マツダCX-5の“意外な”評価 、デザイン改革の旗手 ~デザイン水かけ論~

前澤義雄の採点…67点

 せっかくのディーゼルが台無し。鈍重なデザインだ

 マツダの期待の星って感じのSKYACTIVだが、その最終形のディーゼル版を載せたCX-5が発売された。

 秋の東京モーターショーで目にした時から、ドテッと鈍重でメリハリのない印象だったが、高原の日差しのなかで観てもその印象は変わらず、加えて部分的な主張だけが目立つ、纏まりに欠けたデザインと感じた次第。

 ガソリン版をはるかに凌駕するハシリの楽しさを与えるディーゼル搭載車だけに惜しまれる、ジツニ。

 モッコリとしたフロントボディに、各部品がそれぞれのカッコで散らばり、続くセンターボディは、直線基調と曲面構成上のキャラクターラインが上下に混在。そしてリアボディは無難な凡庸さとなっており、全体の統一感もなければプロポーションにネライも感じられない。

 CX-5はSUVの一種なのだろうが、今やSUVの世界の競争は激しく、単に性能や機能が優れるのみならず、デザインの魅力が大きく商品性を左右する時代となっている。

 マツダがデザインに注力している様子はワカル……が、精神や意欲を込めた漢字を標榜するだけじゃなく、ホントのデザイン志向をしてほしいのだ。

清水草一の採点…76点

 今回の前澤さんの評価は理解不能だ

 前澤さんは、CX-5の何がそんなに気に入らないのか。具体的な指摘を聞いても、サッパリ理解できません。

 CX-5をごく普通に評価すれば、BMW的な彫刻デザインの延長線上にある、そこそこレベルのSUVデザイン、ということになるんじゃないか。

 新しさはないし、いまひとつ心に響かないけど、それなりにまとまっていて、決して悪くはない。中の上くらい。僕はそう思う。

 以前から、前澤さんの言うことがまるで理解できないってことはたまにあったけど、最近では、アクアの高評価とこのCX-5の低評価がまったく意味不明だね。

 もともとこの連載については、読者から「ふたりの評価が理解できない」と指摘されることも少なくない。

 でも、自動車デザインの評価を好き嫌いの問題で終わらせずに、ある種の絶対評価を目指そうということで始まったんだから、そういう人がいることは当然だ。全人類がピカソの絵を理解できるわけじゃない(私を含む)。

 ただ、今回の前澤さんの評価を聞くと、あまりにも理解が困難で、「やっぱデザインって、好みの問題なのかも……」なんて思ってしまったりもするんだよね。前澤さんの目には、いったいどんな景色が見えているのか? 

 つい弱気になってしまいます。

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ちなみに、こちらが11月16日にワールドプレミアとなった2代目CX-5。生前、前澤氏は「自然光の下で見ないとデザインはわからんな。ヤッパシ」と言っていたが、写真ではなく自然光のもとでニューCX-5を早くみてみたいもの。日本での発売が楽しみだ!!

 前澤義雄
1939年生まれ、東京都出身。1965年にプリンス自動車に入社。以後、日産自動車のデザイナーとしてプリメーラ(P10)やフェアレディZ(Z32)などのデザインを手がける。

 同社退社後は、フリーの自動車評論家としてベストカーの「デザイン水掛け論」を中心に活躍。寡黙ながらも深い知見で、はっとする気づきを提示してくれた同連載は、読者にも好評だった。享年75

 清水草一
1962年生まれ、東京都出身。週刊プレイボーイの編集者を経て、モータージャーナリストとなる。自ら所有するフェラーリや高速道路行政関連にも造詣が深い。

 ベストカーでは「デザイン水掛け論」や、現在も連載中の「エンスー解放戦線」などで活躍中

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