コンパクトカー:日産ノートe-POWER
2019年の小型/普通車販売は1位がプリウス、2位はノートだった。現行ノートの発売は2012年だが、2016年11月にシリーズハイブリッドのe-POWERを加えて売れ行きを伸ばした。
2015年の登録台数は9万7995台(1ヵ月平均は8166台)だが、e-POWERを追加した後の2017年は13万8905台(1ヵ月平均は1万1575台)に増えた。
2018年は13万6324台を販売し、日産車として初めて暦年で登録車1位となった。2019年は11万8472台に減ったが、発売から約7年を経過したことを考えると好調だ。
背景にはシリーズ方式のハイブリッドなのに「電気自動車の新しいカタチ」と宣伝して、注目度を高めた効果もある。
ノートの欠点は、2012年9月のデビューから、約8年という設計の古さだ。e-POWERの車両重量は中級グレードのXが1220kgだから、NAエンジンのXに比べて180kg重い。
プラットフォームが十分に対応できず、カーブを曲がる時などは、ボディの重さを意識させて走行安定性も不十分だ。新型のアクアとフィットが登場した今では古さが一層目立つ。
e-POWERにも注意したい。SモードとECOモードでは、アクセルペダルを戻すと積極的な回生充電を開始して速度を大きく下げるが、ドライバーによってはアクセルペダルのみの速度調節に違和感を抱き、足首が痛くなることもある。
そこでノーマルモードを選んで普通にブレーキペダルを踏むと、e-POWERには、フットブレーキに応じて回生力を強める協調制御がない。S/ECOモードに比べると燃料消費量が増えてしまう。
またS/ECOモードを使うとアクセルペダルを戻すと同時に強めの減速が行われ、街中ではブレーキペダルをほとんど踏まずに走行できる。
このワンペダル操作に慣れていると、e-POWERではないクルマを運転する時に、ブレーキペダルを踏むタイミングが遅れやすい。
発売が2012年9月だから内装にも古さを感じる。インパネ周辺の質感、前席の座り心地(特に腰の近辺の支え方)などに、改善の余地がある。
後席はシートアレンジが単純で、背もたれを前側に倒すと、広げた荷室の床に段差が生じる。車両全体に設計の古さが散見される。しかし、設計がこれだけ古いのに売れているのは大したものである。
ハイブリッド専用車:トヨタプリウス
プリウスはミドルサイズのハイブリッド専用車で、2009年に発売された先代型が絶好調に売れた。
2015年12月に登場した現行型は、先代型ほど売れていないが、2019年には12万5587台(1ヵ月平均で1万466台)を登録して小型/普通車の販売1位になった。
プリウスは今では初代モデルの発売から20年以上を経過して、ハイブリッド車の定番になっている。法人も含めてユーザーが多い。
プリウスの欠点は、混雑した街中や駐車場での取りまわし性が良くないことだ。
ボディサイズは全長が4575mm、全幅は1760mmだから特に大柄ではないが、フロントウインドウの角度が大きく寝ていてボンネットも見えない。そのためにボディの先端や車幅が分かりにくい。
サイドウインドウの下端を後ろに向けて持ち上げたから、斜め後方の視界も悪い。購入する時は、狭い裏道を走ったり、縦列駐車を試すと良い。
ミドルサイズカーでは快適な乗り心地も求められるが、プリウスは時速40km以下の低速域で少し硬い。
内装ではシフトのセレクターレバーが小さく、動かし方も従来の直線的なタイプとは異なる。今ではこの方式も普及が進んだが、操作した経験のないユーザーは、違和感が生じないか注意したい。
ルーフを後方に向けて下降させたので、後席に座ると腰が落ち込んで頭上の空間も狭く感じる。後席の乗り降りでも、頭を下げる姿勢になりやすい。
荷室は、床面積は広いが、リアゲートを寝かせたから背の高い荷物は積みにくい。
このようにプリウスは、デザインに特徴を持たせた代わりに、視界と取り回し性、後席の居住性、乗降性、荷室の使い勝手などに不満がある。
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