レクサス LFAは数値では測れない“感動”が実感できる純国産スーパースポーツ【愛すべき日本の珍車と珍技術】

レクサス LFAは数値では測れない“感動”が実感できる純国産スーパースポーツ【愛すべき日本の珍車と珍技術】

 これまで日本にはたくさんのクルマが生まれては消えていった。そのなかには、「珍車」などと呼ばれ、現代でも面白おかしく語られているモデルもある。しかし、それらのクルマが試金石となったことで、数々の名車が生まれたと言っても過言ではない。

 当連載では、これら「珍車」と呼ばれた伝説のクルマや技術などをピックアップし、その特徴を解説しつつ、日本の自動車文化を豊かにしてくれたことへの感謝と「愛」を語っていく。今回は、ドライバーが五感で味わう精密かつ美しい工業芸術とも言える国産スーパーモデル、レクサスLFAを取り上げる。

文/フォッケウルフ、写真/トヨタ

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ドライバーとの一体感と官能性を最優先したスーパースポーツ

 LFAは、ドライバーとの一体感と官能性を最優先する開発思想から生み出された、レクサス“F”ブランドの頂点に君臨する究極のピュアスポーツとして、2010年に誕生した。

 「走る歓びがもたらす感動と官能の極致」を開発テーマに掲げ、ドライバーの意思にクルマが瞬時に呼応し、人と機械が完全に一体となる感覚を追求。限界域での挙動まで緻密に作り込むことで、圧倒的な安定感と深い懐を併せ持つ走りを実現し、人車一体のハンドリング、極限まで磨かれたレスポンス、そして五感を刺激するサウンドなどを実現している。

レクサスが「走りの感性」を数値ではなく「感覚」で完成させた、唯一無二のスーパースポーツとして日本の自動車史にその名を刻んだモデル
レクサスが「走りの感性」を数値ではなく「感覚」で完成させた、唯一無二のスーパースポーツとして日本の自動車史にその名を刻んだモデル

 LFAの走りを支える中核として挙げられる4.8L V10エンジンは、レッドゾーンの9000rpmまで一気に吹け上がる。極めて高回転・高応答型ユニットとして開発されたこのエンジンは、レクサスが“F”ブランドで掲げる「感性の性能」を技術で体現した存在である。

 その根幹を支えるのは、軽量かつ高剛性な構成パーツの数々だ。チタン製の吸・排気バルブ、DLC(Diamond-Like Carbon)コーティングを施した超軽量ロッカーアーム、そして高回転域でのポンピングロスを抑制するクランクケース各室独立構造など、徹底した摩擦低減と軽量化によって、高回転領域まで途切れることのないパワフルな加速フィールを実現している。

 加えて、チタン製の軽量コネクティングロッドとアルミ鍛造ピストンを組み合わせ、慣性質量を極限まで削減。その結果、3700~9000rpmという広い回転域で最大トルクの90%以上を発揮する驚異的なトルクフラット特性を獲得した。この特性は、エンジン全体のバランス設計と素材選定の精密さの象徴と言える。

 レスポンス面でも革新的だ。各気筒に独立した電子制御スロットルを備える10気筒独立スロットルシステムを採用。ドライバーのアクセル操作に対してエンジンが瞬時に反応し、シングルスロットル仕様と比べて約半分の回転立ち上がり時間を実現している。まさに、“吸気が呼吸するように動く”という表現がふさわしい、究極のレスポンスである。

“機械を楽器にする”という理念が生んだ美しいエキゾーストノート

 最高のエンジンのパフォーマンスを余すことなく引き出すのが、6速ASGだ。軽量化を優先した単クラッチ構造ながら、電子制御による精密なシフト制御で、わずか0.2秒という超俊敏なギアチェンジを可能にする。この瞬時の変速によってドライバーの意思とクルマの動きを完全に同期させ、アクセル操作から駆動輪へのトルク伝達まで一切の遅れを感じさせない。

 こうしたメカニズムの採用により、LFAは驚異のパワーウェイトレシオ2.64kg/PSを達成。自然吸気エンジンでありながら、ターボユニットを凌駕するほどの瞬発力とトラクション性能を誇る。

ボディサイズは全長4505mm×全幅1895mm×全高1220mmで、ホイールベースは2605mm。短いオーバーハングと理想的なホイールベースの組み合わせが、旋回時の俊敏な応答性と高速域での安定性を両立する
ボディサイズは全長4505mm×全幅1895mm×全高1220mmで、ホイールベースは2605mm。短いオーバーハングと理想的なホイールベースの組み合わせが、旋回時の俊敏な応答性と高速域での安定性を両立する

 LFAの魅力を語るうえではずせないのが、圧倒的に美しいエキゾーストノートだ。LFAが生み出すサウンドは、単なるエンジン音ではなく、ドライバーの感性に直接響く“音響体験”として設計された。

 サウンドの根幹を支えるのは、等長化された排気マニホールドと両バンクの排気管を持つ等長排気システムだ。さらに、排気経路をバルブで切り替える可変式排気マフラーを採用することで、低回転では重厚で太いサウンドを、中回転域ではメカニカルでリズミカルな咆哮を轟かせ、そして高回転域では金属的で澄み切った高音が広がるといったように、回転域に応じて音色を調律している。

 吸気系でも徹底した音作りが行われている。スロットルへ空気を導くサージタンクの形状を最適化し、吸気音そのものが回転上昇とともにリズミカルに変化するよう設計。まさに「吸気が歌い、排気が共鳴」するような立体的な音響バランスを生み出している。

 さらに、車内ではそのサウンドをよりピュアに感じられるよう、サウンド伝達機構を採用した。エンジンの振動や音をキャビンへ直接伝えることで、ドライバーはまるでエンジンサウンドが身体の内側に響いてくるような臨場感を得られる。同時に、エンジンマウントの剛性と配置を最適化し、不要な振動や共振を排除。ドライバーが聴くのは、エンジンが発するノイズではなく、ピュアで美しい共鳴のみである。

 こうした「音の設計思想」は、ヤマハの音響技術陣との共同開発によるもの。「機械を楽器にする」という理念のもと、LFAはただ速いだけでなく、エンジンが発するサウンドを聴く喜びを持つスーパースポーツとして完成した。

次ページは : 精密に設計された美しき骨格がパフォーマンスを支える

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