ベストカー本誌の過去記事から名企画・歴史的記事をご紹介する「ベストカーアーカイブ」。今回は2014年3月にTBS系列で放送された大型ドラマ「LEADERS リーダーズ」、本誌評論家陣に聞いたその感想と、国産メーカー8社の創業一口話をプレイバック!(本稿は「ベストカー」2014年5月10日号に掲載した記事の再録版となります)
文:三本和彦、片岡英明、国沢光宏、竹岡 圭、清水草一、山路 徹
『LEADERS リーダーズ』とはどんな物語?
『LEADERS リーダーズ』は、第二次世界大戦前に国産自動車産業を育てたいという夢を燃やした男・愛知佐一郎(モデルはトヨタ自工の実質的な創業者の豊田喜一郎・演じるのは佐藤浩市)を主人公とした物語。
愛知は自動織機会社の重役でありながら、日本にもクルマの時代が来ることを確信し、会社のメンバーとともにいち早く自動車開発に乗り出す。
しかし、次から次へと難題が持ち上がり、なかなかうまくいかない。5年の歳月をかけて試作車第1号を完成させるも、戦争が始まってしまう。戦時中を軍用トラックの生産などで乗り切ったが、次は日銀の金融引き締めによる大不況が押し寄せる。
資金難だけでなく会社のメインメンバーの死去、人員整理に伴う労働争議、愛知の病など辛苦は次から次へ襲いかかる! しかし、愛知と仲間は諦めることなく前進を続けるのだ……。
時代考証が甘ーい!(三本和彦)
「へーこういうこともあったのか」って前編は感心したところもあったんですよ。でも、後編はいけないねぇ。描き方が乱暴というか、尻すぼみな感じがしてさ。時代考証が甘いですよ。
労働争議の場面があったでしょう。僕も東京新聞の写真部にいた時、思うところあって労働組合の役員やっていたから当時のことを思い出しながら見たんだけど、あの頃は、労働組合を作っただけでも反社会的と見なされるような時代でね、「LEADERS」は当時のことを知らない若い人が作ったドラマだなぁという感じがしましたよ。
やっぱり、不況の時代に働くってことは、みんなそれぞれ辛い思いを抱えていたりして、大変なものですよ。ひと口に自動車会社といっても、クルマの研究する人だけでなく、工場で働く人とか、いろんな役割の人がいるわけでね。
僕としては、もっと労働組合の部分をつっこんで描いてほしかった。点数は、前編が70点、後半が50点かな。
●採点…前半70点/後半50点
登場したクルマに思うこと(片岡英明)
予備知識のない人には、ちょっと難しいドラマだったかな?
最初の5分で少し丁寧に時代背景や当時の自動車業界のことを説明してあげればスンナリと入っていけたはず。
また、第2話では労働争議のことに時間を費やしすぎた気がする。この話が長すぎたため、主人公である愛知佐一郎(豊田喜一郎)の晩年のエピソードとクラウン誕生の逸話が省かれてしまったようだ。マニアとしては物足りなく感じたし、盛り上がりにも欠けている。
とは言っても、クルマ好きにとっては楽しいドラマだった。ボクのようなクルマオタクは、最初の作品であるAA型乗用車と武骨なG1型トラック、急行列車と競争したSA型小型乗用車などが登場するシーンに引き込まれ、見入ってしまった。
また、夢を追い続けた男たちの情熱にも胸が熱くなる。特にリーダーを陰で支えたエンジニアや事務系の人たちの奮闘には目頭が熱くなった。だからこそ設計者の顔が見え、多くの人の心に訴えかけるクルマになったのだと思う。
●採点…78点















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