【これは珍なり】32GT-Rにまさかの新車が登場!? 20年ぶりの新車発掘にマニアも騒然

【これは珍なり】32GT-Rにまさかの新車が登場!? 20年ぶりの新車発掘にマニアも騒然

日本のモータースポーツ、そしてスポーツカー史を語るうえで外せない存在がGT-R。なかでも1989年に登場したR32は16年ぶりのGT-R復活もあり、当時の熱狂は相当なものだった。そして全戦全勝などグループAでの伝説を残し、GT-Rの最強伝説を確固たるものにした1台。そんなR32がなんと2016年に新車で発掘されたというではないか。さっそくその個体を保有しているショップに直接取材した。

文:ベストカー編集部/写真:西尾タクト、塩川雅人、ベストR
ベストカー2017年2月10日号



そもそもR32のスカイラインGT-Rとは?


皆さんが「あの時代の日本車は楽しかったなぁ」と目を細めるのはいったいいつ頃だろうか。きっと1980年代末から1990年代初頭と答える人が多いはず。国産初の280㎰に達したフェアレディZや、ホンダのNSXなど国産スポーツカーの黄金期だ。

そんな時代を象徴するクルマで忘れてならないのがスカイラインGT-R(BNR32)。「32(サンニー)」の愛称で親しまれるこのクルマの成り立ちはもう皆さんには説明不要かもしれないが、レースで勝つためだけに設計されたクルマなのだ。

名機RB26DETTを搭載し、グループAでは600㎰という大出力で連戦連勝の大活躍。星野一義選手らの活躍もあり、サンニーはセールスでも大ヒットを記録。第2世代GT-Rの圧倒的な強さを印象づけたクルマだ。現在でもサンニー人気は健在。多くのGT-R専門店が存在し、状態のよい個体ならば300万円台のプライスタグがつくことも珍しくない。

すでに後世に残すべき車種になりつつある。そんなサンニーの中古車市場にとんでもない1台が2016年末に現われた。なんと走行距離はたったの10㎞。未登録の新車が発見されたという。


グループAの快進撃もあり、4万台もの売り上げを記録したR32 GT-R。星野一義氏が乗ったカルソニックGT-Rはなかでも多くのファンを生んだ1台。この時のGT-Rのレースイメージは現在にも引き継がれている

タイムスリップしてきたような1台


20年以上前のクルマの新車が出てくるのはもはや奇跡に近い。この個体を保有している神奈川県川崎市のGT-R専門店「ベストR」の代表である植田博文さんに話を聞いてみた。

「走行距離から考えても当然ですが保存状態はなかなかほかに類を見ないほどで、内装も外装も傷みはありません」

担当が実物を見るにこれはどこかの倉庫や、ガレージで大切に保管されていたに違いないと感じた。年式は平成6年式でグレードはVスペックII N1。N1というだけでも約230台ほどの希少車種で、それだけでプレミアがつく。

N1はその名のとおりN1耐久レース(現在のスーパー耐久)用のベース車両。エアコンは標準装備ではなく、タービンも専用部品というスパルタンな仕様のため、実在数は極めて少ない。さらにいうとN1には3パターンある。標準グレードベースの「N1」、Vスペックベースの「VスペックN1」、VスペックIIベースの「VスペックII N1」となる。

なかでもVスペックIIベースとなると数十台しか存在しないともいわれ、サンニーのなかで最も希少なグレードだ。さらに走行距離10㎞の未登録の新車となればその値段は見当がつかない。

「値段も決めていない状態ですが、売るとなればとにかく貴重な1台なので大事にして下さる方に販売したいですね」と前出の植田さんは語る。


外装も新車同然。ヘッドライトが標準車のプロジェクター式とは異なるなどN1は専用装備も多い


よく見られるダッシュボードの浮きなどもなく綺麗なインテリア。屋内保管だったのは間違いない。エアコンが装備されているが、標準のR32のそれとは異なり、こちらも憶測を呼ぶ

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出自はレース関係? そのナゾに迫る


新車が数十年ぶりに発見されるのは時たま起こることではあるが、それはフェラーリなどのスーパーカークラスでの話。走行用とは別に保管用や投機用として購入されている個体もあるくらいだから、時折そのようなことも起こる。

しかし32GT-Rとなると希少なVスペックII N1とはいっても、シリーズ累計で4万台以上が売られた量産車で、当時から投機用に20年も寝かせておくとは考えにくい。

ここからは編集部の完全なる推測として読んでほしいが、N1というグレードからしてきっとレース車両製作のために購入された1台ではないだろうか。なんらかの事情でレース車両としての架装を受けることがなく、そのままレースガレージなどに置かれていたと推測する。

植田さんによるとこのクルマはオークション仕入れではなく直接買い付けとのことだった。新たな伝説が生まれそうな1台だけに、どんな形であれ完全な状態で維持されるのがベストではないだろうか?


慣らし運転も終わっていない状態のRB26。このクルマに火が入れられることは今後あるのだろうか……


20年の時が止まっているインテリア。走行距離10kmは真実だ