ロールスロイス謹製 ペダルカーの半分は優しさでできている

創立70周年記念で製作されたアウディのペダルカー

 写真で紹介しているアウディのペダルカーのように、輸入車メーカーは時折、子ども向け玩具を必要以上に本気で製作することがある。

 今回紹介する1台も英国の超高級車メーカーが本気で製作した。ただし、それは玩具とはいえないかもしれない。それほどの出来映えで仕上げられていた。

 そして、そこにはある“想い”が込められていたのだ。

 文:編集部/写真:Rolls-Royce、Audi、Ford
ベストカー2017年4月26日号


最高速は16km/h。王室御用達のペダルカー?

 その特別な一台を製作したのは、超高級車メーカーとして世界的に知られるロールス・ロイス。

 車名は「SRH」といい、これは「セント・リチャード・ホスピタル」の頭文字から取ったもの。

 そう、このクルマは、ロールス・ロイスがセント・リチャード病院のために作ったものなのだ。

 400時間以上という時間をかけて手作りされたこのクルマは、24Vバッテリーで駆動するEV。最高速度は約16km/hだが、安全モードを選択すれば速度を6.4km/hに制限することもできる。

 実車同様に2トーンカラーが施され、実車に劣らぬ快適性も実現しているというのが、ロールス・ロイスらしい。

写真奥は“実車”のレイス。手前がペダルカーのロールスロイス SRH。並べてみると大きさの違いは一目瞭然だが、同時にペダルカーの本格度にも驚く

「手術前の緊張を和らげたい」

 気になるのは、なぜこのクルマが、セント・リチャード病院のために製作されたかということだろう。

 実はこのSRHには、セント・リチャード病院の外科治療センターで治療を受けている子どもたちが、手術室に向かって自ら乗っていくことで、手術前の緊張を和らげてほしいという願いが込められている。

 セント・リチャード病院の廊下には道路標識が並んでいるというから、病院サイドも子どもたちのケアに心を砕いていることがよくわかる。

SRHのシートに座るモリーちゃんと、その横に立つハリくん。ふたりともセント・リチャード病院の患者であるらしい

 以上のように特別な1台であるロールス・ロイスSRH、製作にかかった時間や手作りであることを考えると、相当にコストが嵩んだと想像できる。

 が、メーカーはその金額に言及していない。

 しかし、それもこのクルマが、病院とロールス・ロイスの優しさの結晶であることを考えれば当然かもしれない。人の思いに値段は付けられないのだ。

 ペダルカーを開発する輸入車メーカーは、ロールス・ロイスやアウディ以外にもランドローバーなど数多い。

 でも、世界広しといえど、赤ちゃんが使う“あの乗りもの”を開発した自動車メーカーは、これから紹介するメーカー以外にないだろう。

 そのメーカーとはアメリカのフォードだ。同社が開発したのは、赤ちゃん用のゆりかごだ。

車の乗り心地と音で安眠間違いなし!?

 このゆりかご、名前は「マックス・モーター・ドリーム」というのだが、単にフォードのロゴがあしらわれているだけではない。

木目部分にフォードのロゴをあしらったスペシャルゆりかご「マックス・モーター・ドリーム」

 赤ちゃんの下のスピーカーからは、エンジン音が流れ、台の部分がゆっくり左右に揺れる。まさしく車の乗り心地を再現しているのだ。

 車に乗ると寝付きがよくなる赤ちゃんも多いと言われるだけに、小さなお子さんを持つファミリーには、うってつけの“1台”かもしれない。

 「マックス・モーター・ドリーム」は市販化の予定はなかったものの、反響の大きさから量産化も検討されているという。

 ロールス・ロイスのペダルカーも、このフォードのゆりかごも、その半分……いや、それ以上の部分が、“優しさ”でできているのかもしれない。

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