているのと同じなのだ。

保管時の注意点/基本的に余ったガソリンは廃棄

 いざという時のために、ガソリンを自宅にキープしておきたい。これだけ災害が頻発して電気が生命線とも言える状況ではそう眼が得る人は多いはずだが、基本的に自宅にガソリンを蓄えておくことはオススメしない。理由は非常に危ないから。

 ガソリンを携行缶に入れっぱなしで放置しておくのは危険。ガソリン携行缶は密閉性が高いとはいえゼロではないし、それが長期間になれば気化したガソリン量も多くなる。

いざという時のために発電機を購入する人は多い。残ったガソリンを無造作に屋内に置くなど言語道断。余ったガソリンはもったいないが基本的に廃棄するのがベスト

 使い切らなかったガソリンは、ガソリンスタンドで処理してもらうのがベストだが、そうでない場合は携行缶のふたをしっかり閉めて直射日光の当たらない冷所で保管。そしてしっかりと換気することが重要になる。

 ガソリンも生もののため腐敗し、長くても6カ月で廃棄するようにしたい。

 ただ、爆発の危険性のある物質を6カ月も放置するのはオススメしない。

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