史上最強のスバルS209 北米専用モデル初試乗! 日本で売らないのが残念すぎる!

345psのEJ25ターボによる走りは異次元の速さ!?

3500rpmから上の抜けるような加速はEJ20は敵ではない。ヤンキー野郎の絶叫する姿が目に浮かび、恨めしいと松田秀士氏
3500rpmから上の抜けるような加速はEJ20は敵ではない。ヤンキー野郎の絶叫する姿が目に浮かび、恨めしいと松田秀士氏

 スターターボタンを押して走り出す。米国仕様だから当然、左ハンドル右シフト。シフトフィールは日本仕様のWRX STIよりもいいかも。引っかかる感触もないし、とてもスムーズ。

 サスペンションのフィーリングは予想以上に硬いが、レカロシートのフィット感と剛性感が身体をしっかりと固定してくれるのですべての操作が的確に行える。

 このコースは非常に路面が荒れているので、米国のサーキットで煮詰めたというサスペンションにはかなり酷なコースだ。

 しかし、攻め込むにしたがってサスペンションの初期の動きがスムーズに路面の凹凸を捉えるようになる。スピードレンジが高いのだ。

 タイヤのハイグリップ化に合わせてスプリングレートやダンパーも強化。リアスタビライザーも強化(19mm→20mm)しているが、フロントはそのままとのこと。

EJ25ターボエンジン内部ではS209の専用プレートが光る。限定209台のうち、このクルマはSTI所有車のため、ナンバリングは000/000となる
EJ25ターボエンジン内部ではS209の専用プレートが光る。限定209台のうち、このクルマはSTI所有車のため、ナンバリングは000/000となる

 少し重めのステアリングを切ったと同時にノーズが動く応答性がバツグン。しかもリアが安定してグリップする。

 リアにはフロントに加えて、ニュルのレースマシンからフィードバックされた新開発のドロースティフナーが装備されている。

 感動したのはEJ25ターボエンジン。かなり強力で、6600rpmからレッドゾーンとなるのでEJ20ターボの8000rpmと比べると、スペック上ではもの足りないと思うかもしれないが、3500rpmから上の抜けるような加速は、EJ20は敵ではない。

 エキゾーストノートもレーシーだが、3速ギヤでも4速に入れても胸のすくような加速が味わえる。

 それ以下のギヤでは4WDでよかったね、という感じ。もうひとつ、フロント6ポッドのブレーキが素晴らしい。

 S209を全開にして絶叫するヤンキー野郎の顔が目に浮かぶ。これがアメリカでしか買えないというのは実に悔しいし、恨めしい。

 高津氏にS209を開発するにあたって苦労したのはどこか聞いてみると、排ガスの認証を取るのに苦労したとのこと。米国は厳しく、例え補機が壊れてもクリーンでなくてはならないのだ。

S209のインパネ。専用パーツ以外のマルチファンクションディスプレイやルミネセントメーターなどは日本仕様とほぼ変わらず
S209のインパネ。専用パーツ以外のマルチファンクションディスプレイやルミネセントメーターなどは日本仕様とほぼ変わらず

【画像ギャラリー】日本で売ってほしいS209&歴代Sシリーズの系譜

2016年のニュル24時間レースでクラス優勝したマシンにも試乗!

クラス2連覇を達成したNBRチャレンジ2016の鮮烈な走り。ファーストスティントを担当したカルロ・ヴァン・ダムは大雨時にあわやクラッシュという場面で”神回避”を披露した
クラス2連覇を達成したNBRチャレンジ2016の鮮烈な走り。ファーストスティントを担当したカルロ・ヴァン・ダムは大雨時にあわやクラッシュという場面で”神回避”を披露した

 そして、もう1台。2016年のニュルブルクリンク24時間レースで優勝したマシンにも試乗した。開発責任者は辰己英治氏だ。

 実は私、2008年のニュルブルクリンク24時間レースで辰己氏のもと、WRX STIのステアリングを握っているのだ。

 こちらも左ハンドル車だがトランスミッションはシーケンシャル。アクセル全開にしていればクラッチを切らずアクセルも戻さず、シフトアップが可能だ。

 電気的なシフトカットを装備しているから機械任せ。だからシフトレバーを叩くように引くたびにパンッ、パンッ、パンッ、と瞬時にシフトアップしてゆく。

 搭載しているのは、2LのEJ20ターボエンジンで340ps/47.0kgmを発生。しかし、車体重量が1230㎏と軽量だから加速が凄まじい。

エンジンはEJ20ターボで最高出力340㎰、最大トルク47.0㎏mを発揮する
エンジンはEJ20ターボで最高出力340㎰、最大トルク47.0㎏mを発揮する

 しかも、スリックタイヤを履いているので、ノーマルタイヤならばコーナーにある路面の凸凹で車体が吹っ飛ばされそうになる状況でも、しっかりとグリップする。

 いや、スリックタイヤだから、というよりは、サスペンションが路面の凸凹ににしっかり追従しているといったほうが正解だろう。

 張り付くようなグリップ感やブレーキングにおいては、S209に輪をかけたように強力だった。

NBRチャレンジ2016のコクピット。6速シーケンシャルギヤボックスのトランスミッション、O.R.Cツインプレートクラッチを採用する。フロントにヘリカルLSD、センターに機械式有マルチモードDCCD、リアにSTI機械式LSDを採用
NBRチャレンジ2016のコクピット。6速シーケンシャルギヤボックスのトランスミッション、O.R.Cツインプレートクラッチを採用する。フロントにヘリカルLSD、センターに機械式有マルチモードDCCD、リアにSTI機械式LSDを採用

 乗り終えて、辰己氏に印象を伝えると、

辰巳氏:「あの時のクルマから凄く進化しているでしょう」。

:「凄く乗りやすくて、安定性がバツグンですね」。

辰己氏:「いろんなことがわかったんですよ。ボディは剛性があればあるほどいいと思っていたけど、そうじゃない。適度にたわまないとダメなんですね。例えばマグネシウムホイールは硬くて軽くてイイと思っていたけど、今は適度にたわむアルミを使っています」。

 熱い目で終わりのない開発話をする辰己氏。2020年のニュルブルクリンク24時間レースは秋に延期されたけれど、その活躍が楽しみになってきた。

NBR2016の横には辰己英治総監督、S209の横にはSTI商品開発部長の高津益夫氏。そして撮影当日のマシンコンディションを最善にするために尽力してくれたSTIスタッフのみなさん
NBR2016の横には辰己英治総監督、S209の横にはSTI商品開発部長の高津益夫氏。そして撮影当日のマシンコンディションを最善にするために尽力してくれたSTIスタッフのみなさん

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