街を走れば必ずといっていいほど見かけるホンダN-BOXとトヨタプリウス。ジャンルはまったく違う2台だが、長年多くのユーザーから選ばれてきたのには、やはり明確な理由がある。では、その人気を支える「飛び道具」は何なのか? 逆に、売れっ子だからこそ見落としがちな意外な弱点もチェックしてみよう。
文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、ホンダ、トヨタ
N-BOXの売れてる理由と飛び道具

軽自動車のなかでも別格の存在感を放ってきたのがホンダN-BOXである。軽新車販売で11年連続NO.1(2015年4月〜2026年3月)、登録車を含めた国内新車販売台数で5年連続(2021年4月〜2026年3月でNO.1の座を守り続けている。まさに「軽自動車の絶対王者」と呼ぶにふさわしい実績だ。
N-BOXがこれほど支持される理由をひと言で表すなら、「軽自動車だから我慢する」という部分が非常に少ないことだろう。
全長3395mm、全幅1475mmという軽自動車規格のボディでありながら、車内へ乗り込むと数字から想像する以上に広い。とくに後席は「本当に軽自動車?」と思わせるほど余裕があり、ファミリーカーとして十分に使える空間を確保している。
この広さを生み出している最大の飛び道具が、ホンダ独自の「センタータンクレイアウト」だ。一般的なクルマでは後席や荷室の下などに配置される燃料タンクを前席下へ置くことで、後席から荷室にかけての床を低くすることができる。このアイデアがN-BOXのパッケージングを支えている。
低床であることのメリットは単に室内高を稼げるだけではない。荷室の床が低いため、大きな荷物を積む時にも高い位置まで持ち上げる必要がない。
さらに後席にはチップアップ&ダイブダウン機構を備える。後席座面を跳ね上げれば背の高い荷物を載せるスペースを作ることができ、背もたれを前へ倒せば広大な荷室が出現する。
つまり「人を乗せる」「荷物を載せる」という日常生活で頻繁に発生する要求に対して、N-BOXは実に柔軟に対応してくれるのだ。
しかも、この広さだけで勝負しているわけではない。運転席からの見晴らしもいい。着座位置が高く、ミニバンに近い目線から前方を見渡せる。軽自動車なのでボディの四隅も把握しやすく、狭い住宅街やスーパーの駐車場でも扱いやすい。
さらに現行N-BOXでは安全運転支援システム「Honda SENSING」も充実している。
衝突軽減ブレーキをはじめ、歩行者事故低減ステアリング、標識認識機能、車線維持支援システム、渋滞追従機能付アダプティブクルーズコントロールなどを採用。電子制御パーキングブレーキとオートブレーキホールド機能も備えている。
特にオートブレーキホールドは、一度使うとありがたさがよくわかる装備だ。信号待ちや渋滞でブレーキペダルを踏み続けなくても停車状態を保持でき、アクセルを踏めば解除される。
かつて「軽自動車だから仕方ない」と思われていた部分を一つひとつ潰し、登録車と比べても見劣りしない使い勝手と装備を与えた。それでいて軽自動車ならではの取り回しのよさと維持費の安さも享受できる。
ものすごく速いわけでもなければ、奇抜なデザインで注目を集めるクルマでもない。しかし、乗り心地も上質で室内も広く、ターボであれば走りに不満をあまり感じない。つまりN-BOXは軽と感じさせない、「これ以上はいらない。これで充分」と感じさせるところが売れてる最大のポイントなのかもしれない。
センタータンクレイアウトによる広い室内と多彩なシートアレンジ、スライドドア、運転のしやすさ、安全運転支援機能。この総合力こそがN-BOX最大の「飛び道具」なのだ。


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