■3位 アンティニRX-7(FD3S) 1991年
今なお多くのファンに愛されているロータリーエンジン搭載のピュアスポーツだ。「RX-7」としては最後の作品で、10年以上も第一線で活躍したことからわかるように、最初の設計が素晴らしかった。
発表されたのは1991年10月である。ファンを魅了した美点のひとつが、今も色褪せないロングノーズ&ショートデッキのクーペフォルムだ。ボディに抑揚をつけ、低いノーズから続くフェンダーは峰を立てている。エンジンも魅力的だった。フロントミッドシップに搭載するのは13B-RWE型と呼ばれる2ローターのロータリーエンジンで、シーケンシャル・ツインターボだ。
デビュー時の最高出力は255psだが、驚くほどパワフルで、8000rpmまで瞬時に回りきる。サスペンションは新設計の4輪ダブルウイッシュボーンだ。軽量化のためにアルミ製とし、ホイールにもこだわった。限界性能は驚くほど高い。
が、前期モデルは挙動がピーキーだ。ドライバーにテクニックを要求するスポーツカーで、ゆっくり走るのは苦手だった。エアコンを装着しないグレードがあるなど、スパルタンに徹しているが、ジャジャ馬を乗りこなすディープな楽しさがある。
■4位 オートザムキャロル(2代目) 1989年
マツダは1960年代の早い時期に軽乗用車を発売し、ぜいたくな設計の360クーペとキャロルは多くの人に親しまれた。
が、70年半ばに軽乗用車の開発から遠ざかっている。カムバックするのは1989年秋で、その最初の作品となったのが、オートザムで扱う新世代のキャロルだ。プラットフォームやパワーユニットは提携しているスズキのアルトのものを譲り受け、その上にマツダがデザインしたキュートな3ドアのハッチバックボディを被せた。
女性に的を絞ったエクステリアデザインは、とてもキュートだ。ルーフ部分を開け閉めできるキャンバストップや個性的なオプションパーツも豊富に用意している。ファン投票では丸みのある親しみやすいデザインが後押ししたのだろう。今、売り出しても人気になると思えるほどポッブで、かわいらしいデザインが高く評価された。
エンジンはスズキ製の直列3気筒SOHCだ。デビュー時は547ccだったが、90年以降は657ccになり、ボディもひと回り大きくなった。1995年秋に男性も意識して直線基調のフォルムに生まれ変わったが、先代ほどの人気は得られていない。
■5位 ユーノス500 1992年
1990年代前半、マツダは積極的にミドルクラスに兄弟車を送り出した。そのなかでもっとも個性が際立っているのが1992年10月に登場した「ユーノス500」だ。
ユーノスブランドとしては初めての4ドアセダンで、ボディサイズを小型車サイズのなかに収めながらエレガントさと躍動感を上手に取り込んでいる。エクステリアは全幅を75mmも縮めているが、それを感じさせないほど面質は豊かだ。フロントマスクも凛として気品がある。インテリアも上質な仕上げにこだわった。美しいデザインに加え、クラスを超えた高いクオリティがファン投票の順位を押し上げたようだ。
パワーユニットは1.8Lと2LのV型6気筒DOHCだけでスタートし、あとに1.8Lの直列4気筒DOHCエンジンを追加している。V6エンジンは低回転のトルクがちょっと細いが、高回転まで気持ちよく回り、静粛性も高かった。
4輪ストラットのサスペンションもマツダらしいスポーティな味付けだ。専用の強化サスペンションにストラットタワーバーを組み込み、横浜ゴム製のアドバンA07のハイパフォーマンスタイヤを履いた「20GT-i」は、とくに軽やかな走りを見せつけた。
ユーノス500は1995年で販売を打ち切っている。だが、「クセドス6」の名で送り出されたヨーロッパでは1999年春まで販売が続けられた。ファンも認めた傑作セダンがユーノス500だ。
コメント
コメントの使い方