スライドドアで1位になった新型ムーヴ!! 新型センチュリークーペも採用!!! 今後増えていくのか?

スライドドアで1位になった新型ムーヴ!! 新型センチュリークーペも採用!!! 今後増えていくのか?

 始めてスライドドアを採用した新型ムーヴが2025年10月の軽自動車販売ランキングで1位を獲得した。そして新型センチュリークーペにもスライドドアが採用されたことも注目を集めた。ここで改めてスライドドアのメリットとデメリットを徹底解説していく。

文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部

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スライドドアは歴代で初搭載した新型ムーヴが2025年10月に軽新車販売ランキング1位

全高1700mm以下のハイトワゴンクラスの新型ムーヴは両側スライドドアを採用した
全高1700mm以下のハイトワゴンクラスの新型ムーヴは両側スライドドアを採用した

 新型ムーヴが発売された際、もっとも注目を集めたのは、歴代モデルでは採用されなかったスライドドアを全車に搭載した点であった。前高1700mmを超えるスーパーハイトワゴンのN-BOXやスペーシア、タントの3車種が絶えず軽自動車販売ランキングのTOP3を占めているが、いずれも両側スライドドアを採用している。売れてる軽はスライドドアが必須の条件になっているのだ。

 従来、ムーヴはコンパクトなヒンジドア車として一定の支持を得ていたが、スライドドアを採用することで思い切った方向転換を行ったのだ。ただし、これまでハイトワゴンのクラスにスライドドア装着車がなかったわけではない。可愛らしいキャラクターに振ったムーヴキャンバスとワゴンRスマイルに採用されていたがメインストリームにはならなかった。

 その戦略が見事にハマり、2025年10月の軽新車販売ランキングでは、新型ムーヴが1位を獲得した。「背はそんなに高くなくてもいいから両側スライドドアが欲しい」というユーザーの声を採り入れ、全高を1655mmに抑えて、両側スライドドアを採用した点がウケたのだろう。

上が両側スライドドアを初めて採用した新型ムーヴ。全長3395×全幅1475×全高1655mm。下がN-BOXカスタム。全長3395×全幅1475×全高1790mm。新型ムーヴはN-BOXに比べ全高が135mm低い
上が両側スライドドアを初めて採用した新型ムーヴ。全長3395×全幅1475×全高1655mm。下がN-BOXカスタム。全長3395×全幅1475×全高1790mm。新型ムーヴはN-BOXに比べ全高が135mm低い

 実際に全高1655mmの新型ムーヴと全高1780mmのN-BOXに試乗するとわかるのだが、新型ムーヴのよさをすぐに感じ取ることができる。運転席に座ると高すぎない、ちょうどいい室内高と、コーナーを曲がるときなど、旋回性能が高く、明らかにムーヴのほうが軽快で走りやすかった。とはいえ、N-BOXの軽とは思えないしっかりとしたハンドリングと乗り心地の上質感はさすがだと感心した。

 また売れ筋グレードのXでも約149万円とコストパフォーマンスの高さが際立っている点も売れた理由の1つ。左側スライドドアの電動機能のほか、予防安全装備のスマアシ、電動パーキングブレーキやオートホールド、オートエアコン、プッシュスタートなどを装備している。

 対するN-BOXはNAエンジンを搭載した最安のN-BOX標準車(2WD)は173万9100円、一番安いカスタムターボでも212万9600円。新型ムーヴのコスパのよさも売れている理由だろう。

スライドドアのメリットとデメリット

子供を持つファミリー層に取って必須ともいえるスライドドア
子供を持つファミリー層に取って必須ともいえるスライドドア

 ここで改めてスライドドアのメリットとデメリットを挙げてみた。スライドドアの最大のメリットは乗り降りのしやすさである。特に狭い駐車場ではドアの張り出しが小さいため、隣のクルマにぶつけるリスクが格段に減る。

 都市部では駐車スペースが狭いことも多く、この利便性は日常で大きな効果を発揮する。また電動スライドドアであれば、開閉時の力が不要で、子どもや高齢者でも簡単に操作できる点も支持される理由だ。

 後席に子どもを乗せる際の安全性にもメリットがある。開口部が大きく確保されるため、チャイルドシートの乗せ降ろしがスムーズで、乗り降りにかかる時間も短縮できる。荷物の積み降ろしもしやすく、毎日の買い物や通院など、生活のあらゆる場面で実用性が高い。

N-VAN eの助手席側はBピラーレスとしており、前席ドアと後席スライドドアを開けると大開口が誕生する。ダイハツ「タント」のミラクルオープンドアも同じだ
N-VAN eの助手席側はBピラーレスとしており、前席ドアと後席スライドドアを開けると大開口が誕生する。ダイハツ「タント」のミラクルオープンドアも同じだ

 一方でデメリットも存在する。スライドドアはヒンジドアより構造が複雑で重量が重くなりやすい。そのため車両重量の増加が燃費に影響する可能性がある。またスライドレール部分の設計が必要になるため、デザイン面の自由度が下がり、横から見た際にレールカバーが目立つこともある。

 さらに電動スライドドアは便利ではあるが、開閉に時間がかかる点やモーター部分の故障リスクを気にするユーザーもいる。メンテナンスもヒンジドアより複雑で、部品交換費用が高額になるケースも考えられる。

新しいスライドドアが出てきた

新型センチュリーのカスタマイズ車の後席ドアには、アイシン製のリンク式パワードシステムという開閉機構を採用。飛行機のドアの動きに近く、またドアを上下2ヵ所で支えるので、ボディ側にレールをつくる必要がなく、美観もいい
新型センチュリーのカスタマイズ車の後席ドアには、アイシン製のリンク式パワードシステムという開閉機構を採用。飛行機のドアの動きに近く、またドアを上下2ヵ所で支えるので、ボディ側にレールをつくる必要がなく、美観もいい

 今後、スライドドアは今以上に普及していくのだろうか? 2023年10月にトヨタが発表した新型センチュリーのカスタム車には、「リンク式パワードシステム」(アイシン製)という、ボディに沿って飛行機のドアのように開くタイプの新型ドアが採用されているのだ。回転アームなどを用いて、ドアを保持、開閉駆動を行うので、車体にレールをつくる必要がなく、これであれば箱型以外のボディスタイルをもつクルマでも装備が可能だ。

センチュリークーペのスライドドア。左側シートもスライドし回転する
センチュリークーペのスライドドア。左側シートもスライドし回転する

 そしてジャパンモビリティショー2025で公開されたセンチュリークーペには前方に大きく開く左側のスライドドアに度肝を抜かれた人も多かっただろう。左右非対称で、運転席側は通常のヒンジドア、助手席側はBピラーレスの前後両開きドア(観音開き構造)を採用し、広大な開口部を実現している。

 さらにジャパンモビリティショーに2025で公開された2台の新型ハイエースもタントやN-VANと同様、Bピラーレスの左側スライドドアを採用していた。

Bピラーレスの片側スライドドアを採用。荷室スペースは完全にフラットで8尺の脚立が入る室内長と室内高は現行ハイエース以上とのこと
Bピラーレスの片側スライドドアを採用。荷室スペースは完全にフラットで8尺の脚立が入る室内長と室内高は現行ハイエース以上とのこと

 今後は、軽、ミニバンだけでなく、それ以上のクラスやラグジュアリークラスにもスライドドアが拡大していくだろう。また自動運転技術との連携により、人が乗り降りするタイミングを車両が自動で判断してスライドドアを開閉する仕組みも実用化が進むと見られる。

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