日産ディーラーにセレナ急減の理由を聞いた
そこでミニバン販売の1位をシエンタに譲り渡した原因はどこにあるのか、日産販売店の営業マンに聞いてみた。
「一時期に比べると販売は減りましたが、相変わらずセレナの人気は今でも高いです。従来型セレナを使うお客様が新型に乗り替える時に、e-POWERと(運転支援機能の)プロパイロットは大きな魅力になります。
ただし、e-POWERの追加から1年以上を経過しましたので、欲しいお客様には、ひと通り行き渡ったこともあると思います。
このような事情を受けて、セレナは8月にマイナーチェンジを行い、ハイウェイスターの外観をカッコ良く変更しました。どうなることかと思いましたがお客様からの評判も上々です。ハイウェイスターは相変わらず人気で全体の約7割を占めています。
10、11月の販売が芳しくなく、8月に集中したのは、10月の消費税が上がる前マイナーチェンジ後のモデルを買っておこうというお客様が集中したことがあると思います。セレナは定期的に改良を行っているので、今後も堅調に売れ続けると思います」。
―ミニバン販売ナンバー1の座をシエンタに譲り渡すことについては?
「ミニバン販売ナンバー1という実績は、お客様に対して強い説得力があります。セレナにはe-POWERという、ヴォクシーやステップワゴンのハイブリッドとは一線を画す、晴らしい魅力があります。
これに加えて、ミニバン販売ナンバー1という売り文句があると、お客様に対して購入の判断を促しやすい面はありますね。
実際、2018年はミニバン販売ナンバー1でしたので、お客様に対して強力なアピールになりました。
このままいくと、2019年のミニバン販売ナンバー1の座は難しそうな状況ですが来年は頑張りたいと思います」。
2019年のミニバン販売ナンバー1の座は陥落!?
ヴォクシー系3姉妹車は発売から約6年、ステップワゴンも4年以上を経過したからライバル車に比べて大幅な不利はないが、先ごろフルモデルチェンジされたカローラ、新発売されたライズなどが販売ランキングの上位に入ると、セレナの順位は繰り下がってしまう。これは仕方がない。
2019年1~11月の販売台数を見ると、残念ながらセレナは、2019年のミニバン販売台数ナンバー1になることはできないだろう。
2019年1月~11月までのシエンタの販売台数は10万3601台、セレナは8万8534台とシエンタに次ぐ2位。12月の販売台数が大幅に伸びることがないかぎり、2019年のミニバン販売台数ナンバー1の座はシエンタになるだろう。
セレナは、売れ筋の価格帯が290万円以上に達する唯一の車種だから(e-POWERとスマートシンプルハイブリッドのハイウェイスターVが、セレナ全体の約6割を占める)、日産と販売店の両方にとって、粗利の多い貴重な商品だ。
■セレナの人気グレード上位3位(日産調べ)
●1位:e-POWERハイウェイスターV(35%/349万9100円)
●2位:ハイウェイスターV(24%/298万6500円)
●3位:標準ボディXV(9%/273万6800円)
セレナの売れ行きが下がれば、即座に割安な特別仕様車などを設定して、販売の回復に力を入れるだろう。
2020年に入ると、デイズルークスやノート、エクストレイルがフルモデルチェンジし、コンパクトSUVのキックス、EVのSUV・アリアなど5車種発売するが、好調に売れる価格の高い日産車は依然としてセレナだ。今後もしばらくは、セレナが日産の国内販売を支え続けるだろう。
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