【4WDはどのタイヤにチェーンを付ける?】安心・安全の冬ドライブ術

 年末年始を迎え冬場も本番となり、帰省やウインタースポーツなどのためにクルマで移動する人の中には雪道を走る人も多いことだろう。

 雪道は危険がいっぱい潜んでいるが、恐々運転するのは逆に危ない。といってノー天気に運転するのはもっと危険。どちらにしろ危険ということだ。特に慣れていない人にとっては非常にハードルが高い。

 当記事では雪道のドライブのビギナーや不安を抱えている人たちに向け、今一度知っておきたいウィンタードライブの基礎知識をお届けする。

文:永田恵一/写真:TOYOTA、平野学、池之平昌信、ベストカー編集部、ベストカーWeb編集部

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チェーンはどのタイヤに巻く?

 降雪地域の方をはじめとした雪道を頻繁に走るという人であれば、冬場はスタッドレスタイヤやオールシーズンタイヤといった雪に対応したタイヤに交換している人が多いはずだ。

 しかし雪道を走る機会が極めて少ない人であれば、タイヤチェーンで対応するという人もいるだろう。その場合考えなければならないのが「四輪のうち二輪に着けると言われているチェーンはどこに着けるのか?」ということである。

 正解は、「FF車なら前輪、FR車なら後輪といった駆動輪」となる。

WRX STIは41:59と後輪寄りの駆動力配分になっているが、取扱説明書にはチェーンを巻くのはフロントタイヤと明記している。勘違いに注意しよう
4WDのジムニーは取扱説明書でタイヤチェーンは後輪に巻くと明記されている。4WDはチェーンをどのタイヤに巻くか、取扱説明書を再チェック

 注意しなければいけないのが4WD車だ。4WDの場合には、「主として駆動するタイヤ」と思いがちで、実際にそういったケースは多い。

 しかし取扱説明書をアレコレ見てみると、スバルWRXのような後輪への駆動力配分が多いクルマでも、「チェーンは前輪に着けてください」と表記されているクルマもある。

 いずれにしてもチェーンを着けるタイヤに関しては一度取扱説明書を確認してほしい。

 ただし、クルマによっては特にスポーツモデルだと取扱説明書を見ると、「チェーン取付不可」というものもあり、もし輸入車で取扱い説明書にチェーンに関するページがない場合にはチェーンは取付不可と考えるべきだろう。

C-HRは17インチタイヤ装着のS、S-Tのみタイヤチェーンを装着することができる。19インチのGRスポーツ、18インチのG、G-Tはそのままでは装着できない

 チェーンは装着時の最高速度は金属製で30km/h、非金属製で50km/hに制限され、脱着のタイミングが難しいなど、不便は多い。

 しかしその代わりにスタート時の駆動力やブレーキの際のグリップ力は強力だ。「ならばチェーンを四輪に着けたらもっといいのでは」と考える人がいるのもわからなくはない。

 その点についても取扱説明書を見ると、「チェーンは指定されたタイヤ以外、絶対に着けないでください」と表記しているクルマも多々ある。

 また現実的に考えてもチェーンを四輪に着けるというのは慣れてないと前後輪のどちらかに着けるだけもなかなか大変なだけに、チェーンを四輪に着けることはないと考えてほしい。

タイヤチェーンは絶大なトラクションを発揮するが、チェーンを装着していないタイヤとのグリップ力に差が出るため、運転には注意が必要だ

 ただチェーンを前後輪のどちらかに着けた際には雪に対応したタイヤを四輪に着けるのと違って、前後輪のグリップ力に大きな差が出る。

 そのため前輪にチェーンを付ければ後輪のグリップ力が低いので特に下り坂のコーナーで後輪が流れやすいし、後輪にチェーンを付ければ前輪のグリップ力が低いので特に上り坂で曲がりにくい、という危険があるのも事実だ。

 チェーンで雪道を走る際にはその意味でも注意を払う必要がある。

 また気休め程度にしかならないかもしれないが、チェーンを付けないほうのタイヤには最近出回り始めたスプレー式のグリップ剤をスプレーして、そちらもグリップ力を高める努力をする価値はあるかもしれない。

最近スプレーチェーンがいろいろなメーカーから発売されている。あくまでも応急処置、一時的なものと認識使うようにしよう

冬場の注意スポット

 冬場のドライブは常に注意して走ったほうが無難だが、そのなかでも特に注意したいスポットを挙げておきたい。

■交差点の先頭位置
 交差点の先頭位置は凍結していると他車が発進する際の空転などにより、さらに路面がツルツルに磨かれ非常に滑りやすいことがある。

 そのため発進の際にはより注意深くアクセルを踏む、停止の際にはブレーキを早めにするなどの対処を行ってほしい。

 また雪道は黒く濡れているだけのように見えても、「ツルツルのアイスバーンだった」というブラックアイスバーンと呼ばれる路面に突然遭遇することもあるので、その意味でも常に余裕を持った注意深い運転が必要だ。

路面の黒くなっている部分が水に濡れているだけなのか、超絶危険なバラックアイスバーンなのかの判断は難しい。光の反射具合をまず見よう

■橋の上
 橋の上は下に川が流れているなどして気温が下がり、風も抜けるので凍結しやすいのでより注意しながら走行してほしい。

 また冬場のドライブでは車載のものや道路上の気温計も頻繁に見るようにして、3度から4度になったら凍結の可能性を頭において走行したほうがいいだろう。

橋の上の路面は橋の大小に関係なく凍結しやすいので走行する時には要注意。充分な車間距離をとって走ったほうが安全だ

■日中、日光で雪が溶けやすそうな道路脇の斜面
 雪解け水が道路に流れ、気温が下がる夕方以降になると凍結している可能性が高まる。

冬場は気温、警告表示など情報板を逐一チェックして、自分が運転している道路のコンディション、この先の状況などを把握しなければいけない

■トンネルの入り口、出口
 冬場トンネルに入った際には気温が一気に高まるため、ガラスやミラーが急激に曇ることがあるのでデフロストや着いているクルマならミラーヒーターもオンして、曇らないように備えておきたい。

 トンネルの出口はただでさえ気温の高いトンネル内から気温が急激に下がる。さらに関越自動車道の群馬県と新潟県の県境となる関越トンネルを出た際には山を通過した後だけに天候自体も全然違うということもよくあるので、極力余裕を持った運転をしてほしい。

トンネルに入った途端にウィンドウ類が曇ったりして視界が確保できず困った経験がある人もいるだろう。路面コンディションも変化するので注意が必要

 また特に降雪地域の人のように、「冬場は毎日雪道走る」というドライバーでない場合は雪道に入った直後や安全に問題がない時に、後続車や対向車がいないことを確認の上で一度ブレーキを強めに踏んでみてほしい。

 これは試しブレーキなどと呼ばれその際の減速感によっては路面の滑りやすさを体で覚えられるので、その日の路面状況を確認するのに非常に有効だ。

スタッドレスタイヤの寿命

 スタッドレスタイヤは安いものではないだけに、なるべく長く使いたいものである。しかし劣化により雪道での使用に耐える性能に達していないものを使うのも危険だ。

 スタッドレスタイヤの使用限界の判断には大きく2つの要素がある。

 1つ目は残りミゾだ。

 スタッドレスタイヤはサマータイヤにもありタイヤの側面に見える△マークの延長線上に配されるスリップサインに加え、スタッドレスタイヤとしての残りミゾの使用限界を示すプラットホーム(位置はタイヤの側面の四か所にある↑マークの延長線上)もある。

スタッドレスタイヤは使用して雪が溝に詰まった状態ではコンディションをチェックすることが難しいため、チェックはドライ時にやっておこう

 プラットホームの残りミゾがなくなってしまったら、スタッドレスタイヤとしては性能が低下しており、雪道では使用できない。

 なおプラットホームの残りミゾがなくなってしまっても、スリップサインが出るまではサマータイヤに対しドライ路面での性能低下やウェット性能が劣るなどの弱点はあるが、若干注意しながらサマータイヤとして使うことは可能だ。

黄色のラインで囲ったものがプラットフォームサイン。ツライチになると50%摩耗のサインで、スタッドレスの性能を発揮できないので雪道での使用はできない

 2つ目はタイヤ側面に表記される製造年と製造週(3019なら「2019年の30週目に製造」を意味する)からわかる、使用期間による劣化だ。

 具体的には雪道での性能向上だけでなく寿命の延長にも大きく寄与する発泡ゴムを使ったスタッドレスタイヤと、使っていないスタッドレスタイヤで大きく異なる。

4ケタの数字がタイヤの製造年月を示している。下2ケタの14が年、上2ケタの50が週を意味し、このタイヤは2014年の50周目(12月)製造とかなり古いことになる

 前者なら5年、後者なら3年といったところなので、自分が使っているスタッドレスタイヤがどんなものか忘れているなら確認が必要だ。

 いずれにしてもプラットホームまでの残りミゾと使用期間のいずれかでも満たしてないとスタッドレスタイヤとしての賞味期限は過ぎていることになる。

 スタッドレスタイヤは冬場の安全に大きく影響するものだけに、その場合には早急な交換が必要だ。

スタッドレスタイヤの性能は驚くほど進化していて、ドライ路面とそん色ないドライビングが可能だが、くれぐれもオーバースピードには気を付けて!!

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