【新型ゴルフGTIの「顔」に賛否両論】デザインがヤバかった日本車5選

 「なんでこんなデザインのクルマが、この世に出てしまったんだろう」と思わず呟いてしまった、そんな経験ありませんか?

 例えば、2019年10月にワールドプレミアとなった新型VWゴルフ8。そして2020年3月3日に発表された新型VWゴルフGTI。みなさんはこの2台のゴルフ8のフロントマスクを見て、カッコ悪いと思いますか? それともカッコいいと思いますか?

 デザインは個人の主観、好みによることが大きいので、どちらか一方に決めることはできませんが、おそらく喧々諤々、賛否両論の論争が巻き起こっているのではないでしょうか。

 思い起こせば、デザインが賛否両論だった日本車って過去にたくさんあったような気がします。

 ということで、現行車、過去のクルマのなかから、デザインが賛否両論だったヤバイ日本車はないか、モータージャーナリストの清水草一氏に探してもらい、徹底解説!

文/清水草一
写真/ベストカーWeb編集部

【画像ギャラリー】カッコいい!? カッコ悪い!? 新型VWゴルフGTIの詳細写真


VWゴルフ8のフロントマスクのデザインに賛否両論

2019年10月に発表されたVWゴルフ8。2019年12月からドイツでの発売を皮切りにそのほかの欧州市場では2020年1~3月に発売。日本市場導入は2020年末の予定。 ヘッドライトと盛り上がったボンネット以外は先代からあまり変わっていない

 ベストカーWeb担当者が「新型VWゴルフ8の写真を初めて見た時、こりゃヤバイ、カッコ悪い! と感じましたが、清水さんどうですか?」と連絡をよこした。

 確かに若干の違和感はある。なにしろゴルフのデザインと言えば石部金吉(カタブツ)。

 堅実かつ定番の見本のようなデザインが多かった。それら歴代モデルと並べると、新型のデザインは、前後ライトやグリルなどディテールが装飾的だし、「顔」が低く平べったすぎる気がしないでもない。

 「先週発表された新型ゴルフGTIのバンパー下のフォグランプは、さらにヤバイって感じましたけど」とベストカーWeb担当者がさらに続けた。

 確かに、GTIの方がさらに違和感は強めと言えば強めだ。新型車を見て「これはヤバイ!」と感じるのは、基本的にはこの「違和感」が原因だ。

 ただ、クルマ好きほど、従来の自動車デザインが脳内に強い残像を残していて、新しいトライに違和感を抱きやすく、一般ユーザーの方が、新しいカタチを受け入れやすい傾向はある。

 目新しさを求めているのは、クルマ好きよりも一般ユーザー(多数派)なので、自動車メーカーは常に新たな造形を求めてトライ&エラーを重ねるのだ。

 今回、 ベストカーWeb担当者が新型ゴルフ8にアレルギー症状が出たのも、典型的なクルマ好きの違和感だろう。

 ということで、過去、世間で「これはヤバイ!」と言われたデザインを取り上げて、その顛末を語ってみよう。

2019年3月3日に発表されたVWゴルフGTI。バンパーに埋め込まれた5つのLEDランプが特徴

レパードJフェリー/1992年6~1996年3月

北米で展開していたインフィニティブランド向けの中級サルーンとして企画された。尻下がりのエレガントで柔らかいラインはカリフォルニアにある日産のデザイン拠点NDIが手がけたもの

 登場と同時に「正気か!」「吐き気がする!」といった激烈な拒絶反応が多数出た、伝説の違和感デザインである。

 当時の日本人には、この尻下がりのデザインが猛烈にバランスが悪く感じられた。かくいう私もそのひとり。「日産は狂ったか!」とすら思った。当然の結果として、日本での売れ行きは壊滅状態だった。

 がしかし、このデザイン、アメリカでの評判は決して悪くなく、セールスでも健闘した。日産のカリフォルニアデザインセンターの作品だっただけに、北米向けのデザインとして悪くない出来だったのだ。

 もともとアメ車には尻下がりのデザインが多数あり、アメリカでは日本のような拒絶反応は出なかった。

 当時「狂ったか!」とすら思った私も、今改めてJフェリーの写真を眺めると、「こんなに美しかったのか~」と思う。つまり、自分の見る目が未熟だったのです。どうもスイマセン。

月平均3000台以上と安定した売り上げを保持していたアメリカ市場に反して、日本国内では月平均の販売台数は約数十台から100台強程度と低迷、総販売台数も約7300台に終わった。走りはベースのY32型セドグロとは思えないほど、フラットでしなやかで走りのテイストはジャガーに似ていた

歴代プリウス(4世代)

■初代プリウス 1997年12~2003年9月

世界初の量産ハイブリッドとして1997年12月にデビューした初代プリウス

 デザインに違和感と言えば、4代目である現行プリウスの前期型が最もいろいろ言われているが、歴代プリウスはおしなべてクルマ好きの間ではそれなりに嫌われたし、欧米ではもっと嫌われた。

 その理由は「遅そう」で「弱そう」で運転が「つまらなそう」に見えるというものだった。

 クルマは美しくて強そうで、セクシーでなくてはならないというのが、欧米人の基本スタンスだ。その感覚からすると、初代プリウスはすべてが正反対で、彼らの違和感を強く刺激したようである。

 2代目、3代目プリウスは、日本では大ヒットしたが、欧米では初代とほぼ同じ理由で嫌われ、「セクシーじゃないクルマの代表」と見なされた。

■2代目プリウス 2003年9~2009年5月

4ドアセダンからワンモーションフォルムのファストバックスタイルで登場

■3代目プリウス 2009年5~2015年12月

デビュー当初、ヘッドランプの形にギョッとしたが時間が経つと慣れてきた

 プリウスを称賛するのは、頭でっかちのエコロジストだけじゃないだろうか。あとは大金持ちのセレブが、あえてポーズで乗るというところか。

 そして4代目の前期型は、その評判をひっくり返そうとしたのか、ガラリと変えて強烈な歌舞伎顔でトライしたが、今度は「醜い」という理由で嫌われてしまった。

 日本では、なんだかんだいって不動の大ヒット車のプリウスだが、欧米でのデザインの評価は「セクシーじゃない!」の代表選手だ。

■4代目プリウス 2015年12~

奇抜なヘッドライト、クリスマスの時に飾るツリーのようなテールライトなどデザイン的には不評だった
2018年12月のマイナーチェンジでフェイスリフトし、不評だった顔付きやテールランプが変更され、スタイリッシュになった

3代目プリメーラ/2001年1~2005年12月

前進させたキャビンと短いトランクをアーチ型のラインで結んだモノフォルムのデザインは日産デザインヨーロッパによるもの。特にセダンのスタイリングに対する専門家筋の評価は高く、経済産業省グッドデザイン賞「金賞」やドイツのレッドドットデザイン賞など数々のデザイン賞を獲得している

 それまでのヨーロピアン・スタンダード指向のデザインからガラリと変えて、非常に先進的で斬新なデザインをまとって登場した。

 当時私は一目見て「これはスバラシイ!」と感動したし、専門家の評価は非常に高かったが、一方で強い違和感を吐露する人は少なからずいた。

 鹿児島で行われた試乗会では、たまたま通りがかったオジサンが「こんなカッコいいクルマは初めて見たよ」と言ったりして、その斬新さは一般ユーザーにも響いたように思えたが、世界的に売れ行きは芳しくなく、最後のプリメーラとなってしまった。

 いまこのプリメーラを見ると、第一印象の感動はまったくなく、バランスが崩れていてあんまり美しくないなぁと感じる。3代目プリメーラの斬新さには、時間的耐久性はなかったようだ。反省。

発売当時はデザイン的に評価されたが、販売面では先鋭的なデザインという意味で同じテイストのデザインだったプリウスの足元にも及ばなかった

ミラージュディンゴ/1999年1~2002年11月

今見てもギョッとするミラージュディンゴのフロントマスク。あまりのも不人気だったので1999年1月に発売され、2001年2月のマイナーチェンジで顔が変わる

 登場した瞬間は、まさに「三菱がやっちまった!」だった。なぜわざわざこんなカッコ悪いクルマを作るのか、信じられない思いだった。

 デザインの完成度の低さに関しては、故・前澤義雄氏も指摘しており、「自動車メーカーはたまに、発表スケジュールを優先して、こういうのを世に出してしまうことがある」と同情的に語っていた。

 つまり、途中でメーカー自身が「やっちまった!」と思っても、いまさらに発売を延期すると社内への影響が大きいといったことで、保身のためそのまま出してしまうというのだ。

 あまりにもデザインの評判が悪かったため、ディンゴは2年後のマイナーチェンジで、まるで退屈なデザインに変更された。

 が、いまになってあの最悪だった前期型ディンゴを見ると、驚くほどフツーに見える。当時はあれほどブスだと感じ、激しい違和感を抱いたデザインなのに! 

 そして退屈な後期型を見ると、死にたくなるほど退屈に感じ、ブスだった前期型が愛しくなる。

 現在の自動車デザイン界は、ある種の醜さは必須のスパイスになっていて、いつのまにか脳に耐性ができてしまったのだ。

 「これはヤバイ!」デザインの基準は、時の流れとともに大きく変わる。いわば生き物なのですね。

こちらが2001年2月のマイナーチェンジでフツーの顔になってしまったが、それでもさっぱり売れず、2003年12月に販売終了

14代目クラウンアスリート/2012年12~2018年5月

14代目クラウンといえばピンククラウン。2013年7月に販売されたピンクのクラウンの正式名称は特別仕様車 「アスリートG“ReBORN PINK”(600万円)」と「アスリートG i-Four“ReBORN PINK”(570万円)」。1カ月限定販売で、合わせて約650台の受注があったと公表された

 先代クラウンアスリートの逆クリスマスツリーグリルは、発表当初、激しい賛否両論の応酬となった。

 といっても、「俺はダメだ」「俺はいいと思う」というだけなので、議論はまったくかみ合わなかったが。

 個人的には、一瞬軽い違和感は抱いたもののすぐに慣れ,見れば見るほど引き込まれた。あのグリルそのものだけでなく、それを取り巻く周囲の面作りが非常に洗練されていて、全体として顔の造形が美しく感じられた。

 あのグリルの造形に機能的な意味はないし、違和感を抱く人がいるのは当然ではあるが、自動車デザインは成熟しすぎたため、機能を超えたパッションで勝負せざるを得ないところに来ている。

 私はクラウンの逆クリスマスツリーグリルに、パッションと造形としての完成度の高さを感じた。

 当初は否定派がかなり多かったが、1年、2年とたつうちにそういう声もあまり聞こえなくなり、もう過半数に受け入れられたのかなと思っていたが、登場から数年後、同業者のともちゃん(藤島知子さん)から、「私、あの顔、ダメなんです~」と聞いてショックだった。まだ否定派はしっかり残っていたんですね。

 先代クラウンは、結局セールス的に飛躍することはできず、そこそこの成績で終わった。オヤジ臭さを脱しようと、ピンククラウンや空色、若草色を発売するなど話題を振りまいたが……。

 結局逆クリスマスツリーグリルも、現行クラウンに受け継がれることなく、一代限りで消えた。できれば継承して熟成させてほしい造形だったが、残念。

こちらは大人しい? 14代目クラウンロイヤルサルーン

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