日産以外も充電環境は値上げの傾向に
EVの充電環境が変化しているのは日産だけではない。海外メーカーではテスラがEV専門メーカーとして日本で奮闘しているが、当初と今では充電環境が変わってきている。
モデルSが投入された当初は、購入者に対し独自の急速充電器であるスーパーチャージャーが無料で利用できる特典があったが、その後有料プランに変更されるなど、徐々に待遇は変わってきている。
しかもスーパーチャージャーも拠点により無料で利用できるものと従量制の有料になっているものがあり、国産メーカーと比べて、地域による電費のバラつきが大きそうだ。
スーパーチャージャーの設置拠点が増えているものの、販売台数も増えているため、充電機器1台あたりの利用台数は増えていれば、利便性が向上しているとは言い難い場合もある。
テスラオーナーの中には、4年後の残価設定プランで購入し、契約期間終了ととともに別のクルマへ買い替えるケースも少なくないようだ。
モデル3が投入され、テスラの販売台数が伸びている現在、充電環境は悪化の傾向にあるのは間違いない。
EVが身近になってきた反面、充電環境は供給側が不足気味になってしまうのは、過渡期のモビリティとして許容すべきことなのかもしれないが、新規ユーザーになるには今までとは違う勇気が必要と言えそうだ。
大規模ショッピングモールでの普通充電についても、従来は無料だったものが、有料になるなど充電設備の利用客が増えたことによる充電渋滞の解消を図るためもあって、充電環境は全体として値上げに動いているようだ。
現時点では従来同様に見えるEVの減税や補助金制度も、今後EVの普及が進むと判断されれば、減税額や補助金額が見直されることになるハズだ。
そもそも割高であったり、リセールを含めてお得な判断か分からないエコカーに買い替えさせることで、社会のクルマ全体の平均燃費を向上させて環境対策(と同時に経済対策でもあるが)をしてきたものだけに、これは仕方のない部分だ。
トヨタやホンダ、マツダがEVを発売するのは、EVの市場が成熟する気配をみせているからではなく、2020年度から日本でも導入されるCAFE(企業別平均燃費)規制対策のためであることが大きい。
ZESP2で激安充電環境を享受してきたリーフオーナーにとっては、今後の充電環境は大幅値上げに感じてしまうほどの変化は、いよいよ自動車メーカーが環境対策に首根っこを押えられたという状況なのだ。
ただし今後、EVのニューモデルが発売されても、経済性でメリットが薄ければ販売台数が伸び悩む可能性はある。
そうなった場合に行政や自動車メーカーが販促対策として補助金や充電環境の改善をキャンペーンとして打ち出すかもしれない。
結局、エコロジーはエコノミーを伴っていないとやはり持続可能性は高まらない。ユーザーの意識も徐々に変わっていくだろうが、人柱になろうという気概のあるオーナーだけでは新しいモビリティは根付かないのである。
ディーゼル車は欧州車中心。燃費性能より走りが魅力か
一方、ディーゼル車の情勢はあまり変化がない。国産車だけで見れば、寂しい限りである。
マツダはデミオ改めMAZDA2やMAZDA3、CX₋30といったスポーティなSUVでもクリーンディーゼルのSKYACTIV-Dをラインナップしているが、他の国産車勢はディーゼルには消極的だ。
トヨタがランクルとハイエース、ハイラックスに、日産がNV350キャラバン、三菱がデリカD:5とエクリプスクロスに用意している以外は、パーソナルカーとしてのディーゼルは存在しない。
欧州勢がドイツ、フランス、イタリアのブランドがさまざまな車種にディーゼルエンジンを搭載し、日本市場にも投入されているが、走行距離が年間1万kmを超えるようなユーザーでなければ、コスト面での恩恵は受けにくい。
輸入車となればさらに年間走行距離が多くなければ元は取れない、というのが現実なのだ。
ただしディーゼルエンジンは経済性だけではなく、豊かな低速トルクによる加速感や、燃費の良さによる環境性能の高さも魅力であることは付け加えておきたい。
なおMAZDA2のトータルコストに関しては、車両価格の上昇と、それに伴う上質化による下取り価格の上昇を含めて試算している。
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