345psのEJ25ターボによる走りは異次元の速さ!?
スターターボタンを押して走り出す。米国仕様だから当然、左ハンドル右シフト。シフトフィールは日本仕様のWRX STIよりもいいかも。引っかかる感触もないし、とてもスムーズ。
サスペンションのフィーリングは予想以上に硬いが、レカロシートのフィット感と剛性感が身体をしっかりと固定してくれるのですべての操作が的確に行える。
このコースは非常に路面が荒れているので、米国のサーキットで煮詰めたというサスペンションにはかなり酷なコースだ。
しかし、攻め込むにしたがってサスペンションの初期の動きがスムーズに路面の凹凸を捉えるようになる。スピードレンジが高いのだ。
タイヤのハイグリップ化に合わせてスプリングレートやダンパーも強化。リアスタビライザーも強化(19mm→20mm)しているが、フロントはそのままとのこと。
少し重めのステアリングを切ったと同時にノーズが動く応答性がバツグン。しかもリアが安定してグリップする。
リアにはフロントに加えて、ニュルのレースマシンからフィードバックされた新開発のドロースティフナーが装備されている。
感動したのはEJ25ターボエンジン。かなり強力で、6600rpmからレッドゾーンとなるのでEJ20ターボの8000rpmと比べると、スペック上ではもの足りないと思うかもしれないが、3500rpmから上の抜けるような加速は、EJ20は敵ではない。
エキゾーストノートもレーシーだが、3速ギヤでも4速に入れても胸のすくような加速が味わえる。
それ以下のギヤでは4WDでよかったね、という感じ。もうひとつ、フロント6ポッドのブレーキが素晴らしい。
S209を全開にして絶叫するヤンキー野郎の顔が目に浮かぶ。これがアメリカでしか買えないというのは実に悔しいし、恨めしい。
高津氏にS209を開発するにあたって苦労したのはどこか聞いてみると、排ガスの認証を取るのに苦労したとのこと。米国は厳しく、例え補機が壊れてもクリーンでなくてはならないのだ。
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2016年のニュル24時間レースでクラス優勝したマシンにも試乗!
そして、もう1台。2016年のニュルブルクリンク24時間レースで優勝したマシンにも試乗した。開発責任者は辰己英治氏だ。
実は私、2008年のニュルブルクリンク24時間レースで辰己氏のもと、WRX STIのステアリングを握っているのだ。
こちらも左ハンドル車だがトランスミッションはシーケンシャル。アクセル全開にしていればクラッチを切らずアクセルも戻さず、シフトアップが可能だ。
電気的なシフトカットを装備しているから機械任せ。だからシフトレバーを叩くように引くたびにパンッ、パンッ、パンッ、と瞬時にシフトアップしてゆく。
搭載しているのは、2LのEJ20ターボエンジンで340ps/47.0kgmを発生。しかし、車体重量が1230㎏と軽量だから加速が凄まじい。
しかも、スリックタイヤを履いているので、ノーマルタイヤならばコーナーにある路面の凸凹で車体が吹っ飛ばされそうになる状況でも、しっかりとグリップする。
いや、スリックタイヤだから、というよりは、サスペンションが路面の凸凹ににしっかり追従しているといったほうが正解だろう。
張り付くようなグリップ感やブレーキングにおいては、S209に輪をかけたように強力だった。
乗り終えて、辰己氏に印象を伝えると、
辰巳氏:「あの時のクルマから凄く進化しているでしょう」。
私:「凄く乗りやすくて、安定性がバツグンですね」。
辰己氏:「いろんなことがわかったんですよ。ボディは剛性があればあるほどいいと思っていたけど、そうじゃない。適度にたわまないとダメなんですね。例えばマグネシウムホイールは硬くて軽くてイイと思っていたけど、今は適度にたわむアルミを使っています」。
熱い目で終わりのない開発話をする辰己氏。2020年のニュルブルクリンク24時間レースは秋に延期されたけれど、その活躍が楽しみになってきた。
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