2代目もヒット街道驀進! 軽SUV切り開いたハスラーの偉業とは?

ハスラーはどれほど売れたのか?

 今の軽自動車では、全高が1700mmを超えるスライドドアを備えた車種が売れ筋だ。

 ホンダN-BOXは2020年3月に2万2078台を販売し、国内販売の1位になった。2位のダイハツタント、これに続くスズキスペーシアも、すべて全高が1700mm以上でスライドドアを装着する。

 ハスラーの全高は1700mm以下で、後席のドアも横開き式だから、N-BOXやタントのような売れ筋パターンに沿っていない。それなのに2020年3月の届け出台数が1万台を超えたのだから、注目して良いだろう。

 ハスラーの高人気を確立させたのは先代型だ。発売直後の2014年前半は売れ行きが伸び悩んだが、後半からは販売台数ランキング順位を上げ始める。

 これは街中でハスラーを頻繁に見かけるようになり、周囲の人達が好感を持ったからだ。発売から時間を経過するにしたがって売れ行きを伸ばす車種は、息の長い人気車に多く、ハスラーは2014年に1ヵ月平均で8686台を販売した。

 この後も堅調に売れ続け、2015年には1ヵ月平均の販売台数が7963台、2016年は7147台、2017年は6050台と安定して売れ続けた。

 販売ランキングのトップ集団は、N-BOX、タント、スペーシアといった全高が1700mmを超える軽自動車だが、ハスラーもそこに続いた。

【初代ハスラーの販売台数】2014年1月8日発売
■2014年:10万4233台(軽乗用車10位)
■2015年:9万5557台(軽乗用車9位)
■2016年:8万5762台(軽乗用車9位)
■2017年:7万2600台(軽乗用車10位)
■2018年:6万5291台(軽乗用車9位)
■2019年:5万7840台(軽乗用車9位)
■累計(2014年1月~2019年12月):48万1283台
■月販平均:約6685台(デビュー時の月販目標台数:5000台)

【2代目ハスラーの販売台数】2020年1月20日発売
■2020年1月:5534台(軽乗用車8位)
■2020年2月:5809台(軽乗用車9位)
■2020年3月:1万372台(軽乗用車6位)
※月販目標台数:6000台

最低地上高はFFで180mmを確保したから、悪路のデコボコを乗り越えやすい。軽自動車のクロスオーバーSUVという、売れ筋カテゴリーの要素を合わせもつ
最低地上高はFFで180mmを確保したから、悪路のデコボコを乗り越えやすい。軽自動車のクロスオーバーSUVという、売れ筋カテゴリーの要素を合わせもつ

丸目のファニーフェイスながらアウトドアのツールとしては本格派

ポップなボディカラーと合わせてダッシュボードのカラーもボディ同色とするなどハスラーの世界観は素晴らしかった
ポップなボディカラーと合わせてダッシュボードのカラーもボディ同色とするなどハスラーの世界観は素晴らしかった

 全高が1700mmを超える軽自動車が人気を高めるなかで、ハスラーが好調に売れた理由は、冒頭で述べたSUVの特徴を備えていたからだ。

 先代型も現行型と同じく、丸型ヘッドランプを採用して独特の存在感があった。スペーシアカスタムやN-BOXカスタムのような睨みを利かせた表情ではなく、ジムニーのように穏やかさと力強さを併せ持つ個性的な顔立ちだ。

 ファニーフェイスとポップなボディカラーが楽しい外観だけでなく、車内にも工夫を凝らした。

 荷室には汚れを落としやすい処理を施し、ディーラーオプションでは車中泊に使えるベッドクッションやカーテンも用意した。棚などを装着するためのユーティリティナットも採用されている。

 SUVのカッコ良さだけでなく、アウトドアのツールとして便利に使える各種の機能も、ハスラーの人気を押し上げた。

 深い雪道や悪路に対しても最低地上高はFF/180mm、4WD/175mmと十分確保され、4WDは横滑り防止装置を利用したトラクション(駆動力)を高めるグリップコントロールと急な下り坂でスピードを一定に抑えてくれるヒルディセンドアシストを装備するなど芸が細かい。

 また先代ハスラーの車内の広さやシートアレンジは、基本的に先代ワゴンRと共通だ。

 そのために後席に座っても、頭上と足元の空間が広く、大人4名が快適に移動できた。荷室も使いやすく、後席の背もたれを前側に倒すと座面も連動して下がり、床の平らなボックス状の空間に変更できる。

 後席にも前後スライド機能が備わり、後席にチャイルドシートを装着した時は、前側に寄せると信号待ちの時などに運転席の親が子供のケアをしやすい。

 この時には、チャイルドシートの後ろ側にある荷室も拡大するから、子供を含めて3~4名で乗車して、ベビーカーなども積みやすい。

 しかも後席の折り畳みやスライド機能はすべて左右独立式だから、乗車人数や荷物の量に応じてレイアウトを変更できる。

 収納設備も豊富で、例えば助手席の下には、車外に持ち出せる大型の収納ボックスを配置した。

 これらの機能の多くは先代ワゴンRと共通で、汚れを落としやすい荷室の造りなどと相まって、実用性をさらに高めた。

 つまりハスラーは、ワゴンRの発展的な軽自動車としても注目された。

 その一方で価格は割安だ。ワゴンRの標準ボディよりは高価でも、エアロパーツを装着したワゴンRスティングレーよりは安く抑えた。軽自動車らしい買い得感も、先代ハスラーが好調に売れた理由だ。

次ページは : 初代ハスラーをさらに昇華させた2代目ハスラー

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