【N-BOX ライズ 成功の裏には隙がある】絶対王者の「がっかりしたあの部分」とは?

 3年連続で軽自動車と登録車を合わせた国内販売台数NO.1を達成したホンダN-BOX、SUV販売NO.1のトヨタライズ、コンパクトカー販売NO.1の日産ノートといった、大ヒット車たち。

 当然、売れた理由はそれぞれのクルマにあるわけだが、そうした大ヒット車といえどもがっかりした、欠点というべき部分はあるのだろうか?

 そこで、今回はモータージャーナリストの渡辺陽一郎氏に、大ヒット車のがっかりした部分を、強いて挙げてもらって徹底解説!

文/渡辺陽一郎
写真/ベストカー編集部 ベストカーWEB編集部

【画像ギャラリー】大ヒット車のがっかりした部分詳細写真


カテゴリー別NO.1車のがっかりした部分とは?

 販売台数の多い車種は、多くのユーザーが使っている以上、優れた商品と判断できる。ただし欠点も必ずある。

 そこで人気車の欠点を指摘したい。購入時に販売店の試乗車などを使って欠点を確認して、そこに不満がなければ安心して買える。

 軽自動車はN-BOX、コンパクトカーはノートe-POWER、ハイブリッド車はプリウス、ミニバンはシエンタ、SUVはライズをピックアップした。私が実際に試乗してわかった、がっかりした部分を挙げていきたいと思う。

軽自動車:ホンダN-BOX

押しも押されぬ人気で国民車となったホンダN-BOXに死角はあるのか?

 2019年(暦年)に国内で最も多く売られた車種はN-BOXだ。2019年の25万3500台(1ヵ月平均で2万1125台)の販売実績は、2位のスペーシア(16万6389台)に大差を付けた。

 軽自動車と登録車を合わせた販売台数は実に3年連続NO.1、軽自動車販売は5年連続NO.1を達成した、日本を代表するクルマにケチをつけるのには大変だ。

 軽乗用車で最も広い室内、上質な内装、充実した安全装備など売れ行きを伸ばす特徴も多い。

 逆に欠点を挙げると、意外のもすぐに見つかる。まずはNAエンジンのパワーが足りない。軽自動車では余裕を持たせたが、車両重量が890kg以上だから660ccの排気量では辛い。

 内装では、運転席に座ると、小柄なドライバーには圧迫感が生じる心配がある。メーターをインパネの最上部に装着したから、前方が見にくくなりやすい。

 後席の座り心地は、軽自動車では優れた部類に入るが、タントに比べると劣る。もう少し柔軟に仕上げて、腰をしっかりと支えてほしい。

欠点がないように見えたN-BOXのシートだが、座り心地はタントに比べると劣るという

 後席を後端までスライドさせると足元空間は大幅に広がるが、リアゲートとの間隔が極端に近付く。追突された時の安全確保を考えると、窮屈に感じない範囲で、なるべく前寄りにスライドさせたい。

 パーキングブレーキは、N-WGNと違って電動式ではなく足踏み式だ。その影響で、車間距離を自動制御できるクルーズコントロールは、全車速追従型にならない。

 追従走行中に、速度が時速25km以下まで低下すると自動的にキャンセルされてしまう。全車速追従型に乗り慣れたドライバーは注意したい。

コンパクトカー:日産ノートe-POWER

2017~2019年、1.6L以下のコンパクトカークラスの販売台数NO.1を達成した(日産がホームページで謳っている)ノート
2012年に登場したノート(前期)。初代ノートが採用していたBプラットフォームから、軽量化のためにVプラットフォームに変更。ヘッドライト、テールライトにブーメラン型で、ボディサイドには「スカッシュライン」というプレスラインを採用していた

 2019年の小型/普通車販売は1位がプリウス、2位はノートだった。現行ノートの発売は2012年だが、2016年11月にシリーズハイブリッドのe-POWERを加えて売れ行きを伸ばした。

 2015年の登録台数は9万7995台(1ヵ月平均は8166台)だが、e-POWERを追加した後の2017年は13万8905台(1ヵ月平均は1万1575台)に増えた。

 2018年は13万6324台を販売し、日産車として初めて暦年で登録車1位となった。2019年は11万8472台に減ったが、発売から約7年を経過したことを考えると好調だ。

 背景にはシリーズ方式のハイブリッドなのに「電気自動車の新しいカタチ」と宣伝して、注目度を高めた効果もある。

 ノートの欠点は、2012年9月のデビューから、約8年という設計の古さだ。e-POWERの車両重量は中級グレードのXが1220kgだから、NAエンジンのXに比べて180kg重い。

 プラットフォームが十分に対応できず、カーブを曲がる時などは、ボディの重さを意識させて走行安定性も不十分だ。新型のアクアとフィットが登場した今では古さが一層目立つ。

 e-POWERにも注意したい。SモードとECOモードでは、アクセルペダルを戻すと積極的な回生充電を開始して速度を大きく下げるが、ドライバーによってはアクセルペダルのみの速度調節に違和感を抱き、足首が痛くなることもある。

 そこでノーマルモードを選んで普通にブレーキペダルを踏むと、e-POWERには、フットブレーキに応じて回生力を強める協調制御がない。S/ECOモードに比べると燃料消費量が増えてしまう。

 またS/ECOモードを使うとアクセルペダルを戻すと同時に強めの減速が行われ、街中ではブレーキペダルをほとんど踏まずに走行できる。

 このワンペダル操作に慣れていると、e-POWERではないクルマを運転する時に、ブレーキペダルを踏むタイミングが遅れやすい。

日産によると、「ノートe-POWERのキーポイントは、『踏んで驚く』、『緩めて驚く』、『離して驚く』という3度の驚きである」と説明している

 発売が2012年9月だから内装にも古さを感じる。インパネ周辺の質感、前席の座り心地(特に腰の近辺の支え方)などに、改善の余地がある。

 後席はシートアレンジが単純で、背もたれを前側に倒すと、広げた荷室の床に段差が生じる。車両全体に設計の古さが散見される。しかし、設計がこれだけ古いのに売れているのは大したものである。

ハイブリッド専用車:トヨタプリウス

2015年12月のデビューから3年を経て2018年12月にマイナーチェンジが行われたプリウス。不評だったエクステリアデザインが手直しされ端正な顔立ちになった

 プリウスはミドルサイズのハイブリッド専用車で、2009年に発売された先代型が絶好調に売れた。

 2015年12月に登場した現行型は、先代型ほど売れていないが、2019年には12万5587台(1ヵ月平均で1万466台)を登録して小型/普通車の販売1位になった。

 プリウスは今では初代モデルの発売から20年以上を経過して、ハイブリッド車の定番になっている。法人も含めてユーザーが多い。

 プリウスの欠点は、混雑した街中や駐車場での取りまわし性が良くないことだ。

 ボディサイズは全長が4575mm、全幅は1760mmだから特に大柄ではないが、フロントウインドウの角度が大きく寝ていてボンネットも見えない。そのためにボディの先端や車幅が分かりにくい。

 サイドウインドウの下端を後ろに向けて持ち上げたから、斜め後方の視界も悪い。購入する時は、狭い裏道を走ったり、縦列駐車を試すと良い。

 ミドルサイズカーでは快適な乗り心地も求められるが、プリウスは時速40km以下の低速域で少し硬い。

 内装ではシフトのセレクターレバーが小さく、動かし方も従来の直線的なタイプとは異なる。今ではこの方式も普及が進んだが、操作した経験のないユーザーは、違和感が生じないか注意したい。

 ルーフを後方に向けて下降させたので、後席に座ると腰が落ち込んで頭上の空間も狭く感じる。後席の乗り降りでも、頭を下げる姿勢になりやすい。

 荷室は、床面積は広いが、リアゲートを寝かせたから背の高い荷物は積みにくい。

 このようにプリウスは、デザインに特徴を持たせた代わりに、視界と取り回し性、後席の居住性、乗降性、荷室の使い勝手などに不満がある。

空力性能を考えたスタイリングのため、後席部分の頭上空間が狭く感じられ、乗り降りする際にも頭を下げる姿勢になりやすいという

ミニバン:トヨタシエンタ

現行シエンタは2015年7月に発売されている。約4年後の2018年9月にマイナーチェンジを行い、2列シートのファンベースを加えた。この後に目立った改良は実施していない。

 2019年に販売された3列シートミニバンの中で、登録台数の最も多い車種はシエンタだ。11万880台(1ヵ月平均で9240台)を登録した。

 シエンタは2015年に登場したコンパクトミニバンで、エンジンは1.5Lと1.5Lハイブリッドを用意する。

 全長が4260mmのコンパクトなボディにより、小回り性能はミニバンなのにコンパクトカー並みに優れている。

 全高は1700mmを下回るが、薄型燃料タンクの採用で床を低く抑えたから、室内高の不足はない。

 3列目シートの床と座面の間隔も相応に確保され、膝の持ち上がる窮屈な姿勢になりにくい。外観はワゴン風でも空間効率は高い。

 ミニバンとしては、ドライバーの視線に対してサイドウインドウの下端が少し高く、車両に潜り込んだ感覚になりやすい。斜め後方の視界も良くない。

 内装ではインパネに上下方向の厚みがあり、小柄なドライバーは、前方が見にくく感じたり圧迫感が生じやすい。

 6人乗りのシートは、ヴォクシー系3姉妹車などではセパレートタイプになり、2列目の中央に空間ができて車内の移動もしやすい。

 しかしシエンタの2列目5人乗りは、7人乗りのベンチシートに似た形状で、中央部分にアームレストとトレイを加えただけだ。機能が中途半端で、座り心地も7人乗りに劣る。

 3列目を畳むと広い荷室になるが、2列目の下側に格納する。したがって3列目を畳む時に、2列目も動かす必要がある。シートアレンジは少々面倒だ。シエンタでは視界と細かな使い勝手に注意したい。

シエンタの5人乗り仕様。後席のベンチシートの座り心地は7人乗りに劣るという

SUV:トヨタライズ

2019年1月、2月の登録車販売台数NO.1を達成した大ヒット車のライズ

 最近はSUVの人気が高い。2019年に国内で最も多く売られたSUVはC-HRだが(RAV4は僅差で2位)、直近ではライズの人気が高い。

 2019年11月に登場して、2020年の1月(1万120台)と2月(9979台)には、SUV市場だけでなく小型/普通車の販売1位になった。

 ライズは全長を4m弱に抑えたボディにより、混雑した街中でも運転しやすい。

 前輪駆動がベースのシティ派SUVだが、外観はオフロードモデル風で、RAV4を小さくしたような存在感もある。

 エンジンは直列3気筒1Lターボで、1.4L相当の動力性能を確保しながら、自動車税は年額2万5000円と安い(2019年10月に4500円値下げされた)。

 注意したいのは居住性だ。コンパクトカーのフィットに比べて空間効率は低いのは仕方ないが、SUVとしては後席の足元空間が狭い。後席の座面も少し短く、座り心地はいま一歩だ。

ライズは後席の座面が少し短く、後席の足元空間が狭いという

 走行性能ではエンジンノイズが少し大きく、3気筒の粗さを感じる。1500回転を下まわると、駆動力の落ち込みも気になる。

 電動パワーステアリングは手応えが乏しく、セルフアライニングトルク(自動的に直進状態に戻ろうとする特性)も弱いから、運転中に違和感が生じる場合もある。

 最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)に185mmの余裕を持たせたこともあり、操舵感が少し曖昧で、峠道などでは曲がりにくく感じる。

 乗り心地は低速域で若干硬い。それでも16インチタイヤは17インチに比べて少し柔軟だが、ロードノイズ(タイヤが路上を転がる時に発生する音)が拡大する。16インチと17インチタイヤ装着車の乗り比べも含めて、運転感覚を確認したい。

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