2024年の自動車盗難件数を見ると、ランドクルーザーは688台でダントツの1位、そしてレクサスLXは4位、販売総数の5%前後、つまり20台に1台の割合で盗まれている。なぜこれほど多いのか、盗難は防げないのか? またトヨタは、重い腰を挙げたのか、3月24日、ランクル300が一部改良され、盗難防止装置が強化された。どんな改良なのか、見ていきたい。
文:渡辺陽一郎/写真:ベストカーWeb編集部、トヨタ
【画像ギャラリー】ランクル300の盗難防止機能が強化されたゾ!!! 写真でチェック!!!(6枚)画像ギャラリー自動車盗難件数NO.1はランドクルーザーが1位、レクサスLXは4位!
日本損害保険協会がまとめた2024年における「第26回自動車盗難事故実態調査結果」のワースト車種ランキングは、以下の通りだった。
■2024年/車名別盗難ワーストランキング
1位:ランドクルーザーシリーズ(688件)
2位:アルファード(289件)
3位:プリウス(235件)
4位:レクサスLX(109件)
5位:レクサスRX(89件)
6位:クラウンシリーズ(62件)
7位:ハイエース(43件)
8位:ヴェルファイア(38件)
9位:レクサスLS(34件)
10位:ヴォクシー(21件)
車名別盗難ワーストランキングの上位10車は、すべてレクサスを含むトヨタ車だ。2024年に国内で販売された新車の内、トヨタ車のシェアはレクサスを含めて33%だが、小型/普通車に限定すれば50%に達する。それでも車名別盗難ワーストランキングの上位10車がすべてトヨタ車で占められるのは注目されるだろう。トヨタには盗難という面でもニーズの高いクルマが多い。
上位10車の中で、特に目立つ車種はレクサスLXだ。ランキングは4位だが、レクサスLXは新車の登録台数が圧倒的に少ないからだ。2024年の登録台数は1年間で約1900台、2023年は約3000台であった。
2024年に盗難台数が最も多かったランドクルーザーの登録台数は、同年が5万1288台だ。アルファードは7万9374台、プリウスは8万3485台になる。レクサスLXは、わずか2000~3000台しか登録されていないのに、盗難台数は4番目に多い。
盗難は、その年に販売された新車だけが狙われるわけではないが、盗難の危険を示す目安にはなる。2024年には約1900台のレクサスLXが登録されて109台が盗まれたから、販売台数に占める盗難率は約6%だ。2023年は約3000台のレクサスLXが登録されて、120台が盗難されたから盗難率は4%だ。
このようにレクサスLXは、販売総数の5%前後、つまり20台に1台の割合で盗まれている(注:ただし厳密には2024年に盗まれたレクサスLXのデータで、先代LXやほかの年式も含まれる)。盗難率は際立って高い。販売店にレクサスLXの盗難率が高いことを把握しているか尋ねると、以下のように返答された。
「LXは盗まれる危険性がとても高い。今は悪路走破力の優れたオフロードSUVの上級車種が人気を集めており、レクサスLXやランドクルーザーが狙われやすい。これらの車種は、盗難すると海外へ輸出されることが多いため、取り戻すのが難しい。お客様は盗まれないように、厳重に管理して欲しい」。
販売店では、レクサスLXのユーザーに対して、盗難を防ぐアドバイスは行っているのか、そのあたりについても聞いてみた。
「LXは全高を含めてボディが大きいから、一戸建てに住み、自宅の駐車場に保管しているお客様が多い。そこで外部から侵入しにくいシャッター付きのガレージを用意するようにお願いしている。
金属製のシャッターは、開閉時にガラガラと大きな音を発するから、盗難が発覚しやすい。セキュリティシステムについては、ガレージと車両の両方で厳重に行ってほしい」。
リレーアタック、CANインベーダー、ゲームボーイといった盗難を未然に防ぐには社外の盗難防止装置が有効。純正メインキーとエンジンスターター関連のキーを2つに分けた(車両のシステムとは独立)最近のセキュリティシステムが有効だ。ゴルゴやパンテーラ、アルゴスD1、クリフォード、イグラなどさまざまなものがあるが、センサーやユニットを追加してさまざまな機能を選んでいくと40万円以上になる場合がある。
車両を盗む側が最も敬遠するのは、盗難に要する時間が長引くことだ。盗難の所要時間が伸びるほど、発覚する可能性も高まる。電子制御のセキュリティシステムと併せて、ホイールやステアリングロックなど、アナログ的な盗難防止装置を数多く使うのが好ましい。ただし、これだけで自動車盗難は防げず、盗難を遅らせる時間稼ぎ程度にしかならないと思ったほうがいい。
ちなみにリレーアタックはスマートキーから常時出ている微弱な電波を特殊な機器で増幅してドアロックを解除しエンジンを始動させる盗難手法。
CANインベーダーは「CAN信号」と呼ばれるクルマの配線を活用して車両システムに侵入し、キーロックの解錠やエンジンが始動できる。左フロントバンパー付近から、専用機器を接続しコンピューターに侵入。ドアの解錠からエンジン始動まで車両を自由に操ることができ、車内外の純正盗難防止装置も作動しない。所要時間は3分程度で盗難されてしまう。
CAN通信システムの侵入は、左フロントバンパー付近から行われることが多いため、クルマの左側面を壁際に駐車し左前のタイヤ付近に人が入り込めないようにするといい。
最新の盗難手法はゲームボーイ。ドアハンドルなどのクルマから発する微弱な電波を解析して瞬時に合鍵を作るシステムで、その端末が任天堂のゲームボーイに似ていることから付けられた。
そのほか、衛星利用測位システム(GPS)、エアタグ(音が鳴らないように改良する必要あり)、ナンバープレート盗難防止ネジを取り付けることも効果的だ。
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