マイナーチェンジで挽回できなかった
この間、トヨタは販売減を見て、何もしなかったわけではない。2019年10月に発売以来初のマイナーチェンジを行っている。
エクステリアでは、一見何も変わっていないように見えるが、エアインテークを左右に広げ、ワイドスタンスを強調するとともに、フロントフォグランプをエアインテーク上部に配置(G、G-Tグレード)した。
ヘッドランプは上部に長く伸びるLEDクリアランスランプには右左折時に車両内側から外側に流れる点灯するシーケンシャルランプとなり(G、G-T、S”GR SPORT”、S-T ”GR SPORTS”)、S、S-Tについてはパラボラ式LEDを採用した。リアコンビネーションランプはLEDタイプとなる
さらにGAZOOレーシングが手掛けるスポーツブランドのGRスポーツを追加設定したほか、カローラスポーツの1.2Lターボに設定された6速iMTがC-HRの1.2Lターボにも新たに設定された。
2種類のパワートレイン、1.2L、直4ターボ(116ps/18.9kgm)と、1.8LハイブリッドTHSII(エンジン:98ps/14.5kgm+モーター:72ps/16.6kgm)に変更はない。GR SPORTSのパワートレインも標準車から変更はない。
しかし、マイナーチェンジの効果は出なかった。その一方で、身内から足をすくわれるほどのライバル車が出現したのだ。そう、2019年11月に登場したトヨタライズ&ダイハツロッキーである。
ライズは2019年12月には小型/普通車の販売2位、2020年の1月と2月には、カローラシリーズやノートを抑えて1位になった。そうなるとCH-Rはますます下がり、2020年2月の対前年比は64%と低迷する。
■2019年暦年SUV販売台数TOP10
1位:ヴェゼル 5万5886台(93.7%)
2位:C-HR 5万5677台(72.5%)
3位:RAV4 5万3965台
4位:エクストレイル 3万6505台(72.6%)
5位:フォレスター 3万2384台(112.6%)
6位:CX-5 3万1538台(82.4%)
7位:ランドクルーザー 2万8475台(96.8%)
8位:CX-8 2万3294台(75.9%)
9位:ライズ 1万6601台
10位:UX250h 1万4409台
※カッコ内は対前年比
■直近の2020年2月のSUV販売台数
1位:ライズ 9979台、総合1位
2位:RAV4 5739台、総合13位
3位:C-HR 3912台(64.3%)、総合18位
4位:CX-30 3708台、総合20位
5位:ヴェゼル 3544台(60.0%)、総合21位
6位:ロッキー 3411台、総合24位
7位:CX-5 2987台、総合26位
8位:エクストレイル 2580台(46.9%)、総合30位
9位:フォレスター 2448台(73.7%)、総合31位
10位:ハリアー 2179台(57.8%)、総合34位
※カッコ内は対前年比
2020年2月はコロナウイルスの影響もあり、国内の新車販売台数は前年の90%であった。
市場全体の縮小も考える必要はあるが、それにしてもC-HRは下降幅が大きい。2020年2月は3912台だから、好調に売れた2017年2月の1万2985台に比べると、わずか30%にとどまる。
この販売減少には、2つ目の理由として、C-HRの商品力も大きく影響している。まず外観に強烈なインパクトがあることだ。
C-HRのプロトタイプは「C-HRコンセプト」の名称で、2014年と2015年に海外のモーターショーに出展された。
当時はプロトタイプに多い突出したデザインだと思ったが、2016年にショーモデルとほぼ同じボディスタイルで発売されている。
そのためにC-HRの外観は、SUVというカテゴリーを超越して目新しさと目立ち度が抜群だった。
スポーツカーのような魅力があり「今スグに欲しい!」と思わせた。愛車の車検満了を待たずに急いで購入するユーザーも多く、売れ行きを一気に伸ばして(発売後1ヵ月後の受注台数は4万8000台)、販売ランキングの上位に入った。
その代わり発売直後に集中的に売れたから、欲しいユーザーに行き渡るのも早い。スポーツカーと同様、短期間で需要が終わり、売れ行きは早々に下降を開始した。
2017年には好調に売れたが、登録台数を月別に見ると、小型/普通車の上位5位以内に入ったのは7月までだ、8月以降は10位前後に下がった。2017年に4位に入ったのは、上半期に数多く売れた実績があったからだ。
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