久々にスケールの大きいドラマ(国沢光宏)
この20年、日本のドラマはちっちゃかった。浮気とか出世とか社会の歯車になっている人が楽しくカッコよく生きるような人を題材とした小粒な内容ばっかり!
NHKの大河ドラマだって国内モノばかり。世の中を動かしてやろうとか、世界一になってやる、みたいな規模などなし。そんな風潮が日本を小粒にしちゃったんだと思う。私ら若い頃は「サラリーマンになったら社長になる」。「起業したら日本一になる」というのが普通。小さな幸せで満足できる生き方って結果論です。
といった点からすれば久々にスケールが大きい。ニンゲンってこうじゃなくちゃアカンよな、と再認識した人も多かったんじゃなかろうか。かくなる上はトヨタだけでなく他のメーカーもドラマ化すべきだと思う。
次回作は本田宗一郎しかないでしょう! 日本の経営者としちゃ最も多くの出版物になっている人だからして、二番煎じの2日間ドラマでなく2クール/26話仕立てでいきたい!
ホンダの社長を辞める時などは大いに参考になることだろう。アイルトン・セナだって出てくるし。きっと若者も世界を目指したくなると思う。
●採点…120点
みごとに泣いちゃいました(竹岡 圭)
トヨタのイメージアップ大作戦ドラマでしょ~、なんて高を括っていたら、みごとに泣かされちゃいましたよ~。やっぱり年表見て歴史を知るのと、映像で見せられるのとでは、ぜ~んぜん違いますね。
もちろんこれほど泣かされたのは、俳優陣の演技力の高さにほかならないのですが、これほど出演者の方が泣くドラマも珍しい。そしてその涙が、またこちらの涙を誘うわけですよ。
それにしても豪華キャストでしたよね。お正月特番とか大河ドラマだって、なかなかこれほどのゴージャスなメンバーを揃えられることって、少ないんじゃないでしょうかね?
愛知佐一郎役の佐藤浩市氏は言うまでもありませんが、私が心惹かれたのは太田工場長役の緋田康人氏の熱演。鬼気迫るものがありました。あんな女性になれたらなぁ~と思ったのは、東山雪乃役の宮沢りえさん。とても無理ですけど……。
しかし、あの時代に先人の皆さまが戦ってくださったからこそ、私たちがいまクルマに携わっていられるんですよね。心から感謝させられたドラマであると同時に記憶に残る名作でした。
●採点…100点
大変興味深く拝見した(清水草一)
以前、『トヨタを創った男豊田喜一郎』というノンフィクション本を読んでいたこともあって、大変興味深く拝見しました。
私はこういった、実在のモデルのいるドラマに対しては、つい「実像にどれだけ近く描いているか」に重きを置いて見てしまうので、その点ではまったく期待外れ。喜一郎氏は大変物静かで、ドラマの中みたいに熱く叫んだりしないタイプだったし。
ただ、こういったモノ作りドラマとしては異例なことに、協調融資や労働争議について相当な時間を割いていて、そこは画期的だと思いました。なんつっても大きな事業にはカネも人手も必要ですから!
悪役として一万田日銀総裁を登場させ、さんざん喜一郎をイビるあたりは、あざといな~と思いつつも見せられました。ところが総裁および日銀は、突如改心したようにトヨタ支援に回る。えーっ!?
でも当時の日本の指導層は、みんな熱く日本の再建を目指していたわけで、実際には悪役はいなかったんだよね。
本当の悪役は住友銀行(ドラマの中では西国銀行)だけかな?
住友はあの時唯一協調融資に乗らなかったことで、その後トヨタは長年、住友とだけは付き合わなかった。意地ですな。
とにもかくにも、トヨタにもこんな一途で立派な創業者がいたんだということを知らしめた点は◎。見た人はきっと、トヨタが好きになったことでしょう。
●採点…(トヨタらしく)80点!


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